富士山の好展望台としてかねてから気になっていた山に真富士山があります。静岡県の南部、安倍奥と言われる山域で、千葉からはアプローチが長いこともあり今までその山頂を踏む機会に恵まれていなかった山の一つです。
静岡インターから一般道に降り安倍川にそった県道を登って行きます。真富士の里というパーキングの先で道を右に折れ、小さな道標に導かれながら林道を登って行きます。しばらく登ると橋のたもとの登山口、さらにしばらく林道を登っていくと登山道入り口と書かれた道標が立っていました。
登山口の道端に車を停め、ヒノキ林の暗い登山道を登り始めます。真っ直ぐに登っていく道はかなり急な登りです。やがて道は右手に折れ沢沿いの道を登って行くようになります。道の両側の木々は雑木林に変わり、さずがに静岡南部の山だけあってまだ紅葉も残っています。道端に目を落とすと咲き残ったツルリンドウが秋の日をいっぱいに浴びながら花を開いていました。
枯れた沢を渡ると登山道は雑木林の中を登って行きます。この山もまた古い信仰の匂いが色濃く残っているところで、道端には石のお地蔵さまが祀られていました。再び道がヒノキ林の中を登って行くようになると程なくヲイ平にたどり着きました。
ヲイ平は真富士峠へと登る道と真富士神社に登る道を分ける分岐点です。平と名付けられてはいますが展望もない暗い樹林帯の中の分岐点です。小さな標柱と古びた石祠が祭られていました。
ヲイ平からは真富士神社に向かい雑木林の登山道を登って行きます。稜線の直下には苔むした涸沢、木漏れ日を受け緑に染まる石積みは、さながら山の中の苔寺といったところでしょうか。
やがて登山道は稜線上の分岐点にたどり着きました。右にしばらく進むと真富士神社の小さな社が祀られています。目の前には真富士峠の先に白い雪を被った富士山がそびてていました。
分岐点から明るい雑木林の尾根道をしばらく登って行くと真富士山にたどり着きました。ここは富士山のビューポイントの一つ。一筋の雲を5合目付近にたなびかせ、真っ青に晴れ渡った青空の下にそびえる富士山。右手に目を移すと越前岳から呼子岳へと続く愛鷹山、さらにその右手には駿河湾の海岸線に小さな頭をもたげる沼津アルプス。何時まで見ていても見飽きない眺めです。
展望を楽しみ名から昼食を楽しんだのち、富士見峠へと下って行くことにします。
この時期は駿河湾では秋の桜エビ漁が解禁されていると言います。由比の街では桜エビかき揚げ丼を食べさせてくれるところがあると言います。当初の予定では第二真富士を往復してくる予定でしたが時間的に間に合わないようなので、今日は富士見峠から登山口へ下ることにしました。
あまり展望に恵まれない富士見峠から明るい広葉樹の道を下って行きます。たどり着いたヲイ平から往路をたどり登山口へ。途中、ヒノキ林の切れ間より青空の下にそびえる大無限山、小無限山など南アルプス南部の山が顔を見せてくれました。
登山口からは由比の街に向かいます。国道1号線から分かれ古い街並みが軒を並べる由比の街へ。東海道本線のガイドをくぐり由比漁港にあるという浜のかき揚げやに向かいました。インターネットでも紹介されていた船着き場の傍に建つ小さな店はすでに人影もありません。残念ながら3時半で店は終わってしまったと言います。仕方なく近くの玉鉾というお店に立ち寄り桜エビを食べることにしました。