甲府と奥多摩を結ぶ国道140号線が通る柳沢峠には、レンゲツツジの咲く三窪高原があります。この明るい高原は展望も良く、甲府の街並みの上に南アルプスの山々、天候に恵まれると御坂山塊の上にそびえる富士山も見ることができる所です。
たどり着いた柳沢峠の駐車場に車を停め、高原へと続く散策路を緩やかに登り始めます。この付近も雪が融けてからあまり時間がたっていないようで、木々の芽吹きもまだ始まっていません。明るい雑木林の中をたどる道は良く整備された遊歩道といったところ。しばらく心地よい道を登って行くと柳沢ノ頭です。晴れた日には富士山の展望が楽しめるところと言いますが、今は雲に隠れわずかにその裾野が見えているだけです。
柳沢ノ頭からも潅木林の中をたどる明るい稜線が続いています。しばらく歩くと登山道は緩やかな下り坂になります。たどり着いた草原状の鞍部には大きな休憩小屋が建っていました。右手に続く道は斉木林道をたどり柳沢峠へ戻る道です。この付近はレンゲツツジやドウダンツツジの潅木に覆われたところ。6月の花の季節には見事な花景色を楽しむことができると言います。
ここから小さく登り返したところがハンゼノ頭です。ここも明るく開けた展望台で、晴れていれば南アルプスや奥秩父の山々を見渡すことができるところです。春の曇り空の下では南アルプスは望むべくもありませんが、それでも笠取山や雲取山など、奥秩父の山々を見渡すことができます。その山肌にはわずかに残雪が残っていました。
ハンゼノ頭の展望を楽しんだ後、潅木の尾根道を下って行くと硯石の窪地です。目に前にはNTTの無線中継アンテナが建っていました。東屋の建つ一帯にはレンゲツツジが群生し、花の季節にはあたり一面を朱色に染めると言います。しかし今は硬くつぼみを閉じた潅木が春の訪れを待っているだけです。
東屋で昼食をした後、柳沢峠に戻ることにします。ハンゼノ頭を越えたところから林道をたどり柳沢峠に戻る道があるということで、道を右に折れることにします。途中までは木の階段も整備されていましたが、しばらく下ると登山道に鹿の足跡。更にしばらく下ると笹が登山道を覆い隠し、ややもすると道を踏み外しそうになってしまいます。
しばらく藪をこぎながら下っていくと林道にたどり着きました。この林道もあまり利用されていないのか、一部は斜面から落ちた砂が道に覆い被さっていました。やがて駐車場の喧騒が近づいてくると柳沢峠は目の前です。