白山~クロユリの咲き乱れる花の名峰へ~ 


標高
白山(御前峰) 2,702.2m
山域
北アルプス
登山日
2009年7月31日-8月1日、前夜発
歩程
31日 5:35、1日 5:50
歩行距離
14.2km
標高差
1,430m
累積標高差
+1,498m、-1,498m
登山口
別当出会いmapon
交通機関
 別当出会い
登山コース
(7月31日)別当出会い-甚之助避難小屋-南竜ヶ馬場分岐-室堂(泊)(8月1日)室堂-御前峰-室堂-黒ボコ岩-甚之助避難小屋-別当出会い
コースmap
白山 登山コース

 

白山は日本百名山にも選ばれた山です。また花の百名山にはミネズオウの咲く山としてその名を連ねた花の山です。この山に咲く花にはハクサンフウロなど白山の名前を頭に付ける花が18種ほどあると言います。しかし白山の固有種は無くその多くは他の山にも咲いているようです。植物の調査でこの山で最初に発見されたことでハクサンの名前を頭につけているということでしょうが、この山が多くの花に恵まれた山との証左の一つでしょう。

山行の記録

 コースタイム詳細

 7月31日(金)

金沢駅=白山登山バス=別当出会い-0:50→中飯場-0:35→別当覗き-1:05→甚之助避難小屋下-0:20→甚之助避難-0:40→展望台-0:30→エコーライン分岐-1:00-弥陀ヶ原-0:35→室堂(宿泊)、歩行時間 5:35

 8月1日(土)

室堂-0:50→御前峰-1:30→室堂-0:30→黒ボコ岩-1:00→甚之助小屋-0:40→別当覗き-0:40→中飯場-0:40→別当出会い=白山登山バス=金沢駅、歩行時間 5:20

 

 (7月31日)

たどり着いた早朝の金沢駅は閑散としています。しばらくすると我々と同じように白山へ向かう登山者がバス停に集まってきました。登山バスは色とりどりのリュックサックを持った登山客を乗せ登山口である室堂へと向かいます。白山方面の空には青空が顔をのぞかせていますが低気圧が近づいているようで、週末の天気は期待できそうにありません。たどり着いた室堂で準備体操をしたのち、さっそく山頂を目指すことにしました。

 室堂~別当覗き~甚之助避難小屋~南龍ヶ馬場分岐

白山神社の鳥居をくぐると別当谷に架かるつり橋です。ここから登山道が始まります。青空はのぞいているものの、白い飛沫を上げながら落ちる不動滝から上は巻き上がる雲に覆われています。

暗い針葉樹の林の中を緩やかに登って行くと別当谷から登ってくる林道を横切ります。さらにひと登りしたところが中飯場と言われるところで、大きな休憩所が建っていました。

金沢駅のバス停
鳥居を渡ると登山道

ここからは雑木林の中の登山道が続いています。道の両側には夏山を彩る花が咲き乱れ、白山は今が夏の真っ盛りを迎えようとしています。

別当覗き、甚之助避難小屋下で小休止したのち、黒ボコ岩へと登って行く道を左に分け龍ヶ馬場へと向かっていきます。この付近は高茎草原のお花畑となっているところで、明るく開けた斜面にはたくさんの花を見つけることができます。しかし降り始めた小雨の中、展望は望むべくもありません。わずかにガスの中に南龍山荘が霞んでいました。

地滑り工事の案内板
不動滝の上に弥陀ヶ原の稜線
甚之助谷は雲を巻きあげ
甚之助避難小屋の分岐

 南龍ヶ馬場分岐~弥陀ヶ原~室堂

南龍山荘への道を右に分けガスが舞い上がる稜線の道を登って行きます。木の階段が続く登山道は色とりどりの花が咲き、花弁に小雨の滴を受けますます艶やかさを増しているようです。

やがて木道が現れると弥陀ヶ原の湿原です。木道の脇に目を落とすと咲き残ったハクサンイチゲなどに交じり茶褐色の花を付けたクロユリが咲いていました。

ガスに霞む南龍山荘
木道が続く弥陀ヶ原

黒ボコ岩へと下って行く道を左へと分けると、室堂へと登って行く石交じりの急な登りが始まります。白山は雪の多い山なのでしょう、まだ雪渓が融け残っていました。

たどり着いた赤い屋根の室堂はビジターセンターが改築されたようです。宿泊棟は内部が改修されたようですが、建物そのものは古い建物を改修しただけとか。これも廃材をあまり出さないための配慮のようです。

夕食の前、自然指導員による室堂周辺の花を紹介する観察会がありました。目の前には御前峰が雲の中からこぼれてくる夕陽に照らされています。しかし巻き上がる雲にその姿も何時か隠れてしまいました。

弥陀ヶ原にはコバイケイソウのお花畑
たどり着いた室堂
白山神社の奥に御前峰
室堂の夕食

 8月1日(土)

 室堂~御前峰~室堂

朝起きると辺りは白いガスの中です。天気予報でも今日、明日は雨模様の天気と言います。食事ののち、雨具に身を固め御前峰をひとめぐりしてくることにしました。晴れていればお花松原まで足を伸ばそうと思っていましたが、この天候では山頂をまわってくるのも厳しいくらいです。

