関東周辺はすでに梅雨明け宣言も発表され連日厳しい暑さが続いています。例年にない早い梅雨明けでしたが北アルプス周辺はまだ梅雨前線も北上していないようで天気は不安定です。南アルプスは好天に恵まれたもたのの、北アルプスでは雨たたられたと言う話しも聞こえていました。
とりあえず晴れマークが続くとの天気予報に昨年、途中敗退した三俣蓮華岳から鷲羽岳への再挑戦と言うことで3泊分の食料で重くなったザックを背負い自宅を後にしました。
金曜日と言うことでたどり着いた深山山荘の駐車場はすでにたくさんの車です。車の誘導をしていた地元の人の指示で鍋平の駐車場へ、ここもすでにたくさんの車が停まっていました。
鍋平5:25-(2h35m)-わさび平8:00/35-(0h25m)-小池新道入口9:00-(0h35m)-1610m付近9:35/10:10-(0h35m)-1800m付近10:45/11:10-(0h55m)-シシウド平12:05/50-(1h00m)-鏡平山荘13:50 (宿泊)、歩行時間:6h05m
鍋平の駐車場で一夜を過ごしたのち新穂高温泉へ。鍋平からは急な雑木林の中を下って行くことになります。道はかなり荒れた急坂で思わぬ時間がかかってしまいました。
新穂高温泉からはなだらかな林道を登って行くことになります。駐車場が一杯だったためか駐車禁止の林道にもたくさんの車が停まっています。
しばらく登った所が車止めのゲート、後から追い越してきた人に教えられましたが近くの木の上に熊がいたとか。この周辺にも熊が出没しているようです。
岩の間から冷たい風が吹き出すお助け風を越え単調な砂利道を登って行きます。左手には笠ヶ岳へと突き上げる崩壊が激しい岩峰がそびえ立っていました。
たどり着いたわさび平小屋ではたくさんの人が朝食の最中です。我々も重いザックを下ろしお握りの朝食にしました。
わさび平小屋から林道を登って行くと小池新道の分岐、奥丸山への登って行く林道を右に分けると河原の傍から登山道が始まります。
石畳のように良く整備された登山道は明るい雑木林の中を緩やかに登って行きます。気温はかなり上がっているようで汗を拭きながらの登りが続きます。たどり着いた広い沢は秩父沢、まだ雪渓が残る沢には激しい流れが音を立てていました。
小さな沢を越えるとチボ岩、さらに雑木林の中を登って行くと広く開けた岩の広場にたどり着きました。振り返すと小川新道の登り口が小さく見えていました。ここからシシウド平までが思いの外急な登りです。背丈の高い草原が広がる広場はイタドリ平、さらに急坂を登って行くとシシウド平です。
付近一帯はガスの中、気温も低くなっているようでベンチの前には雪渓が融け残っています。その上には大ノマ乗越から落ちてきたのか大小の石が、登山地図にはここから大ノマ乗越へと登って行く道があったようですが危険なためか通行できないようでした。
シシウド平からは右手の稜線を巻くように登って行きます。しばらく登ると熊ノ踊り場と呼ばれる小さな湿原、さらに登るとコバイケイソウの群生するお花畑です。
ここから鏡平までは5分、右手の稜線を登ると鏡池、たくさんの人で賑わう鏡平山荘は目の前でした。時計はまだ2時前ですがかなり疲れたのが実感です。昨年もそうでしたが今回も鏡平山荘で泊って行くことにしました。
今回は週末、昨年は1部屋に夫婦2組でしたが今回は団体客も入っているようで畳1枚に2人、おまけに隣に寝ていた人はひどい鼾、まるで山荘の中にカバがいたようで眠れないひと夜を過ごしてしまいました。美味しい食事は有り難いものですが混雑は激しい時はやはりテント泊のほうが良いものです。
鏡平山荘5:50-(1h30m)-弓折乗越7:20/35-(1h25m)-双六小屋9:10(テン泊) 、歩行時間2h55m
