社山は「しゃさん」とも「やしろやま」とも言われ、日光周辺の山々がそうであるように、宗教色の強い名前が付けられた山です。中禅寺湖の対岸に位置し登山道から眺める紅葉の中禅寺湖は、日光のビューポイントの一つに数えられているところです。
日光周辺の紅葉は今週がその最盛期。中禅寺湖周辺ではすでにその盛りを過ぎているようですが、いろは坂の周辺は燃えるような紅葉に包まれていました。
中禅寺湖の湖畔から中禅寺湖スカイラインへ。緩やかにカーブを繰り返しながら坂道を登っていくと半月山第1駐車場です。目の前には真っ青な湖面に男体山の影を映す中禅寺湖。ここからの眺めは中禅寺湖のビューポイントのひとつです。さらに稜線上に続く道を進んでいくと半月山第2駐車場です。社山への登山口は大きな駐車場の傍にありました。
登山道はひとまず半月山に向かうことになります。明るい稜線を緩やかに登っていくと小さな展望台があります。ここは半月山の肩にあたるところで、青く輝く中禅寺湖には紅葉に彩られた八丁出島が突き出し、鏡のような湖面には大きな男体山が影を落としています。このカットは中禅寺湖の観光ポスターでも紹介されているところ。まさに中禅寺湖のビューポイントのひとつです。半月山の山頂はここからコメツガの林の中をしばらく進んだところにあります。木立に覆われた山頂からは展望は期待できません。
半月山からは半月峠に向かって笹原の稜線を下って行きます。たどり着いた半月峠は明るく開けた峠で、右手の道は中禅寺湖湖畔の狸窪(むじなくぼ)に下ることが出来ます。
半月峠からは明るい稜線を登り返すことになります。登山道は背の低い笹に覆われ、落葉樹がまばらに生えているだけ。昔はコメツガの林に覆われていたと言うこの付近は、足尾銅山の煙害による大規模な自然破壊で一時は丸坊主になったところとか。左手には今なお無残な山肌をさらす備前楯山。足尾銅山が閉山してすでに30年の年月が過ぎ、煙害の象徴となったこの山の自然も、わずかずつですが再生が進んでいると言います。
たどり着いたコブは1,955メートル峰といわれる小さな頂です。ここからは再び阿瀬潟峠に向かい急な坂道を下って行きます。
たどり着いた阿瀬潟峠も明るく開けた峠で、右手には阿瀬潟に下っていく道。ガイドブックに紹介されている登山コースは、阿瀬潟から社山の山頂を目指しているようです。車は狢窪までしか入れないと言いますが、そのほうが近道であったかも知れません。
阿瀬潟峠からは急な登り坂が続いています。そろそろ葉を落とした稜線からは右手に中禅寺湖。その奥には戦場ヶ原、小さく頭を持ち上げる高山。温泉岳、金精山から連なる稜線の上に小さく頭を持ち上げる日光白根の山頂は、もう白い雪に包まれているようです。
最後の急坂を登りつめると社山の山頂です。低いコメツガに覆われた山頂はわずかに中禅寺湖が見えるだけで視界はあまり良くありません。山頂からしばらく下った稜線に腰を下ろし昼食としました。ここからの展望はなかなか素晴らしいものです。右手には中禅寺湖と男体山。振り返ると長く続く稜線の先に半月山。その右手には車を停めた駐車場が小さく見えています。さらにその右手には岩肌も無残な備前楯山。その上に霞む稜線の上には日本百名山のひとつ皇海山が霞んでいました。
昼食の後、車を停めた半月山に戻ることにします。山頂から夫婦連れのハイカーが降りてきました。登りでは誰にも会わなかったのだから、千手浜から黒檜岳、社山をたどり下ってきたのでしょうか。かなり健脚なものです。
急な坂道は阿瀬潟峠に向かい下って行きます。この稜線はアップダウンの激しいところ。疲れ始めた足にはかなり辛い上り下りが続きます。低い笹に覆われた坂道をひと登りすると半月山の展望台です。ここから車を停めた駐車場までは明るい稜線をひと歩きです。