梅雨の花の一つに数えられるアジサイの群生地として有名な麻綿原高原は、千葉県第2の標高を持つ清澄山地の一角に位置し、県下一の渓谷美を誇る養老渓谷の源流となる高原です。7月の中旬から8月の上旬にかけては、20万本と言われるアジサイが咲き乱れ、全山を青紫色の花で染めるところです。
また登山口の一つである清澄寺は、安房小湊の誕生寺や身延山久遠寺などとともに、日蓮宗の4霊場の一つとして知られた古刹です。境内には天然記念物の大杉や、樹上に卵を産むというモリアオガエルが棲むと言います。
駐車場からは土産物屋の続く参道を清澄寺へと登って行きます。たどり着いた清澄寺の朱塗りの山門から、暗い杉林の中をたどる林道を麻綿原高原へと進んで行きます。山肌を巻いて行く林道はなだらかですが所々に水溜まりも出来、あまり歩きやすくありません。おまけに人の血を吸う蛭が道端にいると言います。低山との気安さからスニーカーを履いてきたのは間違いであったかも知れません。
やがて天津小湊から登ってくる道を合わせると、道端にアジサイの花が咲き乱れる麻綿原高原にたどり着きました。右手の杉林の中に広がる庭園は天拝園。雨の滴を花弁に受け青紫、赤紫に色を変えるアジサイの花は、まさに紫陽花と書くにふさわしい花です。たくさんの観光客に混じり天拝園のベンチに腰を下ろし昼食としました。
昼食の後、急な階段を登りあじさい寺に。ここからアジサイの咲く遊歩道を標高362メートルの展望台へと登って行きます。神社の建つ展望台からは、天候に恵まれると清澄山地をはじめ太平洋までを見渡すことが出来ると言います。しかし今日の空模様では望むべくもありません。
麻綿原高原でアジサイの花景色を堪能した後、往路を清澄寺へと引き返すことにします。まだ昼を少し過ぎた時間、かなり多くの家族連れやお年寄りのツアー客が麻綿原高原を目指していました。