真富士山から十枚山に続く稜線の中間に位置する青笹山。この山はその名の示すように笹に覆われたなだらかな頂を持つ山で、山頂からは富士山や南アルプスの山々を一望することができる山です。登山道は葵高原から山頂を目指すものが一般的なようで、ガイドブックには地蔵峠から青笹山を周遊するコースが紹介されていました。
この時期は歌の歌詞ではないですがお茶の新芽も青々と伸び、中には茶摘みを始めているところもあります。ジグザグに山道を登っていくと葵高原にたどり着きました。ハイキング案内板の手前にはすでに数台の車が停まっていました
葵高原からは正木峠を目指すことにします。付近一帯は放牧地の後のようで、荒れ果てた小屋跡なども残っていました。登山口には静岡ライオンズクラブが設置した案内板が立っています。登山口の1番から始まり青笹山の山頂で20番となるようです。
登山道は一度車道を横切ったのち、杉林の中を緩やかに正木峠へと登って行きます。たどり着いた峠には葵高原からの道が登ってきているようで、地元の軽四輪が道端に停まっていました。
砂利の車道をしばらく登ると、右手の尾根に向かって緩やかな登山道が始まります。さらにしばらく登ると目に前の展望が開け、地蔵峠から下十枚山へと続く明るい稜線がそびえていました。
道端で出会った太めの小母さんは地元の人、地蔵峠から下十枚山へ向かうと言います。この稜線は5月中にはシロヤシオの花が美しいところとか、近くにアカヤシオの咲くところもあるようですが今年は季節が早いようですでに花も終わっていると言っていました。
ここからは芽ぶきも始まっていない心地良い登が続いています。仏谷山の山肌を回り込むように登っていく道は、程なく地蔵峠にたどり着きました。木立の先にはなだらかな山伏の頂とその奥に白く雪を被った聖岳など南アルプス南部の山々が広がっていました。
地蔵峠で一休みをしたのち、仏谷山への急な坂道を登り始めます。木の根につかまりながらの急な登りにひと汗を流すと、笹原に覆われた仏谷山の山頂にたどり着きました。ライオンズクラブが設置した案内板11番仏谷山、山頂を示す案内板がなければ気がつかない広い山頂です。縦走路から少し離れた小さなこぶの上に三角点がありましたがここからの展望も今一つです。
仏谷山からは青笹山を目指すことにします。登山道はコメツガの稜線を細島峠へと下って行きます。ここからさらに稜線を進むと葵高原へと下っていく道が分かれる稜線分岐です。
ここからは明るい稜線を登って行きます。岩交じりの尾根道をひと登りすると小さな頂きにたどり着きました。笹に覆われた明るい頂からは安倍川に沿った山々が一望できます。やや霞んだ春の空の下には白く雪をかぶった南アルプスの山々が長い稜線を連ねていました。
広い頂にはマウンテンバイクをもった若者が一人、南アルプスの展望を眺めながらカップラーメンを食べていました。最近は山にマウンテンバイクを持って登って来る若者を見かけます。話を聞くとバイクは13kg位とか、前輪にサスペンション、前輪ディスクブレーキ、タイヤもかなり太いなど、造りもかなり違いそうです。仲間はテントを持って縦走しているとか。なかなか元気の良いものです。
一度小さく下って登り返すと串団子のような標柱が立つ青笹山の山頂にたどり着きました。木立が少し伸びているようですが目の前には富士山。少し霞んでいますがしばらくすると山頂付近の雲も取れてきました。
山頂からは稜線出会いへ。ここから岩交じりの坂道を葵高原へと下って行きます。登りに利用するとかなり辛そうな急な坂道です。やがて登山道はコケに覆われた沢を横切りようになります。まさに山上の苔寺といったところでしょうか。紅葉が色づく時期には綺麗なところなのかもしれません。
さらにしばらく下るとネットが張り巡らされた山葵田の脇にたどり着きました。細島峠へと登って行き道が右に分かれています。葵高原への道はネットをくぐって行きますが少し判りにくいところです。
やがて登山道は林道分岐へ。少し下ると車を停めた葵高原にたどり着きました。
帰りには近くの黄金の湯に立ち寄ることにします。ここは高ドッキョウに行った時にも立ち寄ったところです。平日のためかお風呂は貸し切り状態、受付のおじさんの話では昨日はたくさんの入館者があったとか。このような山中の日帰り温泉としては、かなり流行っているのかも知れません。
正木峠から地蔵峠へと登って行く明るい早期林の中にヤマウツボを見つけました。ブナ林などに生える寄生植物とか。少し花の時期が過ぎていたようですが始めてみる珍しいものです。