柏原新道登山口-(1h05m)-八ツ見ベンチ-(0h20m)-ケルン-(0h55m)-2060m付近-(0h35m)-2210m石ベンチ-(1h15m)-種池山荘-(0h35m)-爺ヶ岳手前2610m-(0h10m)-爺ヶ岳・南峰-(0h45m)-2600m付近-(0h35m)-冷池山荘-(0h10m)-冷池テン場(テン泊)
冷池テン場-(1h00m)-布引山手前2600m-(0h10m)-布引山-(0h30m)-鹿島槍手前2790m-(0h10m)-鹿島槍ヶ岳-(0h40m)-布引山-(0h50m)-冷池テン場-(0h05m)-冷池山荘-(0h15m)-赤岩尾根分岐-(0h25m)-2570m付近-(0h45m)-爺ヶ岳・中峰-(0h45m)-種池山荘-(1h10m)-駅見岬1890m-(1h00m)-柏原新道登山口
鹿島槍ヶ岳は後立山連峰にそびえる双耳峰で日本百名山に選ばれる後立山の盟主です。一般的な登山口は柏原新道で、稜線上に種池山荘や冷池山荘などが整備されていることから比較的簡単に山頂を踏むことのできる山としてガイドブックにも紹介されています。
今回の山行計画では種池山荘、冷池山荘のテン場に各々1泊する2泊3日の山行。テントやシラフのほか7食分食料や非常食などをザックに詰めると重さは15kgになります。
扇沢にかかる橋を超えたところには30台ほどが停まれる駐車場、車道の脇にも数台が停まれる駐車スペースがありました。昨日から停まっている車なのか駐車場は既にたくさんの車で一杯です。
爺ヶ岳登山口と書かれた道標から柏原新道の登りが始まります。コメツガなどの林の中を登って行く登山道は良く整備されている道です。
しばらく登ったところが八ツ見ベンチ、晴れていれば八ヶ岳が見えるところですが曇り空の下で展望は期待できません。
小休止を繰り返しながら登る登山道は石畳を超えると水平道と呼ばれるなだらかな登りになります。まだ10時を過ぎたばかりですが山頂からたくさんの学生が下ってきます。登山遠足なのか総勢90人、種池山荘で一夜を過ごしたようですが引率の先生も大変でしょう。
左手が切れ落ちたガレ場を超え、雪渓の残る沢を巻くように登って行きます。この付近からは高山植物も多く見られるようになります。
やがて喧騒が近づくとガスの中から種池山荘の大きな屋根が見えてきました。山荘前のベンチは既にたくさんの人で一杯です。この山荘に宿泊するのか、もうジョッキーを傾けている団体もいました。
種池山荘で一泊する予定でしたが時計はまだ12時。山荘前で昼食をしたのち冷池に向かうことにしました。
登山道は緩やかに爺ヶ岳へと登って行きます。すでに森林限界を超えているようですがあたりはミルク色のガスに包まれ視界を期待すべくもありません。
大河ドラマ坂の上の雲のタイトルバックのような広い砂利道は緩やかに爺ヶ岳へと登って行きます。突然、ハイマツの中からライチョウが姿を出し我々の前を歩いていきます。かなり人馴れしているのかカメラを向けても逃げようとしません。
たどり着いた爺ヶ岳の山頂には頭の丸い主三角点があります。
ここでは冷池山荘の若い受付のお姉さんに出会いました。話では週末はかなり予約が入っているようで種池、冷池の2つの山荘で1000人ほどが泊まるとか。小屋泊まりは食事の心配もなく、重い荷物を担がなくても済みますが週末などは1畳の畳に2人、3人。テント山行ではゆっくりと休むことができます。
巻き上がるガスに混じり細かい雨も落ちてきます。爺ヶ岳の中央峰には立ち寄らず冷池に向かうことにしました。
しばらく下ったところが赤岩尾根の分岐。さらに下った鞍部からシラビソの林の中を登り返すと冷池山荘にたどり着きます。テン場は山荘から8分ほど登った所とか。トイレや水場もないようですが展望は良いと言います。
とりあえず水を3リットル買い求めてからテン場に向かいました。この稜線には水場が無く、山小屋も天水を利用しているので仕方ないですがリットル150円はちょっと高いですよね。
夕闇が近づくことガスも上がり始め、雲の中に黒部渓谷の山々が見え隠れしていました。振り返るとガスの中にブロッケンも見えていました。
6時前、テン場から布引山を目指すことにします。ミヤマキンポウゲやシナノキンバイの咲く稜線はやがて布引山への登りに差し掛かります。晴れ上がった青空の下に立山の頂、その右手には剱岳の岩峰がそびえています。立山から続く稜線の先には薬師岳のなだらかな頂き、それから続く雲海の中に槍ヶ岳の穂先が見えていました。
ガスが巻き上がる稜線にはブロッケンが。虹色の輪に中に浮かぶ姿はまさにご来光そのもの、今回は何度もブロッケンに出会える山行です。
急な登りに汗を流しながら登山道を巻くようにして登って行くと布引山の山頂です。目の前には山肌に雪渓を残す鹿島槍の双耳峰がそびえています。
ガレた登山道はジグザグを切りながら鹿島槍ヶ岳の山頂へと登って行きます。たどり着いた山頂は360度の展望を楽しめるところです。東側は雲海が広がっているだけですが北側には巻き上がる雲の中に八峰キレット、その先には五龍岳から白馬岳の稜線が続いています。
西側には山肌に雪化粧をした立山から剱岳の岩峰、振り返ると今登ってきた登山道が巻き上がる雲の中に長々と続いていました。
山頂で展望を楽しんだのち冷池のテン場に下ることにします。たどり着いたテン場で少し早いようですがお昼です。これで少しは荷物も軽くなってほしいものです。
冷池山荘で水を補給したのち爺ヶ岳へ。昨日の疲れが残っているのか重いザックを背負った足取りはまさに牛歩の歩みと言ったところです。途中何度か休憩をはさみながら爺ヶ岳中峰の分岐へ。ここから小さな岩場を登って行くと三角点のある中峰の頂です。
中峰から小さく登って行くと南峰です。ここは山頂を踏まず巻き道をたどり種池へと下って行くことにします。
やがて発電機の音が風に乗って聞こえてくるようになるとガスの中から種池山荘の屋根が見えてきました。
種池山荘のベンチで小休止。ここからは柏原新道を下って行くだけです。まだ山頂を目指し登ってくる人も多いようです。
途中、駅見岬と呼ばれるところで最後の小休止です。ここから登山口まではあまり距離もなかったようですが疲れた足には最後の下りがかなりきつかったです。
柏原新道にはいろいろな花が咲いています。種池山荘の手前にはコバイケイソウやチングルマ、ミヤマキンポウゲなどの咲くお花畑が広がっています。今年はコバイケイソウノ花の当たり年とか、ガスの中に白い花が咲き競うお花畑は幻想的なものです。
爺ヶ岳へと向かう稜線には咲き始めたショウジョウバカマの花も見付けることができます。雪が残っていた窪地にはミヤマキンポウゲやミヤマキンバイ、シナノキンバイなどのお花畑が広がっていました。
布引山から鹿島槍ヶ岳へと続く稜線は高山植物に彩られた花の登山道です。チシマギキョウやイワオウギ、テガタネチドリなどのほか、タカネシュロソウや珍しいシコタンソウも見付けることができます。