竜爪山は静岡の南部にそびえる小さな頂で、薬師岳、文珠岳の二つの峰からなる双耳峰です。その名前からも判るように山岳宗教の匂いを今も残す山です。山頂直下には穂積神社が祀られ戦前は弾よけのご利益があるということで、多くの兵隊さんの信仰を集めていたと言います。
東名自動車道の清水インターから竜爪街道を北へ。竜爪山の登山口に停まっている車を見送りながら山道を登って行くと穂積神社の社殿の前にたどり着きました。
穂積神社の社の前からは大きな杉の脇を通る登山道が始まります。古い神社の跡という石積みを超えると、右手に工事用の足場を利用した階段の道が現れます。登山道はこの階段を登って行く急坂と、杉林の中をジグザグに登る道に分かれます。登りは階段の道を登ることにしました。
急な階段の登りはなかなか疲れるものです。晩秋の空の下、気温は0度を切っているようですが額からは汗も流れて来ます。息を切らせながら階段の登りを繰り返すと視界が開け低い雲が棚引く空の下に富士山が、左に目を移すと雨ヶ岳など本栖湖の湖畔にそびえる山々がその姿を見せてくれました。
たどり着いた薬師岳の肩から暗いスギ林の中を進むと薬師岳の山頂です。竜爪山は薬師岳と文珠岳の2つの峰からなる双耳峰で最高点は薬師岳の山頂にあります。
一度小さく下った登山道は雑木林の中を緩やかに登り返します。地元の人たちでしょうか山頂からは初老のパーティが下ってきます。この山は静岡周辺では最も人気のある山の一つで、比較的アプローチもよいことから多くの人が山頂を訪れているようです。
たどり着いた山頂は南側が大きく開け、目の前には清水港の街並み、右手には三保ノ松原とテレビアンテナを頭に載せた日本平を一望することができます。左手には木の間から富士山が見え隠れしていましたがしばらくすると雲に頭を隠してしまいました。
振り返ると杉の木立の間から阿部奥と言われる山域の山々が雲の下に見え隠れしています。幾筋もの爪跡が谷に向かって落ちている山は大谷崩、雲に頭を隠した山は山伏でしょうか。山頂では用意してきたホウトウで昼食です。寒いので体が温まってそれなりの美味です。
帰りは往路をたどり穂積神社へ。急な階段は通らず杉林の中を下ってきましたが、結構急な下りでした。