松飾も取れ正月気分も終わると、冬枯れの箱根や奥武蔵などの低い山を歩くには、ちょうどよい季節が始まります。奥武蔵の寄居にはかねてから気になっていた鐘撞堂山があります。展望台が建つ山頂は、戦国時代に寄居鉢形城の出城があったところとか。敵の来襲を知らせるため鐘を撞いたことから鐘撞堂山と名付けられたと言われています。
寄居町の駐車場に車を停め、大正池への指導標に導かれながらアスファルトの道を歩き始めます。国道140号線を越えると、道は閑静な集落の中を進んで行きます。しばらく明るい道を進んで行くと右手に灌漑用の溜池という大正池。小さな湖面は真っ白に凍り付いています。やはり秩父の冬はかなり冷え込んでいるようです。
ここからは竹や杉などに覆われた坂道を登って行きます。やがてミズナラやシイなどの雑木林の中を登るようになると鐘撞堂山直下の急な階段が目の前に現れます。急な階段ひと登りすると広く開けた鐘撞堂山の山頂です。
小高い展望台が建つ山頂は多少木立が煩いものの、広い展望を楽しむことが出来ます。正面には奥武蔵の堂平山や大霧山、城峯山がそびえています。その右手には特徴のある両神山の岩尾根。さらにその右手には白い雪を被った浅間山や榛名山。子持山の上には谷川岳が雪に覆われた山頂を青空の下に連ねています。低山としてはまさに一級品の展望が楽しめる山頂です。
山頂では地元のハイカーが正月初めての山登りということで集まっていました。山頂にはこの人達が山岳同定の助けのためにと設置した竹筒がありました。笠山、城峯山などと書かれた竹筒をのぞくと、その山頂が見えるようになっています。山頂のベンチなどもこの人達が作ってくれたもののようです。
この山の主のような話し好き小父さんは子供の頃からこの山に登っている人のようで、鐘撞堂山周辺の登山道を紹介してくれました。低山の常か、たくさんの登山道が開かれているようです。ガイドブックでも紹介されていた円良田湖へ下って行く道のほかにも清澄山を経て天正寺に下る道、高根山から上水道の配水池に下る道など。中でもお勧めは南斜面を下って行く八幡山への道とか。東武鉄道の桜沢駅も近くアスファルトの道を歩くことも少ないと言います。
下山は勧められた南斜面コースへ。冬枯れの明るい雑木林の中を緩やかに下って行きます。途中、急な階段などもありますが心地良いヒルウォークを楽しむことができる山道です。八幡山の小さな頂で最後の展望を楽しんだ後、暗い竹林の中を八幡宮に下って行きます。ここからアスファルトの道をしばらく歩くと、車を停めた寄居町の駐車場にたどり着きました。