日本百名山の一つに名前を連ねる甲武信ヶ岳。甲州、武州、信州の三国に山頂が接することからその名前が付けられた山です。また千曲川の源流の山でその山頂に落ちた雨の1滴は遠く信濃川を経て日本海に注ぐと言います。
一昨年、毛木平から西沢を逆登り甲武信ヶ岳から十文字峠をたどり毛木平に下ったことがあります。三宝山から武信白山、大山へと続く長い稜線にかなり体力を消耗した記憶が残っていました。今回は山の会の人たちと毛木平から山頂をピストンすることにしました。
毛木平から緩やかな林道歩きが始まります。車も通れそうな道は千曲川の源流を目指して緩やかに登って行きます。しばらくすると左手に十文字峠へと登って行く道を分けます。さらにしばらく登ると右手に大山祇神社の小さな社が祀られていました。
千曲川の水音を聞きながら緩やかに登って行く道は千曲川源流遊歩道として整備されたところで、小さな沢には丸木橋、木の階段なども整備されています。右手に見える石碑は山津波で犠牲になった人の慰霊碑と言います。
登山道は一度沢筋から離れ右手の斜面を緩やかに登って行きます。雨は降っていないもののどんよりと曇った梅雨空の下では山頂を望むべくもありません。
道端で一息を入れたのち、緩やかな遊歩道を登って行きます。しばらく登ると一枚岩の上を勢いよく水が流れ落ちるナメ滝です。辺りにさわやかな音を響き渡らせる滝の傍に腰を下ろし一休みです。
ナメ滝からも緑のコケに覆われた登山道が続いています。やがて道は細い丸木橋で対岸に渡ります。苔むした丸木橋を渡り細くなった沢筋を詰めて行くと、千曲川信濃川源流の地の道標が建つ小さな広場にたどり着きました。
枯れかけた沢の中から小さな清水が湧き出しています。ここが千曲川から信濃川へと流れ下る総延長365kmの水の旅の最初の第一歩の場所です。
千曲川信濃川源流の地から沢筋を離れコメツガの林の中を登って行く急坂が始まります。息を切らせながらたどり着いた稜線は奥秩父主脈縦走路が通るところです。右に向かう道は国師ヶ岳の山頂を経て大弛峠、金峰山へと向かう道です。
ここで道を左に、シャクナゲの枝が目立ち始めた稜線を登って行くと山頂直下のガレ場になります。ここから見上げる山頂は舞い上がる雲にその頭を隠していました。
息を切らせながらたどり着いた山頂には大きな日本百名山の標柱が建っています。目の前には三宝山の大きな頂き、巻き上がる雲にの中には国師ヶ岳へと続く縦走路が見え隠れしていました。
雲がわき上がる山頂は思いのほか寒く、食事の後は早々に下山することにしました。帰り道は往路たどり毛木平へ。さすが長い歩程のためか、毛木平にたどり着いたときは日も傾きかけていました。