房総の養老渓谷は紅葉の名称です。なかでも有名なのは梅ヶ瀬の渓谷。明治時代の漢学者、日高誠実が隠棲した地。そこに梅を植えたところから梅ヶ瀬と呼ばれた渓谷です。日高邸の跡と言う渓谷の奥にはカエデの大木が数本。鮮やかにあたりを染め上げる紅葉は房総の観光パンフレットにも紹介されているところです。
JRの五井駅から小湊鉄道で養老渓谷駅へ。紅葉の最盛期と言うこともあってローカル色豊かな電車は家族連れや会社の同僚などのグループでかなり混雑しています。車掌さんは研修中の若い女性。ローカル線だけあって昔ながらの鋏により切符を切っていました。五井からおよそ1時間、たどり着いた養老渓谷の駅前には土産物屋も店を出していました。
駅前から養老渓谷に向かいます。駅前の歩道には真っ赤に色付いたもみじが我々を迎えてくれています。梢に先に赤い柿の実が残る集落の中をしばらく下って行くと小さなため池があります。青く変色した水に真っ赤に色付いたもみじが生えていました。
さらにしばらく歩くと七色滝という滝がかかっています。小さな流れにかかる滝は落差10mほど、日光の状態では七色に見えるのでしょうが水量も少なくそれほどの見応えはありません。さらに進んだ大福山への分岐手前にも、小さな滝がありましたがこれも今ひとつです。渓谷そのものがあまり深くないため落差の大きな滝がないのか、日本の滝100選にも千葉から選ばれた滝がないのもうなずけます。
大福山への道を右に分け、道は養老川の支流黒川に沿って緩やか登って行きます。やがて両岸の川岸が高くなるといよいよ梅ヶ瀬渓谷です。真っ青に晴れ渡った秋空の下に赤や黄色に色付いた紅葉が映えていました。
途中の道端で小休止したのち、狭くなり始めた渓谷の中を日高邸跡へ。狭くなった渓谷には赤や黄色に色付いたもみじやカエデが秋の光を浴びています。色とりどりに色付く紅葉をカメラのファインダーに収めながら狭い渓谷を進むと大福山への分岐点。さらにしばらく進んだ渓谷の奥は日高邸跡と言われる広場です。広場の中央には赤や黄色に色付いたカエデが大きな枝を広げています。そのうちの1本は折れてしまったと言いますが、真っ青な秋空の下にその艶やかさを競っているようです。
日高邸跡で昼食したのち大福山へ。急な坂道を登るもみじ谷もまた真っ赤に色付いた紅葉に染まっています。今が紅葉の最盛期と言うこともあって、たくさんのハイカーで道は渋滞気味です。しばらく坂道を登って行くと大福山へと向かう車道の分岐点です。道端にはお祭りさながらに数軒の屋台が店を出していました。
暗い林の中の石段を登って行くと大福山の山頂に祀られた白鳥神社の古びた社です。社殿の両脇にはいかつい顔をした狛犬が我々をにらんでいました。
ここで小休止ののち、尾根沿いの踏み跡をたどり展望台へ。展望台からは車道をたどり養老駅に戻ります。途中、女倉橋付近の道端にも真っ赤に色付いた紅葉が続いていました。