瑞牆山は日本百名山にも名前を連ねる奥秩父の山です。林立する岩峰をめぐらせた特徴のあるその山は多くのハイカーに親しまれている山です。登山道が整備されていることもあってか、多くのハイカーは富士見平小屋から天鳥川を渡り山頂を目指したいるようですか、不動沢から山頂を目指すコースも開かれていると言います。このコースは不動滝を眺めながら巨岩の間を登って行くコースです。山頂周辺にはシャクナゲの花も多いと言います。
清里へ続く国動141号線から道を右に折れしばらく走ると小川山林道です。林道の途中には黄色いゲートがありました。ガイドブックでは林道終点まで車を入れることができたようですが、残念ながらゲートは封鎖中。しかたなく近くのみずがき山自然公園へ向かいます。ここは第52回全国植樹祭が行われた会場で、よく整備された芝生に覆われた広い公園です。ここに車を停め山頂を目指すことにしました。
公園からは唐松林の中に続く遊歩道のような道を緩やかに登り始めます。この道も全国植樹祭のときに整備された道のようで、地図にも表示がなされていない道です。小川山林道で道を右に。しばらく登っていくと林道の終点です。指導標に導かれながら道を右に折れると、やがて道はコメツガの林を登って行く山道に変わります。道の左右には見上げるような大きな岩、苔むした桟道や木の橋。渡るのも危なそうな腐りかけた丸太橋もありました。小さな沢を渡った河原で小休止です。付近の草の中にはキバナノコマノツメが黄色い花をつけていました。
小休止ののち、大きな岩を右左に見ながら沢沿いの道を登っていきます。垂直にそびえたつ岩はクライミングのゲレンデになっているようで、所々に残置ハーケンが残っていました。しばらく登った所が不動滝です。左にそびえ立つ岩を滑るように滝が流れ落ちています。滝の音に包まれた付近一帯は心地よい涼しさを感じさせてくれるところです。
不動滝からはコメツガの林の中を登っていく道が続いています。夫婦岩、矢立岩、摩天岩、王冠岩などと名付けられた岩を眺めながら急な登りに汗を流します。今年はシャクナゲの花が今一つだったようで、所々にピンクの花を見つけることは出来ますが花の数はあまり多くはありません。栄養状態の良くない山の中では、毎年同じようにたくさんの花をつけるのは難しいのかもしれません。
道端で小休止ののち、再び山頂を目指した急な登りが始まります。木の根や岩につかまりながらの道は思いのほかきつい登りです。やがて登りも緩やかになると天鳥川から登ってくる道を合わせる稜線にたどり着きました。左手は瑞牆山の山頂、右手には大きな弘法岩がそびえる分岐点です。
分岐点で一息を入れたのち、コメツガの林の中をひと登りすると広く開けた瑞牆山の山頂です。大きく視界が開けた岩場の上には日本百名山を示す標柱が立っています。
正面には五畳岩を頭に載せた金峰山、右手には梅雨空の中に白く霞む八ヶ岳の山々。その手前には男山や横尾山など信州峠周辺の山々が小さく頭を持ち上げています。残念ながら南アルプスや富士山は雲の中に隠れその姿を見せてはくれませんでした。
山頂で展望を楽しみながら昼食のひと時を過ごしたのち、車を停めたみずがき山自然公園に戻ることにしました。不動沢で一休みしたのち、コメツガの林の中を下っていきます。途中、不動沢を離れてほどなく、右手にかなり明瞭な踏み跡がありました。ここは道を左に。右手の道は小川林道に下っていくようですが分岐に指導標がないと不安になるものです。
小川林道からは、しばらく林道を下っていきます。気がつくと目の前にゲートがあります。途中の分岐点から芝生公園へ向かうのが近道だったようです。
今年のシャクナゲは今一つか。山頂近くにはシャクナゲが群生していますが蕾をつけているものはあまり多くはありません。ガイドブックでは6月の初めがこの近くでのシャクナゲの盛りと紹介していましたが、春先に寒かっただけでなく今年の花はあまり多くないようです。
不動沢周辺にはキバナノコマノツメが黄色い花をつけていました。白いコミヤマカタバミも彼方此方に咲いています。金峰山のような砂礫地に咲く高山植物は見かけないものの、いろいろな花を愛でながらの山行でした。