夜叉神峠登山口6:45-(0h50m)-1685m7:35/50-(0h10m)-夜叉神峠8:00-(0h35m)-1890m8:35/9:10-(0h50m)-杖立峠10:00/20-(0h40m)-2290m11:00/20-(0h35m)-2420m11:55/12:15-(0h20m)-苺平12:35-(0h35m)-南御室小屋13:10 テン泊
歩行時間:4h35m、歩行距離:7.0km、累積標高差:+1,206m、-167m
鳳凰三山は観音岳、薬師岳と特徴のあるオベリスクを頭に載せた地蔵ヶ岳の3つの頂で、野呂川を挟んで白峰三山と対峙することから北岳の好展望台として知られています。山登りを始めて間もなく、御座石鉱泉から長い燕頭山の稜線を登り鳳凰小屋へ、ここから鳳凰三山を縦走して夜叉神峠へ下ったことがありました。鳳凰三山はそれ以来の山行になります。
たどり着いた夜叉神峠の駐車場には平日にもかかわらずかなりの車が止まっています。週末にはこの大きな駐車場も一杯になるのかも知れません。
夜叉神峠の駐車場から雑木林の中の登りが始まります。視界の利かない単調な登山道はジグザグを切りながら稜線へと登って行きます。前回の白馬大池の時に比べれば少しは軽くなったザックを背負いながら急な登りに汗を流すと夜叉神峠小屋の前にたどり着きました。
ここは北岳や農鳥岳の一望することのできるところです。以前、この峠に下って来た時はマツムシソウやヤナギランなどの花が咲いていた記憶が残っていますが、今は目立った花も見付けることが出来ません。
夜叉神峠からは雑木林の中の登りが始まります。途中には小さな岩場を登る急坂もありました。平日ということもあり行き交う人はあまり多くいありません。南御室小屋に泊ったのか、初老の男性が下ってきました。時間はまだ9時になっていませんが、気温が高くなっているようで額からは大つぶの汗が滴り落ちてきます。
小休止を繰り返しながらたどり着い暗い峠は杖立峠。ここから小さく下った登山道は苺平へと緩やかに登り返して行きます。途中、広く視界が開けるところは古い山火事の跡です。振り返ると夏雲の下に櫛形山、左手には北岳から農鳥岳の稜線がそびえていました。
シラビソなどの樹林帯の登りに汗を流すと苺平です。ここは千頭帽子山から登ってくる登山道を合わせるところです。しかしあまり利用されていないようでふみ跡も薄いようです。
ここからはシラビソのプロムナードのような道を緩やかに下って行きます。道端にはスギゴケが緑の絨毯のように敷き詰められ、まさに山上の日本庭園と言ったところです。やがて目の前の視界が開けると赤い屋根の南御室小屋です。我々がたどり着いた時はまだテントを張る人もいませんでしたが、しばらくすると広いテン場も十数張りのカラフルなテントで賑わってきました。
まだ夕食時にはしばらく時間があります。テン場の木陰でのんびりすると時間の立つのも忘れてしまいそうです。20人ほどの小屋泊まりの中年のパーティ、若い男の子も小屋泊まりのようです。週末にはこの小屋もたくさんの人で賑わうことでしょう。
南御室小屋6:35-(0h50m)-2,700m7:25/30-(0h10m)-砂払岳7:40-(0h15m)-薬師岳7:55-(0h40m)-観音岳8:35/9:20-(0h30m)-薬師岳9:50-(1h00m)-南御室小屋10:50/11:55-(0h30m)-苺平12:25/45-(1h05m)-杖立峠13:50/14:10-(0h50m)-夜叉神峠15:00/10-(0h45m)-夜叉神峠登山口15:55
歩行時間:6h35m、歩行距離:12.3km、累積標高差:+692m、-1,731m
雨具とお昼ご飯を詰め込んだ軽いザックを背負い観音岳を目指すことにします。多くの人は地蔵ヶ岳を越え青木鉱泉や白峰峠を目指すようです。
