層雲峡をはさみ表大雪と対峙する北大雪の山の中で、表大雪に最も近い平山は大雪山の展望台です。また小泉岳に次いで、高山植物の多い山としても有名です。今日は晴れ間がのぞくという天気予報につられて平山を目指しました。しかし登山口が近付くに連れ低く垂れこめた雲からは雨がしとしと降り始めてきます。仕方なく途中で目的地を変更。まだ紅葉の時期には早いようですが、大雪高原の沼をめぐることとしました。
紅葉の高原沼めぐりは大雪観光のハイライトの一つ。シーズンになるとバスのツアー客など、たくさんの観光客で賑わうところです。このためシーズン中は一般車の交通規制も行われているとか。しかし今は訪れる車もあまり多くないようです。
環境庁のヒグマ情報センターに立ち寄ると、ヒグマが数頭出没し緑沼より先は立ち入り禁止とか。時間も7時から15時以外は立ち入り禁止になっていると言います。
ヒグマ情報センターで入林の手続きを済ませ、明るい雑木林の中をヤンベタップ川へと歩き始めます。時おり現れる小さな湿原には、ミズバショウが大きな葉を広げています。幾つかの小さな沢を越えるとヤンベタップ川です。ここから登り返した所が沼めぐりの分岐点。右手の道は通行止めになっているようですが、しばらく登った所にヤンベ温泉があると言います。さらに進むと小さな沢にたどり着きました。沢にかかる木の橋の下には、バイカモが白い花を水に揺らしています。さらに道を進めて行くとショウコノ沢。ここから小さく登るといよいよ湿原です。木道が敷かれた道端にはミヤマリンドウが可憐な花を付けています。
まず右手に現れたのが土俵沼。針葉樹の林に囲まれたひっそりとした沼です。左手にはバショウ沼。水辺にミズバショウが群生していることから名付けられた沼とか。さらに木道を進むと滝見沼です。トドマツの木影に一条の滝が架かっているのが眺められる沼です。最後がこのコースのハイライトである緑沼。正面に連なる高根ヶ原の稜線と万年雪をバックに、トドマツの濃い緑を湖面に映す沼です。秋の紅葉の季節には、ウラジロナナカマドの紅葉が湖面に映え、まさに絵になる沼と言います。
緑沼で昼食の後、往路を高原温泉に戻ることとします。たどり着いた高原温泉で一風呂浴びて行くことにします。大きな湯船が一つだけの温泉は乳白色をしています。木彫りの熊の口から勢いよくお湯が出ているのがなんとも面白いものです。ここはもともと混浴であったようで、男女の浴室を区切る壁は最近作られたもののようです。欲を言えば「露天風呂でもあれば…」というのは贅沢と言うものでしょうか。