無料駐車場9:30~福満寺9:40/45~鞍部10:25/35~富山南峰11:00/20~富山北峰11:30/12:20~伏姫籠穴コース分岐~伏姫籠窟13:05/25~無料駐車場13:40
山の会の仲間とのハイキングは房総の富山です。
ここは滝沢馬琴の南総里見八犬伝の舞台となったところです。滝沢馬琴が28年の歳月をかけた長編小説で、戦国時代の安房里見氏の歴史を題材として描かれたものです。
物語は結城の戦いに敗れた里見義実の子、伏姫と愛犬八房、それと伏姫の護身の数珠の霊力を持つ八人の剣士が活躍する勧善懲悪・因果応報の物語です。作者の滝沢馬琴は安房に訪れたこともなく物語はすべてフィクションですが、伏姫籠穴など物語に登場する足跡が富山の山中にも残っています。
登山口は駐車場からわずかに歩いた福満寺です。ここは安房国札観音霊場の一つです。
福満寺の墓地の脇から照葉樹林の林道歩きが始まります。舗装されてはいるものの真っすぐに登る山道はかなりきつい登りです。
一度鞍部に下ると南峰に向かっての急な登りです。階段が付けられているものの段差が大きく息も上がってしまします。
たどり着いた南峰には崩れかけた観音堂、その奥には石祠や崩れた石仏などがありました。
南峰からは緩やかな尾根を下って行きます。伏姫籠穴へと下って行く道を左に分けると里見八犬士終焉の地の東屋です。ここからは東京湾を挟んで白い雪を被った富士山を眺めることができました。
ここは吉井からの林道が登ってくるところです。途中で道路工事が行われているようで交通誘導員の小母さんが東屋の傍で道案内をしていました。
緩やかな階段をわずかに登ると北峰です。山頂の広場には展望台、その上に立つと保田港の先に鋸山、こちらからは切り立った岩壁は見えませんが、山頂の展望台が見えていました。
北峰の山頂は電波塔の傍、三角点の先からは八領塚や高宕山など房総の低く連なる尾根が見えています。しかしなかなかその頂を同定するのは難しいところでした。
富山は平日にもかかわらず思いのほか多くのハイカーが訪れています。数日前のNHK日本百低山で富山を放送したこともあるのでしょうが、中高年のハイカーが目立ちます。交通の便が良くない房総の山でも岩井駅から登山口が近いこと、近くには房総のマッターホルンと言われる伊予ヶ岳もあることが人気の理由の一つということなのでしょう。
山頂からは伏姫籠穴コースを下ることにします。台風による斜面の崩壊などで通行止めになっていましたが固定ロープなども張られ最近通行できるようになったと言います。
でも崩壊した斜面をトラバースしたり、滑りやすい露岩の斜面をロープ頼りに下ったりと気の抜けない急坂でした。
途中で登ってきた中高年のパーティもなかなか急な登りで大変と言っていました。
舗装された林道をしばらく下ると伏姫籠穴です。瓦葺の立派な門からは長い階段の登りが続きます。山を登るよりもきつそうな息が切れる登りです。伏姫舞台から僅かに登ると伏姫籠穴です。屈まなければ入ることはできない岩窟の奥には八剣士にちなんだ義礼智忠信孝悌の玉が置かれていました。
義礼智忠信孝悌は八徳と言われ儒教に言われる八種の徳。里見八犬伝には儒教の考えが語られているのでしょう。
しばらく下ると車を置いた駐車場は目の前、振り返ると青空の下に富山の稜線が横たわっていました。
帰りは近くの保田漁港のばんやに立ち寄り海鮮料理を楽しむことにします。ここは房総の山歩きの帰りには良く立ち寄るところです。
最初に立ち寄ったときのも食べたことのあるイカの天丼はまだ健在、かつでは6枚もあったかと記憶していましたが流石イカ高くなったのか3枚、それでも恰好なボリュウムでした。