伊豆半島の付け根、沼津の郊外に沼津アルプスと言われる低い山並みが続いています。御殿場から沼津に下って行くときに左手に見える山々がそれで、最近はガイドブックなどでも紹介されている山です。最高峰は鷲頭山の392m。しかし海抜0m近くから登り始めることと、急なアップダウンの続く7つの峰と峠を結ぶ縦走路は、なかなか侮れないと言われているコースです。
東名自動車道を利用して沼津へ。沼津で香貫山への登山口を探しましたがなかなか見つかりません。霊山寺裏で近所の小母さんに聞くと、香陵台に駐車場があるとか。狭い舗装道路を登って行くと広い台地の上に三重ノ塔と茶店が建っていました。
香陵台からは香貫山を目指すことにします。目の前の舗装道路には車止めがあるものの、山頂まで車道が続いているようです。登山道は車道わきのまばらに灌木が生えている稜線を緩やかに登って行きます。柿田川湧水群と言う水場を超えるとほどなく香貫山の山頂です。低い山だけあって山頂には東屋の建っています。山頂を示す標柱はその奥のテレビアンテナの脇にありました。
山頂からは草原状の坂道を下っていきます。目の前には明るい伊豆の海岸線と沼津の町並みが広がっています。明後日の日曜日は地方選の投票日。「最後のお願い、地元出身の・・・」などとマイクの声が響いていました。砂利の車道に出ると目の前は打ち放しのゴルフ場です。さらに下って行くと宮脇と山ヶ下町を結ぶアスファルトの道に出ました。ここから道を左に、横山への縦走路はしばらく登った八重坂峠の道端にありました。
暗い雑木林の中を登って行く道はかなりの急こう配。途中には固定ロープも張っています。雨の降った後にはロープが頼りになりそうな急坂です。ひと登りすると道は緩やかになったものの横山の山頂直下も急な坂道です。
たどり着いた横山の山頂は木立に覆われたところで視界は期待できません。ここでお握りの昼食です。後から登ってきた男性は地元の人で、昼休みにお弁当を食べにこの山に登ってきたとか。地元の人々にとって、この山は町の裏山と言ったところのようです。
横山からは横山峠へ急な坂道を下ることになります。道の脇には竹の手すりがあるものの、雨が降った後にはかなり滑りそうな道です。たどり着いた横山峠は切り通しと言ったところです。右手の道は香貫小学校へと下っているようで、グランドの喧騒が風に乗って聞こえてきます。
横山峠からは雑木林に覆われた坂道を登り返すことになります。長い木の階段に息を切らせながら登り返した所が徳倉山。広く開けた草原状の山頂からは目の前に沼津の町を一望することが出来ます。晴れていれば大きな富士山の姿を楽しむことが出来るようですが、今日はわずかにそのすそ野が見えるだけです。
徳倉山で一休みした後、志下坂峠へと下っていきます。緩やかに下った坂道の途中には千金岩。目の前にはこれから登る坂下山とその奥にそびえる鷲頭山、右手には淡島を浮かべた駿河湾が広がっていました。たどり着いた志下山も明るく開けた草原状のところです。草の上に腰を下ろし再び小休止です。
坂道を下った所が志下峠。ここからは鷲頭山に向かって急な坂道が始まります。まっすぐに登って行く道は崩壊のためか通行止め。左手の木立に覆われた暗い道を登って行くと中将さんと呼ばれている大きな岩の下にお堂が建っていました。ここは源平の戦いに敗れ捕えられた平重衡が一時隠れていたという岩穴と言います。付近には白いシャガの花が咲いていました。
ここからは小鷲頭山に向かっての急な登りが始まります。鎖が張ってある急な木の階段は真っすぐに小鷲頭山の山頂へと登って行きます。急な階段に息を切らせながらたどり着いた小鷲頭山からは、木の間ごしに沼津の街並を眺めることが出来ます。小さな山頂の先には源氏に追われた平重衛が切腹したと言われる空き地があります。小さな案内板がありますが石碑も何もありません。息を切らせながらたどり着いた鷲頭山の山頂は広く開けたところで、小さな石祠とベンチがありました。ここで最後の小休止です。
鷲頭山からは大平山へ。木立に覆われた坂道を多比峠へと下っていきます。多比峠で大平に向かっていく道を左に分けると、登山道は痩せた稜線の上を小さく登り返すことになります。木立に覆われた稜線はそれほど危険もないものの、露岩に覆われた痩せた稜線です。小さなアップダウンを繰り返してたどり着いた峠が多比口峠。ここから大平山へは20分ほどの登りと言いますが、そろそろ時計も5時になろうとしています。今日はここから多比へと下って行くことにしました。
広い山道を緩やかに下って行くとほどなく舗装された道にたどり着きました。ここから多比のバス停まではアスファルトの道を下って行くだけです。
春の早い伊豆の山々はまさに春本番を迎えているようで、明るい登山道の道端にはニガナやオオジシバリ、ムラサキケマンなど春の花が咲き乱れていました。
伊豆の山々に生えるマムシグサは長い鬚をもったウラシマソウ。大きな葉の下に茶褐色の花が咲いていました。また仏炎苞の入口が広がったものはミミガタテンネンショウとか。マムシグサの仲間は種類も多く地域による変異も大きいと言います。
志下山への登りにはナツトウダイも咲いていました。茶褐色の花はほとんど目立たない花をです。多比峠への下りにはミヤマケマンに交じってヤマネコノメソウを見付けることが出来ます。ネコノメソウにも色々な種類がありそうです。
多比峠から下ってきた堰堤沿いに咲いていたケマンはキケマンでしょうか。黄色いケマンにはミヤマケマンとキケマンがあると言います。キケマンは海岸近くに咲くと言い、花の先端に茶褐色の斑点があると言いいます。