桜えびの産地として有名な由比町に小さな頭を持ち上げる浜石岳。花の百名山にヤマユリの咲く山として紹介されていますが、むしろ目の前にそびえる富士山の好展望台として有名な山です。
登山道は東海道五十三次の難所の一つである薩捶峠から長い尾根道を登って行くコースや、坂本からのコースなども利用されていると言いますが、山頂直下の青少年野外センター近くの駐車場に車を停めると小さな子供連れでも簡単に山頂を踏むことのできる山です。
広い青少年野外センター下の駐車場からは暗い杉林の中を登り始めます。ひと登りすると遊具などが置かれたキャンプ場の一角です。ここからは再びヒノキの植林帯の中を登って行きます。よく整備された登山道は緩やかに左手の稜線を目指して登って行きます。やがて薩捶峠から登ってくる道を左手から合わせると、山頂へは明るい稜線をひと登りです。
冬枯れの草原が広がる山頂にはすでに数組のパーティが昼食の最中です。富士山の好展望台として知られる山頂からは広い展望を楽しむことができます。正面には頭に雲を被った富士山、愛鷹山の右手には春霞みの中に沼津アルプスの小さな頂が浮かんでいます。逆光に光る相模湾には清水の港と三保の松原、その右手には低く頭を持ち上げる日本平を眺めることができます。
昼食ののち暫くすると風が北風に変わったのか、富士山の山頂を包んでいた雲も取れすっきりとそびえ立つ頂を我々に見せてくれました。
竜爪山や篠井山から眺める富士山も見応えがありましたが、富士山までの距離が近いだけあってかなかなかの迫力のある頂がそびえたっています。さらに左手に目を向けると南アルプスの山ーが白い雪を被っていました。白い雪を被った稜線の外れには七面山、その前にそびえる頂は篠井山です。雪雲の中に北岳や農鳥岳などが隠れているようですがハッキリとは見えませんでした。
山頂には浜石岳から眺めることのできる山を案内する方位版があります。この方位版には富士山が逆さに映るとか。池や沼などがないのに逆さ富士が眺められるとはなかなか珍しいものです。