夜明け前、山荘から見上げる槍ヶ岳は頭を雲の中に隠しています。小さな明かりは槍岳山荘の明かりのようですがやがて雲の中に隠れてしまいました。
6時前、早立ちの人のあとを追うように弓折乗越への稜線を登り始めます。明るい雑木林の尾根道はコバイケイソウなどの花を眺めながらの登りです。振り返ると箱庭のように広がる鏡池と鏡平山荘、その上に連なる槍ヶ岳から奥穂高岳の稜線は厚い雲の中にその姿を隠していました。
しばらく登った所が弓折中段、ここからは弓折岳の山肌を巻きながら緩やかに登って行きます。やがて喧騒が近付いてくると弓折乗越、笠ヶ岳と双六岳の分岐となる広場でたくさんの人が休憩を楽しんでいました。
ここからは緩やかな稜線歩きが始まります。途中にはシナノキンバイやハクサンイチゲなどのお花畑が広がっています。
先ほどから稜線をヘリコプターが飛びまわっています。花見平付近で出会った男性の話では昨日この稜線で熊に襲われて男性が怪我をしたとか、三俣蓮華岳付近でも熊が目撃されたと言います。昨日小池新道の入口で出会った人たちは登山道の下草を刈るために登って来たとか、ヘリコプターもまた熊を登山道から追い払うためにあたりを旋回しているようです。
小さなアップダウンを繰り返し樅沢岳の斜面を巻くように下って行くと双六小屋です。曇り空からはしとしとと雨も落ちてきます。これから双六岳、三俣蓮華岳に向かうのは無理というもの、双六小屋のテン場でテントを広げることにしました。
日中、一時晴れ間ものぞきましたが夜は強い風がテントに吹き付けてきます。我々にとってこの山域は天候に恵まれないところのようです。広いテン場にはたくさんのテントで賑わっていました。隣のテントは長野の山岳会のパーティのようで山談議に話しが弾んでいるようです。何処の山の会にもいるお局さんでしょうか、自慢げに山の話をしていました。
双六小屋7:15-(2h10m)-鏡平山荘9:25/40-(0h50m)-シシウド平10:30/35-(0h50m)-秩父沢11:25/30-(1h05m)-わさび平小屋12:35/55-(1h10m)-新穂高ロープウェイ駅14:05、歩行時間6h05m
昨夜から降っていた雨は一向にやむ気配を見せません。双六小屋で見た天気予報でもこの山域一帯が雨雲の通り道となっているようです。今回も三俣蓮華岳の山頂はあきらめ新穂高温泉を目指し下ることにしました。
ザックの中は1日分の食料を消化しただけ。結局は2泊分の食料を背負っての下山です。それでも登りに比べかなり楽になったのは気のせいでしょうか。稜線の途中は草が刈り払われ、熊避けに缶が置かれていました。これを叩いて熊が近付かなくするのでしょう。
緩やかなアップダウンを繰り返しながら弓折乗越へ、ここから明るい稜線を下って行くと鏡平山荘です。雨足は弱まる気配も見せず降り続いています。鏡池山荘からは新穂高温泉を目指して下って行きます。
シシウド平を越えるとようやく雨脚は弱まってきました。ここから小池新道の入口までが思いの外と長い道程、疲れ始めた足には雨で重たくなったザックが堪えます。たどり着いたわさび平でようやく雨具を脱ぐことができました。
新穂高温泉からは鍋平の駐車場へ向かうことになりますが急な坂道を登る気にはなれません。15分ほどの待ち合わせで、新穂高第1ロープウェイでしらかば平まで登りました。観光客と一緒に乗り込むロープウェイは汗でのしみ込んだ登山ウェアが少し気恥ずかしいものがありました。
この時期、北アルプスは短い夏を惜しむかのようにたくさんの花に彩られる稜線です。目立つ花はコバイケイソウ白いガスの中に広がる群生は幻想的な花景色です。
弓折乗越から双六小屋への稜線もまたたくさんの花が咲くところです。まだ融け残った雪田の脇にハクサンイチゲが白い花を付けています。北海道に咲くハクサンイチゲも花柄が短いエゾノハクサンイチゲですが、この稜線のハクサンイチゲも花柄が短いようです。