筑波山は小さいながらも日本百名山に名前を連なる山で、四季を通じてたくさんのハイカーでにぎわっている山です。人気の山と言うこともあって登山道も幾つか開かれています。今回山頂を目指す御幸ヶ原コースは筑波山に最初に登った時に利用したコースで、ガイドブックなどにも紹介されている筑波山の代表的登山コースです。
駐車場からは筑波神社を目指し参道を登っていきます。9月の末と言うのにもかかわらず暑い日が続いています。土曜日と言うこともあってか、たくさんのハイカーが山頂を目指していました。大きな筑波神社の境内から暗い杉林の中の坂道に汗を流しながら山頂へ。小さな子供を連れた家族連れ、会社の同僚でしょうか中年のグループなど。一緒に山頂を目指すハイカーも多いようです。
登山道の途中で今日最初の小休止をしたのち、暗い杉林の登山道を登って行くと中ノ茶屋跡と言う広場です。左手はケーブルカーの線路となっており、上りと下りのケーブルカーが交差するところです。
ここからは小さな露岩の登りが続いています。やがて登山道はケーブルカーのトンネルを越え男女川の源流へと下って行きます。岩の露出した道を下って行くと男女川源流の水場にたどり着きました。男女川は百人一首にも「つくばねの峰よりおつる男女川・・・」と詠われた清流で、男体山と女体山の間を源流とし、やがて桜川に注ぐと言います。小さな水場には水量は多くないものの、疲れた喉を潤す冷たい水が流れていました。
水場で一休みをしたのち、御幸ヶ原を目指し急な階段を登って行きます。やがて観光客の喧騒が近づいてくるとケーブルカーの山頂駅が建つ御幸ヶ原です。ケーブルカーで登ってきた家族連れや若いカップルなど、たくさんの人でまさにここは観光地と言ったところです。
ここからは男体山へ向い明るい坂道を登って行きます。小さな子供を連れたお父さんが子供を励ましながら山頂を目指行く姿はなんとも微笑ましいものです。小さな岩場を回り込むように階段を登って行くと立派な祠が祀られた男体山の山頂です。気温がかなり高くなっているのか視界は期待できません。目の前に見えるはずの霞ケ浦さえも霞の中にその姿を隠していました。
男体山からは御幸ヶ原に下ります。筑波名物と言う陣中膏を売っているみやげ物屋に立ち寄り一休みしたのち女体山へ。途中、遊歩道の傍らにあったベンチに腰を下ろし昼食です。
昼食ののち、女体山へと明るい遊歩道を登っていきます。ロープウェイ駅から下ってきた観光客と行き交いながら尾根道を登って行くと、立派な社が祀られた女体山の山頂です。たくさんの観光客でにぎわう岩塊の上に立つと目の前は広く視界が開けてきます。しかし秋霞の中、展望は期待できません。ここから富士山までは直線距離で157km。晴れていれば関東平野の先に富士山の姿を見つけることができるようですが、今回もその姿は見せてくれそうにもありません。
女体山からは弁慶茶屋をたどり筑波神社に下ることにします。女体山から弁慶茶屋までは奇岩が連なる変化のあるコースで、つつじヶ丘に下った時にも利用したコースです。裏面大黒、北斗岩、出船入船などと名付けられた奇岩を眺めながら坂道を下って行くとつつじヶ丘コースとの分岐点である弁慶茶屋です。以前は立派な茶店が建っていましたが、御主人がご高齢になったと言うことで昨年廃業したようです。茶店も取り壊され今は空き地になっていました。
ここからは暗い杉林の中を筑波神社へと下って行きます。このコースは白雲橋コースと言われるなだらかな下りです。やがて下りにも飽き始めるころ右手に白蛇弁天の小さな社が現れました。さらにしばらく下るとつつじヶ丘から下ってくる道を合わせる迎場分岐。さらになだらかに道を下って行くと筑波神社脇の登山口にたどり着きました。
まだ秋には少し早い筑波山にはあまり目立った花も咲いていません。それでも登山道にはキバナアキギリが黄色い花を付けていました。御幸ヶ原手前の登山道にはトリカブトが咲いていました。深く切れ込んだ葉はヤマトリカブトとは少し違うようです。筑波山の名前を持つツクバトリカブトでしょうか。山頂一帯にはおなじみのタイアザミも咲いていました。
女体山の山頂へと向かう道端には湿原に咲くコバギボウシが咲いています。このようなところに咲くには意外な気がします。またつつじヶ丘へと下っていく道端にはツルニンジンの花が咲いていました。淡緑色の花は気を付けないと見過ごしてしまいそうな花です。