伊豆の南端、長九郎山はアマギシャクナゲの咲く山として有名です。長九郎山への登山口には大沢温泉口から登るコース、池代から登るコースが良く利用されているようです。
今回登った21世紀の森のある宝蔵院から登るコースは、なだらかな杉林の中を登っていくコースで、2時間20分ほどで山頂にたどり着けるとコースです。登山口の宝蔵院は県道15号線から山道をしばらく登ったところにありました。
21世紀の森の駐車場に車を停め、鬱蒼と茂る杉林の中を進むと、宝蔵院の大きな仏殿が建っています。弘法大師の創建と言う古刹は伊豆八十八ヶ所霊場の一つとか。登山道は暗い杉林の中を緩やかに登り始めます。所々に富貴野山・長九郎山遊歩道と書かれた標識が建っていますが、登り口付近は道が入り組み間違えやすいところがあります。なだらかな道をおよそ1時間、目の前が開けれると大沢温泉から登ってくる道を合わせる出会いです。
ここからは幾分明るくなった山道を登って行きます。杉や雑木林の中を緩やかに登って行く道は遊歩道のような道です。道端には山ツツジの真っ赤な花が咲いていましたが、ミツバツツジはすでに花の時期を過ぎているようです。暗い杉の林の中を回り込むように登ると八瀬峠です。
八瀬峠からしばらく登るとシャクナゲとアカドウダンの群生地にたどり着きました。この群生地は色々なシャクナゲを栽培したものとか。木陰のシャクナゲはまだ花をつけているものもありますが、昨日の激しい雨で散ってしまったものも多いようです。
ここから暗い林の中をひと登りすると長九郎山の山頂です。山頂はシャクナゲやドウダンツツジに覆われた広場になっています。鉄製の展望台に登ると視界が開けますが、立ち込める低い雲に覆われ、展望はあまり期待できません。
山頂での食事を楽しんだ後、宝蔵院に戻ることにします。登山道はかなり緩やかなためか、登りも下りも同じような時間がかかるようです。途中、出会いのベンチで小休止。登り始めが遅かったこともありますが、宝蔵院にたどり着いたのは4時半になっていました。
ガイドブックなどによると長九郎山山頂のシャクナゲは京丸シャクナゲとか。長九郎山は京丸シャクナゲの南限と言います。
日本に自生する野生のシャクナゲは5種類。キバナシャクナゲは北海道、本州中部以北の高山帯でクリーム色の花が咲きます。ハクサンシャクナゲは、亜高山から高山帯に分布する種で、花は白色から淡紅色です。
ホンシャクナゲ、アズマシャクナゲ、キョウマルシャクナゲの3種は、ツクシシャクナゲの変種で、ホンシャクナゲは本州中部以西に多く、アズマシャクナゲは関東以北に分布します。アズマシャクナゲとホンシャクナゲの中間種がキョウマルシャクナゲで、天城山のシャクナゲは若葉の表面に白色の綿毛があるため、特にアマギシャクナゲと言うとか。シャクナゲも色々な種類があるようです。
長九郎山には低山の初夏を彩る花が咲いていました。登山口近くには白いギンリョウソウが群生していました。
登山道の途中にはマムシグサが花を付けていました。茶色の大きな花を付けたマムシグサはオオマムシグサでしょうか、葉の大きさもマムシグサに比べて大きいようです。