石射太郎登山口8:55~石射太郎山9:15/20~高宕観音10:10/25~高宕山10:45/11:00~高宕大滝12:00/05~石射太郎登山口12:50
山の会の山行は房総の高宕山です。ここは台田久保の巨人伝説が残る石射太郎山から高宕観音へと続くハイキングコースで関東ふれあいの道にも指定されているところです。
アクアラインを利用して君津へ、東京湾を一跨ぎする海の道はなかなか便利なものです。昨日の雨で靄っていた空も登山口が近付く頃には青空も見え始めていました。
石射太郎の登山口には10台ほどの車が停まれる駐車スペースがあります。地元ナンバーの軽自動車が停まっていました。
登山口の道標に導かれコケに覆われた階段を登り始めます。房総には山ヒルが出ると言いますが3月にもなるとこの付近もヒルガードのお世話になるところなのでしょう。
暗い杉林の中を登って行くと石射太郎の石切り場です。関東大震災のころまで石が切り出されていたところで登山道のわきには垂直に削り取られた砕石のあとが残っていました。
ベンチが置かれた広場は視界が開けるところです。左手には石射太郎山の岩峰、数年前に死亡事故があったようで通行止めになっていました。目の前に頭を持ち上げる頂は高宕山と八良塚、低く連なる房総の山々はその頂を同定することが難しいところです。
ここからは高宕山へと続くなだらかな尾根道が始まります。照葉樹の雑木林に続く良く踏まれた道は関東ふれあいの道として整備されたところでお馴染みの道標が所々に、左が切れ落ちたところには手摺なども付けられていました。
単調な登山道をしばらく歩くと高宕観音の石段が現れます。石段の脇にはガイドブックなどに紹介されている仁王像が立っています。頭が欠けたり足が台座として付け直されたり、かなり古い石像と言うことがうかがえます。
長い石段を登って行くと大きな岩の下に高宕観音のお堂がありました。奈良時代に行基菩薩が訪れたところとして、また源頼朝が石橋山の合戦に敗れ安房の国に渡ったとき源氏の再興を祈り訪れたところと伝えられています。
堂内には掲げられた扁額には峯上二十七番と小糸三十二番の御詠歌が刻まれ高宕山萬福寺として観音霊場となっていたようです。ネットで調べてみましたが新上総観音霊場には二十一番に萬福寺がありますが峯上、小糸観音霊場は見つかりません。観音霊場も時代とともに色々な変遷があるのでしょう。
高宕観音からは岩に掘られた穴をくぐって高宕山へ向かいます。途中には固定ロープが張られた小さな岩場や梯子などもあります。前日の雨で岩場は少し滑り易くなっていました。やがて右手が切れ落ちた稜線を回り込むと山頂直下、岩溝に付けられた梯子を登ると狭い高宕山の山頂です。
目の前には低く連なる房総の山々、富津の海岸線の先には湘南の街並み、その上には霞んだ富士山が見え隠れしていました。ここから富士山までは115km、気温が上がっていることもあって白く霞んでいるものの東京湾を挟むと富士山も思いのほか近いものです。
予定では八良塚を回って石射太郎登山口に戻る予定でした。しかし目の前のふみ跡を下って行けば良いのかと思い急坂を下って行きましたがとんだ道間違いです。固定ロープ、赤テープもありましたが登りの時に利用した階段の傍に下ってしまいました。
ということで今回は八良塚には向かわず高宕大滝から林道をたどり石射太郎登山口に戻ることにしました。分岐には道が荒れている、崩壊しているところがあるなどの注意が書かれた案内板がありますがしっかりとした足跡も残っています。
分岐からは荒れた沢を下って行きます。小さな橋を渡った道は右手の支尾根へと登って行きます。
広葉樹の林をたどる道は小さなアップダウンを繰り返す道です。左手が切れ落ちた岩の上を超えたり滑りやすい急坂を下ったりしますがそれほど危険なところはありません。
目の前が開けた岩場の上に立つと左手に目立つ岩峰は石射太郎山、その先には鹿野山のなだらかな稜線が見えています。鹿野山は千葉一等三角点と水準点があるところ、車道も通るその山頂には鉄塔や建物も見えていました。
しばらく進むと岩場の脇に整備された手摺と階段が付いています。かつては左手が切れ落ちた岩場の上を歩くちょっとした蟻の戸渡りと言ったところだったのでしょうか。ネットなどでも紹介されていましたが背丈が低い房総の山にも伊予ヶ岳や鋸山などのほか笠石、寂光山という岩っぽい山も幾つかあるようです。
ここからは高宕大滝を目指して雑木林の中を下って行きます。やがて沢が近づいてくると高宕大滝の傍に下りました。
高宕大滝は君津で最大の滝、落差は13mと言います。今年は雨が少ないこともあって水量は多くありません。滝壺まで下って行く道もありましたが滑りそうなので立ち寄らずに林道を下って行くことにしました。
高宕川に沿って下って行く林道はかなり荒れています。落石が林道に積み重なっているところもあります。途中には手掘りのトンネルが3か所、最後のコンクリート造りのトンネルを抜けると車を置いた石射太郎の登山口にたどり着きました。
歩程は若干短めでしたが山頂直下には岩場などもあり、隠れた房総の名山という表現は間違いでもなさそうな山でした。
帰りは保田のばんやに立ち寄ることにします。2時近くになるのに駐車場は一杯、少し待たなければならいようでやはり房総でも人気の店の一つです。
開店以来の名物というイカのかき揚げ丼やおまかせ定食などを注文します。大きなかき揚げが4枚載った天丼はいくら食べてもご飯が出て来ないとか、結局かき揚げを残しお持ち帰りとなってしまいました。