城山コース登山口-(0h50m)-996m付近-(1h10m)-1200m付近-(0h35m)-熊倉山山頂-(1h25m)-865m付近-(1h15m)-城山コース登山口
熊倉山は酉谷山から派生する稜線の上に小さな頂です。近くには三峰山など人気の山も多いことから訪れる人が少ない静かな山歩きができる山として、ガイドブックにも紹介されています。登山道は白久駅から登る林道コース、武州日野駅から登る日野コースと城山コースが開かれていますが、何れも標高差は1,100メートル、長いアプローチが必要な山として紹介されていました。今回は細い露岩の尾根をたどる城山コースを登ることにしました。
林道わきに造られた駐車スペースにに車を停めたのち、ヒノキの林の中を登り始めます。登り始めからジグザグを切りながら登って行く急登に思わず息も荒くなってきます。ヒノキ林の登りと言うことで目立った花はありませんがそれでも僅かにこぼれてくる春の陽を浴びながらナガバノスミレサイシンが白い花を付けていました。
しばらくジグザグを繰り返すと雑木林が混じった稜線を登るようになります。目を道端に落とすとカタクリがピンクの花をほころばせています。カタクリは花が咲くのに7~8年、葉が2枚になると花が咲き始めると言います。目の前に斜面は1枚葉のカタクリが多いようです。数年もすればこの斜面もカタクリの群生が見られるのかも知れません。
まだ芽ぶきも始まれいないもののあまり視界の利かない急な斜面に息を切らせながら稜線を登って行きます。途中、996メートルの小ピークの手前で小休止です。
やがて稜線は細くなり露岩も目立ち始めるようになります。目を上げると咲き始めたアカヤシオの先に山頂へと続く急なコブがそびえたっていました。木の根がうるさい急な斜面を登り返すと固定ロープのある露岩の下り、登り返すと再び露岩の細い稜線が待っています。なかなか登りごたえのある尾根道です。
木の根がうるさい急坂を登り返すと山頂直下です。大きな岩に脇を通り抜けると山頂へ向かって登る最後の急坂。大きな岩を巻くようにして登る急坂は固定ロープがほしそうなところです。右手は谷が深く切れ落ち、斜面にはアカヤシオも咲くようですがまだ蕾さえも膨らんでいません。
急な登りは左手から日野コースを合わせ山頂へたどり着きました。南北に長い稜線の上の山頂には3等三角点、その奥には小さな石祠も祀られています。この先は酉谷山に向かう縦走コースとなっているようです。小さな岩の上に立ってみましたが木々に遮られわずかに酉谷山の稜線が望めるだけです。
小さな広場でコッヘルを広げていら単独行の若者はこれから酉谷山に向かうとか。昨年の暮れにも酉谷山に行ってきたと言います。ここからは境界石を目印に登山道たどると迷うこともない・・・。酉谷山の避難小屋はとても綺麗になったと言っていました。
帰路は日野コースへ下ることにします。山頂直下の分岐で道を右に折れると、登山道は暗いヒノキの林の中をジグザグに下って行きます。今年は遅くなってから雪が降ったこともあり、重たい雪でヒノキは幹から折れ曲がり登山道をふさいでいます。思いのほか歩きにくい下りです。
ジグザグに下った登山道はコバイケイソウが芽ぶき始めた緩やかな斜面にたどり着きました。ここは笹平と呼ばれるところで、コバイケイソウに交じってハシリドコロが毒々しい紫色の花を付け始めています。早春に芽を吹くコバイケイソウは山菜のウルイと間違えやすいようで、誤食による事故の話を聞くこともあります。ハシリドコロも若葉はフキノトウと間違えるとか。確かにオシタシにでもしたら美味しそうな若葉色をしています。キノコだけでなく山菜も判らないものは採って行かない方が良さそうです。
小さな水場を越え、芽ぶきも始まらない明るい沢沿いの道を下って行きます。途中には固定ロープの張られた小さな岩場もありました。
たどり着いた沢は官舎跡とか。目の前に岩の上にはミツバツツジが赤い花を付けています。標高は860mほど、この付近になると遅い春も本番を迎えているようです。若葉色が芽吹き始めた斜面にはほんのりとピンク色の山桜が咲いていました。
回り込むように斜面を下ったところが三又です。ここからは朽ちかけた丸木橋で沢を渡り返しながら林道との出会いである一ノ橋を目指して下って行きます。目を道端に落とすとニリンソウが咲き始めていました。
たどり着いた林道の終点から砂利の道を下って行きます。やがて道は日野から登ってくる車道に。ここから左手に登り返すと車を停めた城山コースの登山口にたどり着きました。
雑木林の中を登る城山コースはあまり目立った花は咲いていません。それでも木漏れ日を浴びてナガバノスミレサイシンやカタクリが咲いています。露岩帯の細い稜線にはイワウチワの花も見付けることができました。
日野コースへの下りにはたくさんのハシリドコロが咲いています。他の山ではあまり見ることのない花ですが、この沢一帯がハシリドコロの紫色の花に包まれていました。