滝子山は大菩薩嶺から南に連なる小金沢連嶺の最南端に位置する山で、低いながらも立派な山容をした山です。山頂からの眺望もすばらしく、富士山や大菩薩嶺の好展望台となっていると言います。しかし同じ中央線の沿線にありながら、近くの扇山などに比べれば歩く人も少なく、静かな山旅が期待できる山です。
笹子駅からは国道20号線を大月方面にしばらく戻ります。途中には、笹子名物の笹子餅を売っいる店がありました。「名物に旨いもの無し」とは言いますがお土産に買って行くことにします。稲村神社の角から道を左に折れ、笹子の集落の中を緩やかに登って行きます。中央高速道路の下をくぐると大鹿沢に添う林道を登るようになります。さらに林道をしばらく進と大鹿峠への分岐点。水の少なくなった大鹿川を渡り、大鹿川の支流に添って広葉樹の林の中を登って行きます。道には落ち葉が厚く積もり、前日の雨を含んでかなり湿っていました。
しばらく登ると登山道は右岸に渡り、沢を離れ暗い針葉樹林の中を登るようになります。たどり着いたところが曲沢峠への分岐点。しだいに勾配も緩やかになり、木の間隠れに幾つかの滝や瀬が姿を表わします。やがて道は沢沿いの踏み跡をたどる緩やかな登りになります。しばらく進と崩れかけた造林小屋にたどり着きました。ガイドブックではこの沢を詰めるようになっていますが、現地の指導標では左手の尾根を登るようです。
登山道は針葉樹の中を登って行きます。あまり人が入っていないようで、クマザサが登山道に覆いかぶさり非常に歩きにくい登りです。
稜線にたどり着くと登山道は潅木の中を、山頂を目指し登って行きます。しばらくすると大谷ガ丸への分岐点。ここからは植林帯の中を登る急な登りが始まります。途中にある古びた神社の前には小さな鎮西ガ池。池というにはあまりにも小さな水溜まりです。最後の登りに息を切らせると狭い山頂にたどり着きました。すでに数人のパーティが昼食をしています。我々もここでお弁当を広げることとします。
山頂からは正面に大谷ヶ丸、その後ろに見えるなだらかな山は大蔵高丸。晴れていれば大菩薩嶺や遠く奥多摩の山並みも眺めることができるようですが、今日は雲に隠れその姿をみせてくれません。振り返る笹子側は雲が巻き上がり視界はまったく望めませんでした。
昼食の後、初狩駅へと下ることとします。山頂を下ったところにあるのが三角点のある頂。この付近はツツジ咲くところのようですが、まだ赤い蕾を付け始めたところです。登山道は広葉樹の林の中を下る急坂となります。しばらく下った台地が檜平。ここからは南側の視界も開け、中央線の向かい側の山が眺められます。手前に見えるのは鶴ヶ鳥屋山、その奥に見えるのは三ツ峠山でしょうか。
檜平からは再び急な尾根道を下って行きます。しばらく下ると沢沿いの道になり、ようやく勾配も緩やかになります。しばらく荒れた沢道を下っていくと藤沢の集落にたどり着きました。ここから初狩駅までおよそ30分の道のりです。
滝子山は思いのほか色々な花が咲いている山です。大鹿沢からの登りにはマムシグサが咲いていました。1,000mを超えた付近には、まだスミレが咲いています。紫色のスミレはタチツボスミレ、白いスミレはツボスミレでしょうか。
山頂にかけての登りに咲いていたのはシロバナエンレイソウ。白い可憐な花はタチカメバソウでしょうか。オダマキの葉がかなり伸びていましたが、まだ花の季節には時間があるようです。
下山道の枯れ葉の下から顔をのぞかせていたのはギンリョウソウ。別名ユウレイソウというように、真っ白な花は少し不気味な感じがします。これでもイチヤクソウの仲間と言います。