7合目駅6:50-(1h30m)-黒岳8:20/35-(0h25m)-黒岳石室9:00/05-(0h50m)-雲ノ平展望台9:55-(0h40m)-北鎮岳分岐10:35-(0h25m)-北鎮岳10:50/11:30-(0h10m)-北鎮岳分岐11:40/12:00-(1h15m)-黒岳石室13:15/14:05-(0h30m)-黒岳14:35/45-(1h05m)-7合目駅15:50
大雪山は2,000m前後の山が連なる広大な山域です。お鉢平の大カルデラを中心として北海道の最高峰である旭岳、北海岳、間宮岳、北鎮岳、白雲岳などの頂が連なっています。10年ほど前の8月、お鉢平をめぐってみたことがありました。今回はその時登れなかった北鎮岳に足を延ばして見ることにしました。
6時前に駐車場を出発、2便目のロープウェイで山頂駅に向かいます。我々と同じようにザックを背負ったハイカーのほか観光バスでやってきた団体客も山頂駅へと登って行きました。山頂駅からはリフトで7合目駅へと向かいます。冬はスキー客を運ぶリフトも今は足が地面に付きそうなくらい低いところを登って行きます。
たどり着いた7合目駅からは黒岳へ向かっての登山道が始まります。山麓駅では曇っていた空も小雨交じりの空模様で、ザックカバーにカッパを着こんでの登りが始まります。ジグザグに登って行く登山道はたくさんの花が咲き乱れるところです。この登山道に咲くトリカブトはダイセツトリカブト、ヤマハハコやエゾノキンバイソウ、オニシモツケ、チシマアザミなどたくさんの花を探しながらの登りが続いています。
8合目を過ぎると岩混じりの登山道はかなりの急坂になります。息を切らせながら高度を上げて行くと白いガスの中から招き岩が見え隠れしていました。9合目を過ぎると雲が薄くなり青空も見え始めて来ました。
たどり着いた黒岳の山頂はそれまでの天気が嘘のように晴れ上がり、お鉢平を挟んで左手に白雲岳、右手には凌雲岳から北鎮岳の頂がそびえています。北鎮岳や間宮岳の山肌にはまだ雪渓が残っていました。
1/25000地形図では黒岳の山頂には三角点があるようです。右手の岩場の上に標石があるようでしたがGPSが示した地点には標石も三角点を示す標柱もありませんでした。
黒岳からは黒岳石室を目指して下って行きます。砂礫に覆われた登山道にはコマクサが咲いています。花の時期は終わりを迎えているようでしたがタルマエソウも見付けることができました。
黒岳石室は登山道を右に折れたところにある避難小屋です。近くにはテン場もありビールなどの飲み物の販売は行っているようです。また立派なバイオトイレも設置されいます。このトイレはおがくずでし尿を分解する仕組みのようで、トイレ使用後は自転車のペダルをこいでおがくずとし尿を攪拌すると言います。
しかしこのトイレは登山者の増加に対応できず、年に数回トイレのおがくずを交換する作業が必要になっていると言います。交換したおがくずをビニール袋に入れヘリコプターで運び下ろしているとか。この日も昼過ぎに業者がおがくずの交換作業を行っていました。
黒岳石室からは北鎮岳を目指します。緩やかに登って行く登山道は雲ノ平と呼ばれるところで、お鉢平から噴出した火砕流が堆積した所とか。砂礫に覆われた登山道沿いにはコマクサなどをはじめたくさんの高山植物を見付けることができます。
小さく登ったところはお鉢平展望台で、お鉢平カルデラの渕に当たるところです。直径2kmほどのカルデラは2~3万年前に発生した火砕流が噴出したところで、ここから流れ出した火砕流は層雲峡を埋め尽くし石狩川の上流へと達しました。層雲峡にそそり立つ柱状節理はこの時の火砕流が容結して造り出されたものと言います。
お鉢平展望台からは北鎮岳分岐へと登って行きます。ジグザクに登る急な坂道に息を切らせると北鎮岳の分岐です。目の前には中岳、間宮岳へと向かう縦走をが続いていました。
砂礫に覆われた登山道をジグザクに登って行くと北鎮岳の山頂です。旧陸軍に第7師団のとして北海道の守りをになった通称、北鎮部隊に因んで名づけられた頂きは旭岳に次いで北海道第2の高峰です。
強い風が吹き抜ける山頂からはまさに360度の展望が広がっています。お鉢平を挟んで白雲岳と旭岳、その先にはトムラウシ山や十勝岳の頂も霞んでいます。振り返ると赤茶けた細い稜線の先に比布岳の頂も見えていました。
北鎮岳からはお鉢平を巡ろうと思っていましたが吹き付ける強い風で気温もかなり低くなっています。ウィンドブレーカー替わりに雨具を着こんでもなかなか暖かくなりません。空沼や夕張岳では暑さに閉口していましたが、北海道の高い山にはそろそろ秋の気配が近付いているのかも知れません。
北鎮岳分岐からは黒岳に戻りました。黒岳石室の前で昼食していると、近くの人がカメラを持ってテン場へ向かっています。話によれは凌雲岳の山裾の雪渓近くにクマが見えると言います。このテン場からは沢を挟んで1.2kmほど、先ほど下ってきた雲ノ平からは直線距離で500mほどと言ったところです。カメラのレンズでは点のように小さく見えますが目の前に野生の熊が現れたのは初めてのことでした。北鎮岳や桂月岳は登山道もありますが凌雲岳は登山道も無いようです。北海道の山は本州と違い安易に藪こぎなどをすることは危ないもののようです。
黒岳石室からは黒岳の山頂へと登り返します。それほど急な登りではないものの疲れた足にはかなりキツイ登り返しでした。
黒岳の山頂でお鉢平の展望に別れを告げ、7合目駅へと下って行きます。リフトから黒岳を往復するのか、軽装のハイカーがこの時間も山頂を目指しています。黒岳石室にテントを張るのか大きなザックを背負った単独行の人も山頂を目指していました。
黒岳へと登って行く登山道はこの時期たくさんの高山植物に彩られるところです。ここに咲くトリカブトはダイセツトリカブト、ナガバノキタアザミやチシマアザミ、イワギキョウの花が今を盛りに咲いていました。
黒岳石室へと下って行く砂礫の斜面にはコマクサやホタルブクロが咲いていました。
北鎮岳へと向かう登山道にも珍しい花があります。チシマクモマグサは羅臼でも見たことのある花です。またニシキツガザクラはアオノツガザクラとエゾノツガザクラの自然交配種と言います。