高川山は1,000mに満たない低山ながら、正面に富士山、三ツ峠山、道志の山々などを望める展望の山としてガイドブックにも紹介されている山です。草深い道志の山にあっても、冬枯れの好日、日だまりの中をたどる軽い山行は、低山の暖かさを十分に感じさせてくれる山の一つです。
初狩駅の駅前から中央本線のガード下をくぐりぬけ、自徳寺の墓地の脇から林道を登り始めます。しばらく登ると暗い赤松林の中の椎茸栽培場。ここから道は左手の林の中をたどる登山道に変わります。暗い杉林の中をたどる急な坂道をしばらく登ると、登山道は右手の尾根に向かい登り始めます。たどりついた尾根道からは、冬枯れの木の間隠れに中央道に沿って開ける初狩の町並みを見渡すことができます。
尾根道で一休みした後、露岩の多い急な登りに息を切らせながら高度を上げて行きます。枯れ葉を踏みしめながら一歩々と急坂を登っていくと、大きな松の木のある小尾根にたどり着きました。ここからは大きく展望が開け、冬晴れの空の下に初狩の家並み、目の前に大きな頂を持ち上げるのは滝子山、その上に雁ガ腹摺山が見えています。
さらに小尾根を登るとやがて傾斜も緩くなり、クマザサに覆われた尾根道となります。さらに最後のひと登りに汗を流すと、あまり広くない高川山の山頂にたどり着きました。山頂にはすでにたくさんのパーティが思い思いに腰を下ろし昼食の最中。我々もここでコッヘルを出し昼食とします。
山頂からは360度の広い展望を楽しむことができます。正面にはテレビのアンテナを山頂に乗せた三ツ峠山。その後ろには山頂に笠雲を棚引かせた大きな富士山。さらに左手に目を転じると、杓子山から大きな御正体山を始めとする道志山塊の山々。振り返ると滝子山とその後ろに雁ガ腹摺山。白く雪を抱き霞んでいるのは南アルプスの鳳凰三山です。しばし地図を片手に冬空の下に広がる大きな山岳展望を楽みました。
高川山からの下山道は、禾生駅に下る古宿コースと、田野倉駅に下る小形山コースがあるようです。今回は小形山コースをたどり田野倉駅へと下ることにします。冬枯れの雑木林の中を下る下山道には厚く落ち葉がつもり、カサカサと心地よい音を聞かせてくれます。急な下り坂をしばらく下ると、やがて暗い杉林の中をたどる道となります。この道もすぐに終わり、舗装された林道に飛び出しました。ここから田野倉駅までは舗装道路を約15分。田野倉駅からはしばらくの待ち合わせで大月行きの富士急の電車がでるようです。