白山神社の傍から石の階段は御前峰を目指して登って行きます。稜線が近づくと吹き付ける風と雨で視界は全く利きません。たどりついた御前峰の山頂には白山神社の奥宮と三角点が建っていました。

山頂で一休みしたのち早々に下山することにしました。山頂から真っ白いガスの中をお池巡りコースへ。岩屑の道をジグザグを切りながら下って行くと、紺屋ケ池、翠ケ池などの小さな池がガスの中にその姿を見せてくれます。しかし吹く付ける風と雨で湖面を眺める余裕もありませんでした。

雨の室堂を御前峰へ
御前峰に祀られた奥宮
山頂には三角点
辺りはガスに覆われています

 室堂~別当出会い

たどり着いた室堂で衣服を乾かすながら一休みです。昨日、観察会でガイドを務めてくれた人と雑談。毎年白山に登りガイドをしているがガイド仲間も高齢化が進んでいるようで、白山に登れない人もいるとか。ガイドさんの世界も若い後継者が必要な時期に差し掛かっているようです。

雨脚が幾分弱くなったようなので室堂を後に、下山は黒ボコ岩から砂防新道を下ることにしました。真っ白いガスの中、わずかに浮かぶ黒ボコ岩から木の階段を下って行きます。

週末ということもあり、たくさんの人が山頂を目指した登って行きます。しっかりと雨具を着込んだ人、折りたたみ傘だけの人、あまり登山経験がないのがザックカバーの代わりにビニール袋でザックを包んだ人、子供連れのファミリー登山から学校の親子登山なのか小さな子供連れの一団など、色々な人が山頂を目指しています。地元の人にとって白山はそういう身近な山なのかもしれません。

黒ボコ岩もガスの中
延命水
甚之助避難小屋
つり橋を越えると別当出会い

雨脚が激しくなった甚之助避難小屋で昼食を兼ね雨宿りです。狭い小屋はたくさんの人で込み合い足を踏み入れる余地もありません。

甚之助避難小屋からも雨にぬれた登山道を下って行きます。途中で出会った子供連れのパーティは学校の親子登山でしょうか。登頂をあきらめて下山すると言います。事故などが起こる心配は少ないでしょうが、雨にぬれて風邪などに罹ると色々問題になるのでしょう。

やがてガスの先につり橋が見え始めると別当出会いは目の前です。たどり着いた別当出会いの休憩所で濡れた雨具などを乾かしながら金沢行きのバスを待つことにします。

山で出会った花たち

室堂出会いから甚之助避難小屋へ登って行く登山道にはソバナやホタルブクロなどの花を見付けることができます。ハクサボウフウもまたハクサンを頭に付けた花の一つですが、セリ科の花は見分けるのが難しい花の一つです。この登山道にはハクサンボウフウのほかオオハナウドやミヤマゼンコなども咲いていると言います。

また目立たない花ですが登山道にはヤマブキショウマも咲いていました。似た花にトリアシショウマがあります。トリアシショウマは鋸歯が大きいなどの違いがありますが、この花もなかなか見分けが付かない花の一つです。

甚之助避難小屋からは竜ヶ馬場分岐へと向かいます。高茎草原のお花畑を横切るように進む登山道は花に恵まれたところで、イワオトギリやイブキトラノオ、ミヤマホツジ、ヨツバシオガマなどお馴染みの高山植物が目を楽しませてくれます。しかし、白山の代名詞ともいうハクサンフウロは意外にその数は多くありません。わずかに数株のピンクの花が登山道の脇にひっそりと咲いているだけでした。

竜ヶ馬場分岐から弥陀ヶ原へと登って行く斜面も花に恵まれたところです。お馴染みのニッコウキスゲなどの花を眺めならが階段を登って行くと弥陀ヶ原です。木道が続く湿原にはアオノツガザクラ、チングルマ、ハクサンコザクラなどの花を見付けることができます。草影に咲くオウレンはコシジオウレンとか、茎が紫褐色なのが特徴と言います。

弥陀ヶ原の木道沿いにはコバイケイソウのお花畑が広がっています。ガスに包まれた湿原に白く広がる花畑は幻想的な眺めです。今まで感じていた大ぶりなコバイケイソウのイメージと違った花のイメージが焼きついたようです。

室堂周辺にはクロユリの群生が広がっています。クロユリには雄花と両性花があり、最初は種子を作らない雄花が咲き、花が大きくなってから種子を作る両性花が咲くとか。厳しい自然を生き抜く自然界の知恵でしょうがなかなか考えたものです。

降りしきる雨の中、御前峰から沼巡りへ。室堂で一休みしたのち室堂出会いに下ることにします。黒ボコ岩から下って行く登山道も高茎草原のお花畑になっているようでヤマハハコやイブキトラノオ、テガタチドリなどお馴染みの花たちが咲き乱れています。雨を含んでタカネナデシコの花弁が重そうに垂れ下がっていました。

 

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