藪の多い道志の山も晩秋から初冬にかけては広い展望が楽しめる尾根歩きの季節を迎えます。倉岳山や高畑山もそのような道志の山のひとつで、目の前にそびえる雪を被った富士山や丹沢などの展望を満喫しながら、軽い山歩きが楽しめる山です。
新宿から中央線で鳥沢の駅へ。目の前には扇山が紅葉に染まっていました。たくさんのパーティが鳥沢の駅で降りましたが、ほとんどは扇山に向かうようです。高畑山に向かうのは我々を含め数人だけです。
鳥沢駅から、駅前の甲州街道を高尾方向へ10分ほど戻ります。ここから道を右に折れ秋のけはいも深くなった立野の集落を進んで行きます。桂川に架かる虹吹橋を越え、しばらく舗装道路をたどると、小篠貯水池にたどり着きます。ここからは道も登山道となり、色付はじめた木々の間をダラダラと倉岳山の分岐点へと登って行きます。たどり着いた分岐点は小さな石仏が一つあるだけで、朽ち果てたのか指道標も建っていいません。
分岐点からは道を右にとり、やや急な尾根道を登り始めます。振り返ると木の間隠れに紅葉の始まった扇山、左手には倉岳山が快晴の秋の陽を浴びていました。しばらく登ると勾配も緩やかになり、振り返ると大菩薩嶺をはじめとする小金沢連嶺の山並み、正面にはこれから登る高畑山の山頂が見えてきます。この付近にはその昔、高畑仙人が住んでいたという仙人小屋の跡があると言います。しばらく登ると南側が大きく開けた高畑山の山頂にたどり着きました。
山頂からは広い展望を楽しむことができます。目の前には菜畑山、朝日山、赤鞍ヶ岳などの道志の山と、その上に白く雪を被った富士の秀峰が雲一つない快晴の秋の陽を浴びています。右手に連なる山並みは三ツ峠山を始めとする御坂山塊の山並み。今日はこの展望を楽しみながら少し早い昼食です。
昼食の後、高倉山の山頂から穴路峠に向かって下って行きます。幾つかの小さなコブを越えた小さな頂は天神山。目の前には道志の山並みと無生野の集落が広がっていました。天神山を少し下った小さな峠が穴路峠です。ここから倉岳山の山頂までは潅木の尾根道をしばらく登ることとなります。たどり着いた倉岳山の山頂は潅木に覆われ、東側にわずかな展望のある頂です。すでにたくさんのパーティが休息をしています。我々も丸太に腰を下ろし小休止です。
倉岳山からは、立野峠を越え梁川に下ることします。急な坂道をしばらく下ると暗い立野峠。そのまま進と寺下峠、矢平山、高柄山へと道が続いているようです。右手は無生野へと下る道。我々は左手の道をとり梁川へと下ることにしました。山腹をしばらく下ると立野沢に沿った下りとなり、程なく立野の集落にたどり着きました。JRの梁川の駅はすぐ傍です。