薬師岳~山肌に大きなカールを抱く北アルプスの雄大な山~ 


標高
薬師岳 2,926.0m
山域
北アルプス
登山日
2010年7月19(月)-20日(火) 前夜発
歩程
19日 4:35、20日 7:30
歩行距離
20.5km
標高差
1,572m
累積標高差
1,754m、-1,754m
登山口
折立登山口mapon
交通機関
 北陸道立山ICから50km
登山コース
(7月19日)折立登山口~太郎兵衛平~薬師峠(7月20日)薬師峠~薬師岳~太郎兵衛平~折立登山口
コースmap
薬師岳 登山コース

 

山行の記録

日本百名山に名前を連ねる薬師岳は山頂周辺に大きなカールを持つ雄大な山です。立山から五色ヶ原を経て薬師岳へと縦走するコースは北アルプスを代表する縦走コースとして知られています。また全国に幾つかある薬師岳の中でもっとも標高が高く、立山の阿弥陀浄土に対し薬師浄土の山として古くからの信仰を集めた山です。

北陸道の立山ICから一般道に降り有峰林道に向かいました。料金所にたどり着くと22年中は通行止めとか、案内板に従い迂回路の小口川林林道で折立に向かいました。狭い林道をおよそ1時間、たどり着いた折立の駐車場はたくさんの車で一杯です。今日山に登る人の車もあるようですが、昨日山に登っていた人の車も多いようです。駐車場わきには無料のテン場もあり、ここにテントを張っている人もいるようです。

 コースタイム詳細

 7月19日(月)

折立登山口-(1h05m)-1,630m付近-(0h40m)-三角点ベンチ1,870.6m-(1h20m)-2,133m-(0h55m)-2,250m付近-(0h15m)-太郎平小屋-(0h20m)-薬師峠キャンプ場(天泊)
歩行時間 4:35

 7月20日(火)

薬師峠キャンプ場-(1h25m)-薬師山荘-(0h35m)-薬師岳-(1h25m)-薬師平-(0h30m)-薬師峠(テント撤収)-(0h30m)-太郎平小屋-(0h20m)-2,220m-(0h25m)-五光岩ベンチ2,189m-(1h05m)-三角点ベンチ1,870.6m -(1h15m)-折立登山口
歩行時間 7:30

 

 (7月19日)

 折立登山口~太郎兵衛平

登山口からは雑木林の急坂が始まります。テント、寝袋、食材などを詰め込んだリックサックが肩に応えます。木の根が煩い登山道にはあまり目立った花を見つけることはできません。それでもゴゼンタチバナなどに交じってギンリョウソウが咲いています。

折立の広い駐車場
折立の登山口
十三重之塔の慰霊碑
雑木林の中を急坂が始まります

途中お握りを食べながら一休みした後、石まじりの坂道を登って行くと三角点のある広場に出ました。ここは三角点ベンチと呼ばれるところで、遠く弥陀ケ原の上に剱岳や立山も眺めることのできるところです。

ここからは森林限界を越え、明るい草原状の尾根道歩きが始まります。登山道も良く整備されていますがゴロゴロとした石に覆われた登山道はあまり歩きやすくはありません。道端には白い米粒が目立つママコナやゴゼンタチバナなどの花。しばらく登ると白いタテヤマリンドウの花も咲いていました。

自然を守ろうノポスター
太い幹の木もあります
たどり着いた三角点ベンチ
三角点ベンチから眺める立山と剱岳

登山道はなだらかに太郎兵衛平を目指して登って行きます。それほど急な登りではないものの、折からの暑さと重たいリュックザックで牛歩の歩みを繰り返すことになります。途中で出会った2人連れの若者は水晶まで行くと言うことで25kgの大きなリュックザックを背負っていました。途中までは元気が良かったようですが山頂の手前のベンチでバテバテと言いながら休んでいました。

ようやくたどり着いた太郎平小屋のベンチには小屋泊まりの人が大勢休んでいます。昼飯の営業を行っていると言うことで醤油ラーメンを注文。山の上ということで食材は制限されているようですが大きなチャーシューも入っていて700円とは良心的です。

振り返る有峰湖
見上げる稜線の鞍部は薬師峠
登山道には所々にベンチが
たどり着いた太郎平小屋

 太郎兵衛平~薬師峠(テン場)

ここからは木道をたどり薬師峠へ向かいます。周辺はおヨツバシオガマやコイワカガミなどの咲く花畑になっています。ウサギギクなども咲いていましたがあまり花の種類は多くないようです。

薬師峠への道はお花畑の中を
振り返る太郎平小屋
薬師峠のテン場
テン場の管理棟
テン場から眺める黒部五郎岳と雲ノ平

小さく下った鞍部が薬師峠のテン場です。あまり大きく無いテン場ですが、ここには100張りも張れると言います。連休の最終日と言うこともあり今夜は20張りくらいのテントが張られるようです。目の前には管理棟、水洗のトイレ、水場もあり都会周辺のキャンプ場とは比べることはできないものの思ったよりは設備は良いみたいです。6時くらいに食事をすませ寝袋に入りした。真夏とは言いながら夜は結構寒かったです。

