元越山は大分の南東、米水津湾に面した小さな頂です。地球が丸く見えると言われる展望の山で山頂には一等三角点もあります。
またこの山は明治の文豪、国木田独歩が愛した山としても紹介されています。
佐伯インターで一般道に降りたのちガイドブックに従い米水津へと向かう県道へ。小さな案内板に従い集落に中を進むと登山口の駐車場にたどり着きました。登山口には小さな石仏と九州百名山の標柱が建っていました。
登山道は照葉樹の林の中を登って行きます。南国の山との印象が強かった九州の山はどちらかと言えば湘南や房総の山。明るい照葉樹林に包まれた低山ならではの優しい雰囲気が漂っています。深く土削られた登山道は青い苔に覆われ、古くから多くの人がこの山道を登っていたことを窺わせるところです。
途中には下の地蔵山と呼ばれる石仏がありました。やがて登山道は林道に出会います。途中で通行止めになっているのかあまり車が入った形跡もない道です。
林道の先から再び杉林の中をなだらかに登って行く登山道が続いています。小さなピークを巻くようにして稜線を登って行く道は、小さく下ったのち山頂へと登って行きます。
たどり着いた山頂は広く開けた芝生の頂と言ったところで、小さな石祠と一等三角点がありました。地球が丸く見えると紹介された山頂からは東に豊後水道を挟んで四国の島影、目の前には米水津湾が広がっています。この海岸は三陸海岸などと同じリアス海岸で深く切れ込んだ湾や島は日豊海岸国定公園にも指定され、南国の雰囲気に包まれるところです。振り返ると霞んだ空の下に由布岳や久住山、西側に目を移すと傾山や大崩山などの峰々を見付けることができるようです。しかし訪れたことにない山域では何処がどの山かを見定めることは難しいものがあります。
また元越山は明治の文人、国木田独歩が愛した山としても知られています。残念ながらまだ読んだことはありませんが「欺かざるの記」に元越山山頂からの広大な展望が描写されていると言います。山頂に設けられた展望版にはその一節が紹介されていました。
明るい山頂で展望を楽しんだのち、往路をたどり登山口に戻りました。ここ元越山は雪も少ないことから冬にも登る人が多くいるようです。
登山口で見かけた人は元越山に登る会の人でしょうか。車のウィンドウには元越山のパンフレットが挟んでありました。パンフレットによると毎年2月には元越山に登る会が企画する登山が行われ、たくさんの人この山頂を訪れていると言います。
帰りは一般道をたどり大分へ。途中、臼杵石仏を見てみたり佐賀関で名物と言う関サバを買い求めたり。観光気分の明るい山行を楽しむことができました。