無意根山は札幌近郊の最高峰です。登山口は豊羽鉱山から山頂を目指すコースと、薄別から山頂を目指すコースの2つが開かれています。かつて薄別から山頂を目指すコースは、薄別から蓬莱川に沿って1時間以上の長い林道歩きが強いられる中級コースでした。登山をはじめたころの若さをもっても、全行程7時間近くのコースはなかなか厳しかった記憶が残っています。
しかし、数年前から林道が開放され、途中の蓬莱小屋まで車が入るようになったと言います。これにより、このコースも比較的簡単な初級コースの仲間に入ったようです。
国道230号線の薄別から道を右に折れ、トドマツ林の中をジグザグに登って行きます。しばらく登ると、小さな登山ポストの置かれた登山口にたどり着きます。駐車場にはすでに数台の車が停まっていました。
ここからは、明るい雑木林の中を緩やかに登って行く登山道が始まります。時々急な登りもありますが、登山道はなだらかに無意根尻小屋を目指して登って行きます。道端にはお馴染みのマイヅルソウやツバメオモトなどの花が咲いていました。
しばらく登ると大蛇ヶ原の湿原です。乾燥化が進み始めた湿原にはワタスゲが白い穂綿を風に揺らせています。ここからしばらく登ると北大が管理していると言う無意根尻小屋です。冬季間も小屋を開いているようで、小屋番の若者がストーブ用の薪を割っていました。
無意根尻小屋で小休止した後、小屋の前の小沢を渡り北壁と呼ばれている急坂へ。ジグザグを繰り返しながら北壁の急坂を登る登山道は、なかなかきつい登りです。たどり着いたところはテラスと呼ばれる笹の台地です。
深い笹に覆われた登山道をしばらく登ると、千尺高原からの登山道を合わます。やがて傾斜が緩やかになると登山道はハイマツのトンネルの中を登って行くようになります。そこはすでに山頂の一角ですが、ここから山頂まではかなり長く感じられる稜線歩きです。やがてハイマツが開けると小さなケルンの積まれた山頂です。
山頂からは目の前に大きな後志羊蹄山を望むことができると言いますが、あいにく雲が舞い上がりわずかにその裾野を見せてくれるだけです。この時期、この山はたくさんのブヨやヤブカに悩まされる山です。ゆっくり昼食を楽しむ雰囲気にもありません。今日は早々に登山口を目指すほうが懸命のようです。
ケルンの積まれた山頂の手前の斜面は、チングルマやハクサンイチゲの咲き乱れるお花畑です。標高1,500メートルに満たない札幌近郊の山として、このお花畑はなかなか見事なものです。この付近は山頂から張り出す雪庇が発達するところ。このため遅くまで残雪が残っているようです。このことがこのような豊かなお花畑を育てている理由のようです。
このお花畑に咲くハクサンイチゲはエゾノハクサンイチゲ。お馴染みのハクサンイチゲに比べ花柄が短いのが特徴です。