奥秩父の中央を貫く大弛峠は日本で最も高い車の通ることのできる峠です。この峠は奥秩父主脈縦走路を横切ることから金峰山や国師ヶ岳への登山口として多くのハイカーが訪れるところです。まだ梅雨も明けていない時期、展望は期待できないでしょうが山の会の人たちと一緒に、金峰山の山頂を訪ねることにしました。
中央自動車道の勝沼インターから一般道に下り、観光果樹園が立ち並ぶ塩山の街を抜けると巨峰の丘と言われる牧丘です。ここから狭い舗装道路を焼山峠へ、琴平ダムで道を左に折れると林道川上牧丘線です。かっては未舗装のダートな道でしたが、牧丘側は大弛峠まで舗装されています。しかし道幅が狭いためか11人以上のマイクロバスを含む大型車は通行できないようです。
たどり着いた大弛峠からコメツガの暗い林の中を登り始めます。まっすぐに登って行く道はそれほどの急な坂道ではないものの登り始めと言うこともあり、なかなか疲れる坂道です。
朝日峠はコメツガの林の中の暗い峠です。ここからは朝日岳へと緩やかに登って行きます。稜線にたどり着くと立ち枯れた木立の先に雲を被った富士山がその山頂を見せてくれました。
視界が開けてくると露岩に覆われた朝日岳の肩です。振り返るとコメツガの稜線の先に国師ヶ岳、ここから続く長い縦走路の先に先日登った甲武信ヶ岳に頂きを見付けることができます。青空は出ているものの、甲府方面から巻き上がる雲に覆われ南アルプスなどの山並みはその姿を見せようとしません。
朝日岳は正面に金峰山を眺めることのできるところです。朝日岳から鉄山、金峰山へと続く縦走路は見えるものの、五畳岩を頭に載せた金峰山の山頂だけは巻き上がる雲に覆われ、その姿を見せてくれないようです。
朝日岳から一度小さく下った登山道は鉄山の脇を巻くようにして緩やかに登って行きます。コケに覆われたコメツガの林の中を登って行く登山道は、奥秩父の山の雰囲気を感じさせてくれるところです。
やがてコメツガの林を抜けると金峰山の肩にたどり着きました。この付近一帯は森林限界を越えているようで、ハイマツが稜線を覆っています。咲き残ったハクサンシャクナゲやコケモモなどの花を眺めながら岩に覆われた稜線を進むと金峰山の山頂です。道標の建つ山頂には三角点もありました。
五畳岩は金峰山のシンボルとして遠くの山からもよく目立つ大岩です。20mほどの岩の上は鎖でも張ってあれば簡単にその上に立てそうですが、足掛かりも少なく素手で登るのは少しきつそうです。
山頂は吹き付ける風でかなり気温が下がっているようです。少し待ってはみたものの展望を期待するのは無理なようです。仕方なく往路をたどり車を停めた大弛峠に戻ることにしました。