伊豆半島の付け根には、観光地ともなった葛城山とこれから続く城山、発端丈山などの小さな山塊があります。駿河湾を見下ろす位置にあることから、富士山の好展望台の一つとして登山ガイトなどにも紹介されている山々です。しかし伊豆ということもあって東京からのアプローチは必ずしも良いとは言えず、これまで訪れる機会に恵まれなかった山でした。
首都高速から東名自動車道に乗り換え沼津インターへ。沼津インターからは発端丈山の登山口のある大仁の町へ車を進めて行きます。右手に葛城山、城山の岩峰を眺めながら狩野川を渡ると静岡県自然100選の標柱の建つ城山の登山口です。小さな集落から杉の林道をジグザグに登って行くと目指す峠です。今日はこの道端に車を停め発端丈山を目指すことにします。
峠から小尾根に登ると、登山道は葛城山の山腹を緩やかに巻きながら進む尾根道となります。暗い杉林のなかで葛城山に向かう道を右に分けます。やがて右手に益山寺へ向かう道を分けると、発端丈山へ続く赤土の急坂が始まります。登り詰めた山頂は木立に囲まれ視界は望めません。山頂からしばらく下ると視界が開け、真っ青な駿河湾に浮かぶ淡島。その上に広がる大きな富士山が目に飛び込んで来ました。ガイドブックなどの記憶にはありましたが、実際に目にする感動はひと味違うものです。大きな望遠レンズを付けたカメラを抱えた中年のハイカーが一人。何時間もシャッターチャンスを待っているようです。
発端丈山~葛城山
発端丈山からは長浜に下るのが一般的な縦走路のようですが、我々は葛城山の分岐へと戻ることにします。暗い杉林の中をしばらく戻ると葛城山への分岐点。分岐点からしばらく舗装道路を下り、山腹の急登をひと登りすると、葛城山の山頂にたどり着きました。ロープウェイが山麓駅から登って来る一帯は園地になっており、たくさんの観光客で溢れています。ここからの展望もまた素晴らしく、先程登ってきた発端丈山の上に富士山が大きな裾野を広げていました。
葛城山からは林道に戻ることにします。山頂から先程たどってきた登山道へ直接下る山道があるようですが、なかなか見つかりません。ようやく見付けた山道を暫く進むと車を停めた林道にたどり着きました。
今日は、リュックサックを車に置き、城山を往復することにします。枯れ葉が道を覆う雑木林の中をしばらく進むと、城山への岩の露出した登りになります。城山は標高342メートル。足利時代には砦が築かれた所と言います。今はロッククライミングのゲレンデにもなっているようです。ここからの展望もまた素晴らしく、眼下に狩野川に沿って広がる大仁の町。振り返ると早い冬の日はすでに大きく西に傾きかけていました。