千葉の最高峰である愛宕山は、全国の都道府県の最高峰の中で沖縄の於茂登岳を抜き全国最低の最高峰と言われています。この周辺には伊予ヶ岳を始め、富山や嶺岡浅間など山頂に三角点を抱いた山があります。今日は伊予ヶ岳をはじめとしてこれらの三角点を持つ頂をめぐる山行です。
伊予ヶ岳は千葉の山としては珍しく、小さいながらも急峻な岩峰を持つ山で、房総のマッターホルンと呼ばれています。目指す伊予ヶ岳の登山口は平群小学校近くの天神社にありました。
天神社の駐車場に車を置き、照葉樹の明るい林の中を緩やかに登り始めます。何処かの山岳会なのか、マイクロバスでやって来た初老のパーティも山頂を目指していました。
東屋で小休止ののち、山頂を目指すことにします。ここからは房総のマッターホルンにふさわしく、固定ロープが張られた急な坂道もあります。先行するパーティはザイルなどを張っています。安全第一とは言いながらいささか過剰ぎみです。固定ロープに捕まって登ると頂上は目の前。小さな岩峰はたくさんの人であふれています。
伊予ヶ岳の山頂は双耳峰になっており、三角点は北峰の上にあります。ひとまず北峰の三角点を踏み南峰に。切り立った岩峰の上の山頂は360度の展望を楽しむことができます。目の前には富山や津辺野山、振り返ると千葉県の最高峰である愛宕山、その北に高宕山なども見えるようですが特徴のない房総の山ではその名前を同定するのはなかなか難しいものがあります。
山頂で一休みしたのち登山口に戻ることにします。道が乾いているので滑りやすく気を抜けない下りです。一緒に山頂に登ったパーティは伊予ヶ岳から富山へ向かったようでした。
伊予ヶ岳からは近くの富山に向かいました。富山は滝沢馬琴の南総里見八犬伝の舞台の一つとなったところで、山麓には伏姫の話を伝える籠穴もあります。山頂直下までは暗い林道を登って行きます。観音堂脇の駐車スペースに車を停めて三角点を踏みに行きました。正面が開けた小さない高みの上に3等三角点がありました。
富山からは嶺岡浅間の一等三角点を踏んでくることにします。広い林道は嶺岡林道と言われる林道で、サイクリングなどで訪れる若者も多いところとか。テレコムの中継基地を通り過ぎてしばらく下ったところが浅間神社の入り口です。ここから暗い杉林の中をしばらく登ると展望のない山頂です。浅間神社の石祠の近くに1等三角点がありました。
愛宕山は千葉の最高峰です。山頂一帯は航空自衛隊のレーダー基地になっているため立ち入りは制限されていました。(事前にファックスで連絡が必要)
ゲートで応対してもらった自衛隊員に案内してもらって山頂の三角点へ向かいます。この山は愛宕神社が祀られた山で、急な階段の途中には時代の流れを語るような石造りの社がありました。杉林の中の急な階段を登って行くと三角点のある愛宕山の山頂です。
ここは入間基地に所属する航空自衛隊のレーダーサイトで峰岡駐屯地とか、24時間体制で日本の空の監視を行っているところの一つと言います。2月の中旬には入間基地の一般開放に合わせて愛宕山も解放されると言います。
愛宕山からは鹿野山の1等三角点に向かうことにしました。神野寺から少し下ったところが測地観測所です。測地観測所は地磁気・天文・重力測量など測地測量を行うところで、鹿野山のほかには岩手県の水沢や江刺に設置されていると言います。今日は日曜日なので測地所は休みで鎖が掛けられていましたが、脇から入って三角点を踏んできました。
帰り道にも三角点を拾っていこうということで富津の岩瀬不動尊、富津東下洲原、富津キャンプ場、蔵波台御園公園、姉ヶ崎椎津第一公園の三角点を踏んできました。蔵波台の三角点は小さな公園の中にある1等三角点です。早い冬の日が落ち始めた公園の中、子供たちが興じる遊具脇の植え込みの陰に三角点がありました。
一日の三角点探訪で10か所の三角点を見付けることができました。都市部の三角点は車で目の前までたどり着くことができることもあり、比較的効率よく三角点を見付けることができます。半面、人家の裏庭やマンホール、中にはビルの屋上などに三角点が設けられていることもあります。1/50000地形図だけではなかなか見つけにくいのも事実ですが、あまり点の記に頼って三角点を見付けるのも考えものなとこるがあります。