霧島山は阿蘇山や開聞岳とともに、深田久弥氏の日本百名山の一つに選ばれた山です。韓国岳、新撚岳と天孫降臨の伝説を今も伝える高千穂峰など23座の火山を総称する山です。多くの火山湖と温泉を持つ一帯は数多くの行楽客を集める観光地としても、またキリシマツツジの群生する山としても有名です。
宮崎自動車道の小林インターから霧島道路の急なカーブを登って行くと、車窓から眺める景色は白い砂礫とゴツゴツした岩が織り成す殺伐とした風景に変わってきます。霧島山の登山口は不動池の近くにありました。
不動池の傍らに車を停め、韓国岳の山頂を目指すこととします。霧島山の主峰と言いながら標高は1,700m。九州の最高峰は久住山に譲ることにはなりますが、それでも九州屈指の高山です。登山道は白けた砂礫地の中を緩やかに登って行きます。振り返ると不動池、その奥には御池、白紫池などの火山湖が青く水をたたえていました。やがて登山道は韓国岳の大きな火口壁の渕を巻くように山頂へと登って行きます。付近一帯はツツジなどの潅木林となっていますが、まだ蕾も硬いようです。
ようやくたどり着いた山頂からは、遮るもののない広い展望を楽しむことが出来ます。正面には大きな火口を広げるのは新撚岳。その向こうに頭を持ち上げるのは天孫降臨の神話を今に伝える高千穂峰です。はるかに霞む山頂には日本の国旗がはためいているようです。晴れた日にはこの向こうに桜島が見えると言います。残念ながら今日は霞の中に溶け込みその姿を見せてくれません。
山頂からは往路をたどり不動池へ。途中で出会った中年の男性は地元、九州の人。よく九州の山を歩いているようです。話によると九州の山はあまりスケールが大きくないとか。また冬にはこの付近にも雪が降り、正面にみえる白紫池は天然のスケートリンクになると言います。山談義に花を咲かせながら登山道を下って行くと、ほどなく車を停めた不動池にたどり着きました。