篠井山は小さいながらも南峰と北峰の2つの頂を持つ山で、北峰には四ノ位神社の祠が祀られています。以前は御堂から登って行くコースが利用されていたようですが、最近は奥山グリーンロッジから大洞沢に沿ったコースが利用されているようです。またこの山はヒルが多い山で、5月から9月にかけてはヒルに悩まされることが多いといいます。
富士川に沿った国道52号線を北上すると南部町です。ここからは福士川に沿った集落の中を登って行きます。しばらく登ると幡竜橋、ここからは福士川渓谷に沿った道を登って行きます。途中から工事中でしたが、登山口の大洞沢休憩舎まで車を入れることができました。しかし道は未舗装の上、日陰には残雪が道を覆っていました。
登山道は大洞沢の渓流にそって緩やかに登って行きます。登山道は数日前に降った雪に覆われています。先行するパーティの踏み跡もしっかりと付いていますが、くるぶしほどの雪道が続いています。苔むした岩の間を冷たい水が流れる沢に沿って高度を上げて行くと幾つかの小さな滝が現れます。それほど気温が下がってはないものの、水量が少ないのか白く結氷している滝もあります。やがて水の少なくなった沢を渡ると目の前に2段になって落ちる明源ノ滝が現れます。
ここからは右手の沢を登って行くことになります。やがて沢を離れると登山道は杉の植林帯の中をジグザグに登って行きます。相変わらずくるぶしほどの雪に覆われた登山道は思いのほか歩きにくく、息もすぐに上がってしまいそうです。
登山道の途中で一息を入れたのち、ふたたびジグザグを切りながら単調な登りに汗を流します。やがて杉の植林帯からヒメシャラなどの雑木林に変わると篠井山の北峰と南峰を分ける小さな沢の傍を登るようになります。左手に分かれる分岐は北峰へと登る道のようですが踏み跡も付いていません。今日は道を右に折れ三角点のある南峰を目指すことにしました。
たどり着いた篠井山の小さな山頂は東側が大きく開け、正面に富士山がそびえていました。風はあまり吹いていないものの薄い雪雲に覆われた富士山の展望はいま一つです。
ここからは北峰へ向かうことにします。トラロープが張られた踏み跡をたどり一度鞍部に下ったのち、雪に覆われた急な斜面を小さく登り返します。
たどり着いた北峰には四ノ位神社の壊れかけた社が祀られていました。杉木立に覆われた薄暗い山頂からの展望は期待できません。小さな社もしっかりと扉を閉じ、腰を下ろすところもありません。山頂の先には南峰に周遊するコースもあるようですが途中で踏み跡は消えています。右手には御堂コースが分かれていました。分岐を示す小さな標柱はあるものの人が入った気配もありません。ここは元来た道を戻ったほうが良さそうです。
雪の斜面を南峰に戻り昼食です。先ほどまでは雪雲に覆われていた富士山が青空の下にその大きな姿をそびえ立たせていました。
富士山の目の前に連なる山は天子ヶ岳と長者ヶ岳、その南側に連なる山は思親山。身延山の山頂から日蓮上人が安房上総にいる親を思って、思親山の奥に霞む安房を眺めたと伝えられる山です。その右手には富士川を挟み貫ヶ岳や浜石岳の小さな頂が頭を持ち上げています。振り返る西側は木立に覆われ展望を期待することはできません。わずかに木立の先に真っ白く輝く北岳と間ノ岳、その左手には山伏の稜線が雪をまとっています。目の前にそびえているはずの十枚山は木立の中に隠れその姿を見せてくれませんでした。
山頂におかれた小さな鐘、途中で出会った人に教えてもらいましたがこの鐘を4回たたくと幸せになれるとか。なかなかすんだ音がする鐘です。
山頂からは往路をたどり登山口に戻ります。登りではかなりきつかった雪道も下りとなれば楽なものです。1時間ほどで車を停めた登山口に戻りました。