観音岳への道はシラビソの林の中の急な登りから始まります。しばらく登るとガマ岩、その先は展望が開け北岳や間ノ岳、農鳥岳の頂を見ることができます。
やがて樹林帯を抜けると白い砂礫に覆われた稜線です。振り返ると雲海の上に大きな富士山、左手には仙丈ケ岳から北岳、農鳥岳へと続く南アルプスの主稜線がそびえています。青く霞む頂は荒川岳など南アルプス南部の頂のようです。
ひと登りしたピークが砂払岳です。大きな岩と白い砂、ハイマツが織りなす景色はまさに日本庭園と言ったところです。ここからは大きな岩の間を下って行きます。鞍部に建つ小屋は小さな薬師小屋。ここのトイレもバイオトイレとして改修されていました。南御室小屋もそうですが最近の山小屋はトイレの事情がかなり改善されているようです。
小さく登った目立たないピークが薬師岳の山頂。山梨百名山の標柱が無ければ通り過ごしてしまいそうな頂です。
薬師岳からも明るい稜線歩きの登山道が続いています。タカネビランジの咲く斜面を登り大きな岩を登ると観音岳の山頂にたどり着きました。山頂からは目の前に地蔵岳、その先には甲斐駒ヶ岳や仙丈ケ岳の頂が一望できます。甲斐駒ケ岳の先には北アルプスの槍ヶ岳、北穂高岳、白馬岳の頂も見付けることができます。振り返るとまだ雲の上に富士山がそびえていました。
山頂で出会った若者はここから眺める頂は日本の3000m峰の多くが含まれると言っていました。確かに日本の3000m峰21山の中、富士山をはじめとして北岳、間ノ岳、槍ヶ岳、悪沢岳、農鳥岳、仙丈ケ岳、乗鞍岳、荒川中岳、北穂高岳、前穂高岳、大喰岳、涸沢岳、中岳、南岳、御嶽山、立山の頂きを数えることが出来ます。奥穂高岳は甲斐駒ケ岳の陰に、赤石岳、塩見岳、聖岳は荒川岳、農鳥岳の陰に隠れているようです。
山頂で展望を楽しんだ後、南御室小屋に戻ることにします。休日ということもあり山頂を目指して登ってくる人も多いようです。かなり気温の上がっているようですがまだ富士山もその頂を見せていました。
たどり着いた南御室小屋でテントを撤収します。食材などが少なくなったこともありザックも比較的軽めです。
休日ということもあって南御室小屋へと登ってくるハイカーもかなり多いようです。大学のワンダーフォーゲルでしょうか大きなザックを背負った20人ほどのパーティ。昨日は夜叉神小屋にテン泊したと言っていました。
さらに下って行くとまた20人ほどのパーティも登ってきます。今日は南御室小屋、そののちアサヨ峰を越えて北沢峠へ。そのあとはサブザックで仙丈ケ岳と甲斐駒を往復すると言っていました。最後を登っていた若者は「少しシゴイテきます・・」とか。なかなか頼もしいものです。
比較的なだらかな稜線はマウンテンランを楽しむ若者も多いところです。小さなザックに専用のシューズ、軽やかに走っている人もいれば歩くより僅かに早いと言う人も。何れ夜叉神峠から観音岳、地蔵岳を日帰りで往復するのですからかなり体力も必要ということでしょう。
たどり着いた夜叉神峠で最後の小休止です。朝は晴れていた北岳の稜線付近は厚い雲に覆われその山頂を見せてはくれませんでした。
夜叉神峠にたどり着いたのは4時近く、途中、休み時間を多く取ったこともあるようですが地蔵岳を往復する時間はなかったようです。
夜叉神峠から往復するよりは地蔵岳を越え白峰峠から広河原に下ったほうが楽だったようです。夏期には広河原発15:00、16:10のバスが利用できるようです。何時かこの山に登ることがあったならこのバスを利用するのも良いのかもしれません。
樹林帯の中を登って行く鳳凰山の登山道にはあまり目立つ高山植物を見付けることはできません。
薬師岳から観音岳へと続く稜線にはタカネビランジが群生しています。南アルプスに特産する花ですがその数は思いのほか多いようです。