表参道入口9:40~清浄ノ滝10:30/35~705m付近10:55/11:00~薬師堂跡11:25/30~奥宮遥拝所12:05/10~大島屋12:15/50~妙法ヶ岳分岐13:15~1275m付近13:35/50~奥宮14:25/55~妙法ヶ岳分岐15:40~三峯神社16:05/20~三峯神社バス停16:20
山の会の初詣山行は秩父三峰山です。秩父三峰山は妙法ヶ岳(1332m)、白岩山(1921m)、雲取山(2017m)の三山の総称ですが、三峯神社が祀られた頂を指すことが多いようです。
山麓の大輪から三峯神社までは三峰ロープウェイが運行されていましたが、施設老朽化に伴い平成19年(2007年)で廃止されました。今回はかつての表参道をたどり三峯神社、奥宮の妙法ヶ岳への初詣の山行です。
三峯神社は、秩父神社、宝登山神社とともに秩父三社の一社で神仏習合の歴史を今に伝える神社です。表参道の薬師堂や奥宮の妙法ヶ岳などの名前にも神仏習合の匂いが残っているようです。
また三峯神社は神話にも登場する日本武尊が創建したと伝えられるところで、そののち修験道の祖、役小角が修業をし、弘法大師空海が観音像を安置したとされています。
秩父周辺には狼(山犬)信仰が伝えられています。日本武尊の東征の時、雁坂峠で道に迷った日本武尊を白い狼が現れ道案内をしたと語り伝えられています。狼はまた猪や鹿などの害獣から守る力があると言うことから、火防、盗賊除けにご利益があるとして狼の姿の入った神札が広く信者に頒布されていました。三峯神社や武甲山神社、釜伏山神社、御嶽神社の社には狛犬の代わりに狼の石像が祀られています。
大輪バス停近くには駐車場が2ケ所あります。その一つ紅屋の駐車場に車を停め荒川に架けられた登竜橋へと下って行きます。三峯神社のロープウェイが廃止になってからは訪れる人も少なくなったようで土産物屋さんもひっそりとしていました。
かつて表参道はを多くの参拝者が歩いていたようで石畳の道にはたくさんの奉納碑が建っています。しばらく登った広く開けた広場はかつてのロープウェイ駅跡です。この付近はシャクナゲが咲くところで、竜門の滝や夫婦滝、神庭鍾乳洞への遊歩道が分かれていました。
ここからは大砥沢沿に登る登山道が始まります。北斜面を登って行く陽の当たらない登山道は、凍ってはいないものの葉を落とした山肌は冬の色に包まれています。登っている人が多いのか登山道は良く整備され危険なところには柵やロープが張られています。崩壊したところには鉄パイプの橋も架かっていました。
昨年の台風では三峯神社へ登って行く観光道路は斜面崩壊などで1月以上通行止めになっていました。しかし表参道では大きな被害もなかったようです。
しばらく登ると禊沢に架かる清浄ノ滝であす。二股になって落ちる滝は落差8mとか、滝の傍には鳥居と小さな石祠が祀られています。山道を下ってくる白い胴着の若者は極真会の人、100人ほどが三峯神社で合宿したのちこの滝で寒稽古を行うと言います。滝行などの話は聞くことがありますがこの寒さの中ではかなりの気合が必要なのでしょう。
ここからは明るくなった雑木林の登りです。ジグザグに登る道は思いのほか急な登りで息も弾みそうです。たどり着いた東屋が建つ広場は薬師堂跡です。表参道の登りに疲れた人や病人などの看護も行っていたようで近くには施宿供養塔が建っていました。ここでは寒稽古に下る極真会の人が休憩しています。フランスやイラン人など海外から寒稽古にやってきた人もいました。柔道だけでなく空手もまた海外にも認められた日本の武道となっているのでしょう。
ここからも急な登りが続きます。しばらく登ると古い民家が数件、雨戸は締まっているものの電気も通じているようで生活の匂いもします。三峯神社まで細い林道も続いているようですがなかなか生活も大変なところでしょう。
暗い杉林の中をジグザグに登ると奥宮遥拝所にたどり付きました。青空の下には斜面い雪が見え隠れする妙法ヶ岳の山頂がそびえています。
奥宮遥拝所から僅かに下ると三峯神社の随身門があります。車などで登ってきた参拝客が社殿へと向かっているようですが我々は奥宮へと向かうことにしました。
舗装道路を左手に進むと土産物屋さん、丁度お昼時ということで秩父名物のわらじカツ丼を食べていくことにします。蓋からはみ出すように盛られたわらじに見立てたカツが2枚、話のタネにはなりそうなボリュームたっぷりのお昼ご飯でした。
ここからは雲取山へと続く登山道、暗い杉林の右側は石楠花の群生地です。緩やかに登って行くと登山ポストがあります。かつてゴールデンウィークのとき三峯神社から雲取山に登りましたが、山頂までは10km、6時間ほどの歩程があった記憶が残っています。
しばらく登ると奥宮への分岐です。暗い杉林の中を緩やかに登って行く道は稜線を回り込むようにして高度を上げて行きます。三峯神社から妙法ヶ岳を往復したと思われるハイカーが下ってきます。軽装でスニーカーの若者が多く、細いトラバース道は凍結してるため滑って転んだと言っていました。
稜線のベンチから奥宮五の鳥居までの北斜面は左手が切れ落ち凍結しています。念のためと思いながら持ってきた軽アイゼンを付けました。アイゼンの歯が氷を刻む心地よい音がスノーハイクの雰囲気を感じさせてくれます。
五の鳥居からは岩場が始まります。1329mのピークを巻くようにして登ると鉄パイプの階段、かつては腐りかけた木の階段があったところです。山頂直下は急な石段と鎖、アイゼンを脱ぎひと登りすると石祠が祀られた奥の院にたどり着きます。狼の石像が守る石祠の周囲には奉納碑が祀られていました。
振り返ると霧藻ヶ峰から白岩山、雲取山へと登って行く稜線、左手は長沢背稜の長い稜線、右手には飛竜山や和名倉岳の頂を見付けることができます。その山肌は寒そうな雪景色になっていました。
帰りは鎖を下り奥宮五の鳥居へ、再びアイゼンに履き替え狭いトラバース道を下って行きます。車で登ってきたのかこの時間になってもまだ妙法ヶ岳に登ってくる人もいました。
低くなった日を浴びながら三峯神社への道を下って行きます。帰りは三峯神社からバスで大輪まで下ることに、最終バスは4時半なので多少時間があると言うことで三峯神社に参拝しました。随身門を下って行くと本殿へと登る急な石段です。疲れた足には思いのほかきつい登りでした。
極彩色の本殿に参拝する人は多くありません。でも正月の期間はさぞ多くの人が参拝に訪れたことでしょう。冬の奥秩父、積雪が気になっていましたが思いのほか雪もなく軽い初詣山行としてはお勧めの山行のようでした。