高千穂河原-(1h30m)-背門の丘-(0h20m)-高千穂峰-(1h25m)-高千穂河原
高千穂峰は古事記や日本書紀が伝える天孫降臨の地です。天照大神の命を受けた瓊々杵(ニニギ)尊がこの峰に降り立ったと伝えられる神話の舞台の一つで、天孫降臨の地とされるところはこの他にも同じ宮崎の高千穂町の?觸峰(くしふるみね)が伝えられています。
たどり着いた高千穂河原には大きな駐車場とビジターセンターがあります。広い駐車場もすでにたくさんの車で溢れそうになっています。駐車場の右手は高千穂河原の登山口、左手は新燃岳へと登って行く登山口です。新燃岳へと登って行くハイカーもかなり多いようです。
大きな鳥居をくぐり古宮址に向かいます。ここは天孫降臨の神事が行われると言うところです。遊歩道のような石畳の登山道は赤松の林の中を緩やかに登って行きます。展望台から登ってくる道を右手から合わせ、しばらく登って行くと赤茶けた火山礫に覆われた急な登りが始まります。辺りは巻きあがるガスに覆われ視界は全く利きません。
ザラザラと滑りやすい急坂に息を切らせながら高度を上げて行きます。右手は御鉢と呼ばれる噴火口で、新燃岳とともに最も遅くまで噴火活動をしていたところで、最近では大正12年にも噴火があり登山者の死亡事故もあったと言います。まさに現在も活動が続いている火の山と言えるようです。
登山道は御鉢の渕を巻くように背門の丘へ向かいます。細い稜線の上をたどっているようで右手は火口に向かって深く切れ落ちているようです。しかしガスに覆われ火口壁さえもその姿を見せてくれませんでいた。
小さく下った鞍部が背門丘(せたお)と言われるところで、小さな石祠が祀られています。ここは霧島神社の社があったところで、御鉢の噴火や火災などにより焼失し現在の位置に移されたと言います。
深いガスの中、登山道はジグザグを切りながら山頂へと登って行きます。火山礫の歩きにくい登りをひと登りすると山頂です。神々が降り立つといわれる山頂には、瓊々杵尊(ニニギノミコト)の忘れ物といわれる天の逆鉾がありました。この山頂からは日向灘に昇って東シナ海に沈む太陽を眺めることができると言われるように、さえぎる物のない広い展望の頂もミルク色のガスに覆われ何も見えません。
山頂直下に建つ山小屋には峰守さんがいるようですが、この日は天候が悪いためか誰もいませんでした。壁には大きな日の丸の旗がありました。15年ほど昔、韓国岳に登ったことがありますが、山頂から眺めた新燃岳の先にそびえる高千穂峰に日の丸の旗が棚引いていたのが記憶の中から蘇ってきました。
寒い山頂で一休みした後、往路をたどり高千穂河原に戻ることにしました。歩程が短いこともあり小さな子供を連れた家族連れも山頂を目指したいます。しかしスニーカーにウィンドブレーカー、寒くなると結構つらいことになるかも・・。
途中で道を左に折れるとミヤマキリシマの群生地を下る自然散策路です。5月の末になるとこの斜面をピンクに染め上げる群生を楽しめると言いますが、今は蕾さえも膨らんでいないようです。
帰りは霧島神社に参拝。朱塗りの神殿は高千穂峰に降臨した瓊々杵尊(ニニギノミコト)を主神として祀った古い神社です。広い駐車場には大型の観光バスなどたくさんの参拝客が訪れていました。
えびの高原の近くには大浪池という火口湖があると言います。阿蘇山の登山で出会った埼玉県の人が話していましたがこの時期湖畔にはマンサクの花が咲いていると言っていました。
大浪池の登山口は霧島スカイラインの道端にあります。ここはえびの高原から韓国岳、大浪池へと縦走する登山コースの下山口ともなっているようで、たくさんの人が下ってきます。我々と同じようにマンサクを見るために大浪池に向かう人もいるようです。たどり着いた大浪池は典型的な火口湖で、登山道は火口壁の渕を韓国岳へ続いているようです。大浪池の肩から小さく登った登山道にはマンサクの花が咲いていました。