安倍奥にはかねてから気になっている山伏があります。日本300名山にも選ばれた山で安倍奥の山々の中で唯一2000メートルを超える山です。山伏をの名が知られているのは「やんぶし」と言う変わった呼び名もさることながら、笹の山頂から眺める長く裾野を広げる富士山の姿にあると言います。
登山口は林道勘行峰線の百畳峠にあります。この林道は県民の森と言われる大きなキャンプ場などあるところで、夏には家族連れのキャンパーなどで賑わうところのようです。
百畳峠の広い駐車場に車を停め山伏の山頂を目指すことにします。明るい笹の登山道を登り始めると笹山から続く尾根道を合わせ、緩やかに高度を上げていきます。振り返ると白い雪をかぶった南アルプスの稜線が長く続いていました。
コメツガの林を抜けるとよもぎ峠からの道を合わせてひと登りすると山伏の山頂です。広く開けた笹原の山頂はヤナギランの咲くところのようで、木道と植物保護のためのロープが張られていました。
三角点の置かれた山頂に立つと目の前に大きなすそ野を広げた富士山がそびえています。コメツガなどの針葉樹が伸びすぎた気もしますが、大きなすそ野を広げるその姿は富士山展望の山として話題を集めることも頷けるものです。
振り返ると雪を被った南アルプスのパノラマが広がっていました。目の前に広がる峰は赤石岳や聖岳など南アルプス南部の山々。普段見慣れていないこともありその頂を同定するのはなかなか難しいものがあります。
山頂に広がる富士山と南アルプスの展望を楽しんだのち、車を停めた百畳峠に戻ることにしました。ガイドブックなどによると日影沢からよもぎ峠経由で山伏に登るコースが紹介されています。往復6時間を超える行程になるようですが、秋の空気の良い時期にでも富士山の展望を楽しみに訪れてみたいものです。