日本300名山の一つにも数えられている箱根山は駒ヶ岳、神山、冠ヶ岳の3つの山からなり、二子山、台ヶ岳とともに箱根火山の中央火口丘を構成している山です。駒ヶ岳山頂にロープウェイやケーブルカーが運行しているため、小さな子供でも簡単のその山頂に立てる山です。ガイドブックで紹介されていた大湧谷の登山口は火山ガスの噴出が激しいことなどで、閉鎖されていました。このため今回はロープウェイで駒ヶ岳に登った後、神山、冠ヶ岳の山頂を訪ねたのち箱根園に戻ることにしました。
箱根園の駐車場に車を停め、ロープウェイで駒ヶ岳の山頂へ。たくさんの観光客で込み合うロープウェイは7分ほどで我々を駒ヶ岳の山頂へ運んでくれました。
駒ヶ岳の山頂はカヤトに覆われた広場と言ったところです。正面に富士山、その左手は愛鷹山、芦ノ湖の上には箱根外輪山の稜線が続いています。山頂の展望を楽しんだ後、目の前にそびえる神山を眺めながらアセビやミツバツツジなどの潅木の中を下って行きます。しばらく下ると登山道は神山と駒ヶ岳の鞍部にたどり着きました。
ここからは神山に向かって急な登りが始まります。相変わらずアセビやミツバツツジなどの潅木に覆われた急な登りに汗を流すと、ほどなく稜線の上にたどり着きました。やはり箱根はハイキングの山か。子供連れは多くないものの、我々と同じような熟年の夫婦連れのハイカーが数組。年を重ねるに連れ低い山を歩くことが多くなるのは我々だけではないようです。たどり着いた神山の山頂には天照大御神の小さな石碑と1等三角点があります。神山の名前が示すように、この山自体が神の山として山岳信仰の対象となったところのようです。
神山からは大湧谷に向かい下って行くことにします。潅木に覆われた急な坂道を下って行くと小さな鳥居の建つ冠ヶ岳への分岐点です。ここから痩せた尾根道を登り返すと小さな社、さらに露岩に覆われた尾根道を登って行くと小さな冠ヶ岳の山頂です。木立に覆われた狭い山頂からは木の間越しに大湧谷、その向こうには金時山など箱根の山々を垣間見ることが出来きます。
冠ヶ岳からは石ころの多い登山道を大湧谷に向かい下って行きます。大湧谷の手前で登山道は火山ガスのため通行止になっていました。ここで道を右に。岩に覆われた登山道を登り返すとほどなく早雲山への分岐点です。
ここからは神山の山腹を巻くように、潅木に覆われた登山道を駒ヶ岳と神山の鞍部へ向かいます。アップダウンのほとんどない道はお中道と言われる道です。
たどり着いた駒ヶ岳と神山の鞍部は先ほど駒ヶ岳から神山に向かったときにも通ったところです。潅木の中からは鋭い鹿の鳴き声が聞こえてきました。奥多摩や丹沢でも鹿が増えたと聞きますが、この付近も鹿が増えているのでしょう。
ここからは防ヶ沢に向かって下ることにします。潅木の林の中をジグザグに下る道はそれほど急な道ではないものの、かなり長い下り坂です。そろそろ疲れた足が悲鳴を上げ始める頃、車の流れも多い車道にたどり着きました。ここから車を停めた箱根園までは約1時間の車道歩きです。
箱根の山には春の野を彩る花が咲いていました。真っ白なキクザキイチゲが明るい春の光を一杯に浴びながら小さな花を付けています。お馴染みのタチツボスミレのほかエイザンスミレも見付けることができました。