 (7月20日)

 薬師峠~薬師岳

4時すぎから山頂を往復する人、テントを撤収し立山方面に縦走する人もいました。昨日であった若者は水晶岳へ向かったようです。

食事のち昼食とカッパをリュックザックに詰め込み山頂を目指します。最初は沢沿いの急な登りから始まります。心地良い沢音を聞きながら渡渉を繰り返し、急な坂道を登って行きます。大きな岩が転がる沢の源頭を越えると薬師平と言う小さな湿原にたどり着きました。木道が敷かれた湿原からは目の前にまだ雪渓を頭に残した黒部五郎岳、その先に頭を持ち上げるのは槍の尖塔のようです。

薬師峠からは沢沿いの急坂
ケルンの建つ薬師平

山名表示 ※クリックすると山名を表示・非表示します。
薬師平から眺める黒部五郎岳や雲の平 (PanoramaMakerで作成)
岩屑の稜線を登って行きます
薬師岳山荘は工事中

ここからは薬師岳の山腹を登って行くようになります。山肌に深く土削られた沢にはまだ雪渓も残っていました。ジグザグを繰り返しながらハクサンイチゲやタカネウスユキソウの咲くお花畑の中を登って行きます。見上げる薬師岳の稜線は頭を雲に隠していました。

たどり着いた薬師岳山荘は改修工事の真っ最中のようで、10名ほどの大工さんがすでに作業を始めています。傍の作業小屋に寝泊まりしながらの工事なのでしょうが資材を運ぶのも町に降りるのもなかなか大変なようです。

ここからも岩屑の稜線を登るようになります。ジグザグを繰り返しながらたどり着いた頂が崩れかけた避難小屋の建つピークで、愛知大学生の遭難慰霊碑が立っていました。目の前には斜面に雪を残した中央カールが大きな口を開けています。カールの底にはモレーンと呼ばれる堆石堤の残っているようです。薬師岳の山頂は稜線をひと登りしたところにありました。

避難小屋の傍には愛知大学生の遭難慰霊碑
目の前に口を開ける中央カール
たどり着いた薬師岳の山頂
東南稜の先に雲ノ平と槍ヶ岳

山名表示 ※クリックすると山名を表示・非表示します。
薬師岳の山頂から眺める北アルプスの山々 (PanoramaMakerで作成)
北薬師岳の先に立山と剱岳

石祠が建つ山頂に立つとそれまで山頂を覆っていたガスも晴れ上がり視界が開けて来ました。目の前にはまだ雪を残したカール。左手には北薬師岳、その先には五色ヶ原と立山、剱岳の山頂が雲の中から頭を出していますす。槍ヶ岳方面は雲が巻きあげているものの、右手の雲の中からは御嶽山もその姿を見せていました。

山頂の石祠には幾つもの薬師如来像が祀られていました。この山もまた立山とともに山岳信仰の匂いを残すところで、この石祠には薬師如来像のほか鉄剣なども見つかっていると言います。

 薬師岳~太郎平小屋~折立

山頂で展望を楽しんだのち、薬師峠にもどることにします。太郎平小屋に泊まった人なのか、小さなリュックを担いだハイカーが続々山頂を目指していました。

薬師山荘でバッチをGet、小屋番の叔母さんの話では8月1日から工事は終わっていないが宿泊を受け付けるとか。夏の書入れ時、工事をしていると結構大変ですと言っていました。

避難小屋の先には御嶽山
大きな稜線を広げる赤牛岳
太郎兵衛平から振り返る薬師岳
たどり着いた折立の登山口

薬師峠でテントを撤収します。昨日は雨も降らなかったのでテントはほとんど濡れていません。食材も少なくなったのでリュックサックは昨日よりはかなり軽く感じました。

太郎平小屋からはかなり長い下りが始まります。単調な下りに飽き始めるころ、車を置いた折立の登山口に戻ることができました。

山で出会った花たち

それほど花の種類は多くないようですが、薬師岳にはたくさんの花が咲いていました。薬師峠から沢に沿って登って行く急坂にはキヌガサソウやシナノキンバイなどの花が咲いています。また薬師山荘へ登って行く岩屑の稜線にはハクサンイチゲやタカネウスユキソウのお花畑が広がっていました。

この稜線にはタテヤマリンドウが咲いています。タテヤマリンドウはハルリンドウの高山型で薄水色の花が一般的ですがここには白いタテヤマリンドウが咲いています。尾瀬の湿原にはたくさんのタテヤマリンドウが咲いていますが、このような草原状の稜線にも咲くようです。

 テングクワガタ?

北アルプス周辺に咲くオウレンは茎の色が茶色のコシジオウレンが多いようです。白山でもコシジオウレンを見た記憶が残っていますが日本海側に近いこの稜線にはコシジオウレンが多く見られます。

 ホソバキソチドリ?

また折立三角点ベンチへと登って行く樹林帯の中ではキソチドリの仲間が目だたない黄緑色の花を付けていました。湿原に多いのはホソバキソチドリやマイサギソウ、このような草地に咲くのはヤマサギソウでしょうか。何れにしても見分けが付きにくい花の一つです。

 

その他のコース・山行記録
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