長者ヶ原~(0h10m)~九重登山口~(0h55m)~休憩所~(0h40m)~雨ヶ池越~(0h50m)~坊ガツル(テン泊)、法華院温泉(入浴)
坊ガツル~(0h50m)~展望所~(0h20m)~段原~(0h30m)~大船山~(1h20m)~大戸越え~(0h35m)~平治岳~(0h35m)~大戸越え~(0h40m)~坊ガツル~(2h10m)~長者ヶ原
九重山は久住山を最高峰とし、大船山、中岳、三俣山、稲星山、平治岳、星生山などの頂を持つ火山の山です。昨年の3月には牧ノ戸峠から久住山の山頂を往復しましたが今回は坊ガツル賛歌にも謡われた草原にテントを張り、ミヤマキリシマの咲く大船山に登ることにしました。
長者ヶ原ビジターセンターの裏手には九重登山口の大きな標柱が建っています。林道から道を左に折れるとタデ原湿原をめぐる遊歩道との分岐点です。
その先には登山者数を計測するカウンターと登山届ポストがありました。
林道をしばらく進むと登山道が始まります。緑色に染まる雑木林の中を登って行く登山道には樹木の名前を紹介する案内板が立っています。
やがて登山道は枯れた沢を渡ることになります。少し荒れ始めた登山道を登って行くと展望が開けた所にたどり着きました。目の前には山肌を縫うように林道が続く黒岩岳、その下に長者ヶ原の温泉街が広がっていました。
附近の道端にはミヤマキリシマが咲き始めています。小さな花は火山性の地形に適合したツツジで阿蘇や雲仙、霧島などの山に分布すると言います。
緩やかに登ると雨ヶ池の湿原です。ハルリンドウやイワカガミの咲く小さな湿原には木道が敷かれ、梅雨時など雨の後にだけ現れるという雨ヶ池が水をたたえていました。
沢沿いの灌木林を緩やかに下って行くと坊ガツルの湿原が目の前に開けてきます。タデ原湿原とともにラムサール条約に登録された坊ガツルは乾燥化の進んだ草原と言ったところす。坊ガツル賛歌に「四面山なる坊ガツル~」と謡われるように大船山、中岳、三俣山などに囲まれた広い湿原です。
法華院温泉へ向かう道の途中から左に折れると坊ガツルのキャンプ場です。夏はたくさんのキャンパーで賑わうようですが今は2、3のテントが張られているだけです。キャンプ場の管理棟は避難小屋にもなっているようですが管理人は常駐していません。炊事場、トイレなども綺麗に整備されていますが無料ということなのでしょう。
テントを張り食事をしましたがまだ夕食にはかなり時間があります。黄色いサワオグルマやイワカガミの咲く湿原を散策しながら法華院温泉に向かうことにしました。
ミヤマキリシマの咲く法華院温泉は約500年前、英彦山の僧、養順法院が開いた山岳霊場で、法華院温泉の御主人は第26代の住職とか。九重山に登る多くのハイカーは法華院温泉で一夜を過ごすようです。内湯だけの温泉ですが汗を流すとすっきりすることができました。
テン場で早い朝食を済ませたのち、キャンプ場奥の登山口から大船山を目指すことにします。灌木林の中を登って行く登山道は雨などで土削られた荒れた道です。登る人が少ないのか梢が登山道に張り出し、昨夜の雨で濡れた梢からは雨水がリュックサックを濡らします。
ようやくたどり着いた段原は段原火口原の縁にあたるところです。稜線の先には大船山の頂がそびえていました。
段原からはミヤマキリシマなどの灌木の稜線を登って行きます。灌木に覆われた登山道からは良く見えないものの左手は米窪の大きな噴火口です。山頂直下の露岩に覆われた登りにひと汗を流すと大きな岩に覆われた山頂にたどり着きました。巻き上がる雲で久住山の山頂は見え隠れしているものの眼下には坊ガツル、その上には三つの頂を頭に載せる三俣山、中岳、稲生山など頂を数えることができます。振り返る稜線の先には平治岳の山頂がそびえていました。
山頂は複雑な火山地形になっています。青く水をたたえる御池は秋の紅葉が美しい所とか、直径500m深さ200mの米窪火口は2~3000年前に噴火た火口で火口壁は急峻な岩壁に覆われていました。
大船山からは平治岳を経て坊ガツルに戻ることにします。段原から小さく登り返した頂は1760mの北大船山です。附近は咲き始めたミヤマキリシマの花に彩られていましたが「峰くれないに大船の・・」と謡われる花景色を楽しめるのはあと1週間あとでしょうか。
ここからは平治岳への鞍部である大戸越えを目指し下って行きます。雨に土削られた登山道は荒れています。灌木の小枝が登山道に張り出し歩くのも大変な下りです。
たどり着いた大戸越えにはたくさんのハイカーが休憩していました。今週末は久重山の山開きとか。九住山と大船山が交代で山開きをしているようで、今年は九住山で山開きが行われると言います。このためか久住山の山頂はたくさんの人で一杯だったと言います。
平治岳の山肌は咲き始めたミヤマキリシマに彩られていました。山頂の肩の大きな岩までは登りのコースと下りのコースが分かれています。息を切らせながら露岩に覆われた急な登りに汗を流すと山頂の肩です。振り返るとミヤマキリシマの花の先に坊ガツル、その上には三俣山の頂がそびえていました。
大きな岩を越えると山頂は目の前です。平治岳の山頂にも浅い火口高原があったようで登山道は火口原の渕を巻くように山頂へと登って行きます。
たどり着いた山頂には三角点があります。広く開けた山頂でお昼にしました。北斜面を登ってくる道もあるようで息を切らせながら山頂へたどり着いたハイカーも数組いました。
下山コースは西側の山肌を巻くように下って行きます。たどり着いた大戸越えからは照葉樹林の中を下る道です。少し荒れてはいるものの大船山への登りに比べ歩きやすい道でした。
坊ガツルでテントを撤収したのち雨山峠越えで長者ヶ原に下ることにします。
標高差の少ない雨ヶ池越えの登山道は軽装の人たちにも利用しやすいようです。午後を過ぎても若者や初老のハイカーが峠越えを目指していました。
坊ガツル賛歌で知られるミヤマキリシマの咲く大船山。今年は花の時期が1週間ほど遅れているようで、例年では6月の初めに満開を迎えるミヤマキリシマもまだ咲き初めでした。
しかしその分、喧騒を避けた静かな山歩きが出来たようです。英彦山で出会った人も「山開き以降の九重はたくさんの人で大変・・・」と言っていました。