今年の梅雨は記録的なカラ梅雨。例年ならまだ梅雨の真っ最中の7月の始めに梅雨明けのような晴天が続いています。今日は日光の再深部に位置する日光白根山に、シラネアオイの花を訪ねてみることとしました。
東北自動車道から日光宇都宮道路に乗り換え金精道路へ。急な登りのカーブにアクセルを噴かしながら高度を上げて行くと、金精トンネル手前の駐車場にたどり着きました。今日はこの駐車場に車を停め、山頂を目指すことにします。
駐車場側の登山口からひとまず金精峠へ。木の根を頼りに身体を引き上げる急な登り坂に息を切らせると金精峠。真っ赤な屋根をした金精神社が建っていました。ここからの展望は素晴らしく、つづら折れの金精道路の先に青い水をたたえた湯ノ湖が輝いています。大きく広がる戦場ヶ原とその上の男体山。なかなかの景色です。
登山道は目の前にそびえ立つ金精山に向かい急なガレ場を登り始めます。右手、菅沼方面から強い風が吹き上げてきますが、折からの晴天に気温もかなり上がっているようです。ようやくたどり着いた山頂近くの展望台に立つと目の前に切り立った笈吊岩。先ほど登り始めた金精峠が、はるか下に見えていました。
金精山からは明るい尾根道を国境平へ。たどり着いた国境平から左手に折れる道は、中ツ尾根を湯元へと下る道です。登山道は明るい草原状の尾根道を五色山へと登って行きます。国境平より凡そ50分。シャクナゲが咲きかけた稜線に飛出すと、突然、目の前に白根山がその姿を見せてくれます。五色沼にその姿を写すゴツゴツとした岩尾根は、関東以北の最高峰としての気高さを感じさせてくれる山です。
時間が許せば白根山の山頂まで足をのばしてみたいものですが、やはりこの山は日帰りでは多少無理があるようです。今日は五色沼と弥陀ヶ池を訪ね登山口に戻ることにします。外輪山をたどる露岩の多い登山道は吹き上げる風が強いものの、左手に太郎山や男体山など日光の山々。右手に白根山の岩峰を眺めながらの、心地よい散策路といったところです。小さな登りにひと汗をかくとケルンの立つ前白根山の平坦な山頂。左手に降りて行く道は天狗平を経て湯元に下って行く道です。白根山の山頂までは右手の道をたどり約1時間ほどのきつい登りが続くようです。
前白根山の山頂からは右手の道を下っていきます。途中から道を右に折れ、明るいブナの緑が優しい樹林帯の中を五色沼へ。高低差およそ200メートルほどの下りですが火口壁だけあってなかなか急な下り坂です。
五色沼の湖畔にたどり着くとそこは一面のお花畑です。湖岸にはプロの写真家でしょうか、大型のカメラを湖面に向けシャッターチャンスをうかがっていました。器材が違うのか腕が違うのか、自分のカメラでは良い写真が撮れそうもない風景のようですが・・・。
弥陀ヶ池からは菅沼へ。コメツガの林の中を緩やかに下って行きます。往路の金精山を越える登山道に比べ、こちらの道の方が整備も行き届いているようです。弥陀ヶ池からおよそ1時間。カワヤナギノ木が目立つ林道に飛出すと菅沼の登山口です。指導標には白根山までのタイムコースのほか、白根山の高山植物が紹介されていました。
菅沼の売店で一休みした後、疲れた身体を引きずるように金精峠を目指すことにしました。針葉樹の林をたどる登山道は緩やかなものの、最後の登りはことのほか辛いものです。途中、小休止をしながら金精峠の神社の前に。ここから急な坂道を木の根を頼りに下って行くと車を停めた駐車場です。
五色沼の湖畔にはお花畑が広がっています。真っ赤なコイワカガミの群落に混じり、ハクサンチドリがピンクの花を付けていました。
この山の名前を頭に付けたシラネアオイ。最近はシカによる食害や盗掘により、この山ではあまり見かけることができなくなったようです。一緒に下ってきた親子連れの話では、弥陀ヶ池のほとりに数株のシラネアオイが花を付けていたと言います。シカの食害から守るため金網の中で咲いていたとか。今年は好天のせいか、山の花も1週間ほど早く花を付けているようです。