日光の東端に位置する赤薙山の東南斜面には、春のツツジ、初夏のニッコウキスゲ、秋の紅葉に彩られる霧降高原があります。霧降高原有料道路とリフトを利用することで、容易に山頂直下のキスゲ平に立てることから、シーズン中にはたくさんの家族連れやハイカーで賑わう高原です。
浅草駅から東武日光の快速電車で凡そ2時間。東武日光のバスターミナルから霧降高原行きの東武バスに乗り換え更に30分。たどり着いた霧降高原の広い駐車場は赤いツツジの花が咲き乱れていました。
バスの終点から左手の階段を登ると山頂へのリフト乗場。丸山直下のキス平までは3本のリフトを乗り継ぎ凡そ20分ほどです。リフトの両脇にはピンク色のミツバツツジやヤマツツジ、白い清楚な花を付けたシロヤシオツツジなどが今を盛りに咲いています。
第1リフトを降り立つと小さな展望台です。眼下に日光の市街や鳴虫山が曇り空の下に霞んでいます。第2リフトから第3リフトと乗り継ぎたどり着いた台地がキスゲ平。シーズン中には斜面を黄色に染めるニッコウキスゲの群生地ですが、今は緑の草原が広がっているだけです。
ここから急な坂道をひと登りすると小丸山ノ頭。天気に恵まれると大きな展望を楽しめるところですが山腹を舞い上がる霧に遮られ、展望を楽しむこともできません。左手正面には赤薙山が霧の中に荒々しい谷を刻んでいます。しばらく登ると赤薙山への分岐点です。左手の道をたどると赤薙山の山頂まで凡そ1時間半の道程と言います。ここから巨岩の間の急坂をひと登りすると広く開けた丸山の山頂です。
山頂は舞い上がる霧に包まれ、期待していた展望は全く望めません。仕方なくまだ時間は早すぎるようですが、山頂の草原に腰を下ろし昼食です。
昼食の後、大山に下ることにします。滑りやすい急な坂道を下ったところが八平ガ原。真っ赤なツツジの咲き乱れる小広い笹原を下りると、ほどなく第2リフトの傍に建つ高原ハウスの前に飛び出しました。
高原ハウスからは広い草原の中に続く伸びやかな登山道を下って行きます。草原の中には真っ赤なツツジが咲き乱れていました。登山道は有料道路の下をくぐり抜け、雑木林の中の急坂をツメタ沢へと下って行きます。暗いツメタ沢を越えると登山道はなだらかな登りに変わってきます。真っ赤なヤマツツジ、朱色のレンゲツツジが咲き乱れる心地よい雑木林を登って行くと、目の前が開けた霧降牧場。ここから広い牧場の中に続く緩やかな道をたどって行くと大山の山頂にたどり着きました。雲雀のさえずる山頂からしばらく下った草原で小休止です。
小休止の後、牧場の中の舗装された車道を猫ノ平へと下って行きます。たどりついた猫ノ平には15~6頭の乳牛が若草を食べていました。近くを通ると突然我々の方に近づいてきます。迫り来る大きな体はなかなか迫力です。
猫ノ平の分岐点でマックラ滝への道を右に分け、暗い雑木林の中を霧降川へと下って行きます。霧降川を丸木橋で渡り登り返すと、今朝バスで登ってきた有料道路です。ツツジ平からさらに車道を下っていくと霧降ノ滝の駐車場。数軒の土産物屋と、スカイリングという展望レストハウスが建っていました。
霧降ノ滝の展望台は、ここから雑木林の中の遊歩道をしばらく下ったところにあります。華厳ノ滝、裏見ノ滝とともに日光三名瀑のひとつに数えられる霧降ノ滝は高さ75m。明るい新緑の中、2段になって白い飛沫を上げる姿は迫力満点です。この展望を最後の楽しみに、東武日光駅に戻ることにしました。
日光は今がツツジの真最中。山肌を赤やピンクに染めるツツジの群落は、なかなか見応えのあるものです。また雑木林の中に咲くシロヤシオは葉が5枚あることからゴヨウツツジとも言われています。駅の花壇では黄色い花を付けていたニッコウキスゲも、霧降高原ではまだ時期が早いようです。観光写真でお馴染みのニッコウキスゲ群生地も、青い草原が広がっているだけでした。満開は7月の上旬と言います。