藻岩山の右手に小さな頭を持ち上げる岩峰。標高1,000メートルに満たない山ですが、山頂に特長のある岩峰をのせたその頂きは、札幌市内からも望むことのできる山です。
札幌から国道230号線を定山渓に。右手に八剣山の頂きを眺めながらしばらく進むと、特長のある神威岳の岩峰が見えてきます。百松沢橋から豊平川を渡ると目指す神威岳の登山口です。まだ8時前にもかかわらず、すでに数台の車が停まっていました。
駐車場からは百松沢林道の単調な林道歩きが始まります。トドマツの林の中をしばらく進むと、右手に砥石ダムが見えてきます。青く水をたたえたダムの脇を過ぎると、林道は百松沢に沿って緩やかに登りはじめます。しばらく進むと左手にカラマツ林の中をたどる登山道。付近一帯はニリンソウやミヤマエンレイソウ、ヒトリシズカなど春の花に覆われています。
やがて登山道は百松沢林道と合流します。しばらく単調な林道を進むと、右手の沢の中に登山道が現われます。ここからは本格的な山道。途中には小さな沢を渉るところもあります。展望の利かない登山道はカラマツ林の中を緩やかに登って行きます。
やがて右手の視界が大きく開け、明るい雑木林の間から、大きな岩峰を頭に載せた神威岳がその姿を見せてくれます。ここはガイドブックにも紹介されている休息所。道端に腰を下ろし小休止です。
休息所からは明るい稜線を巌望台に向けて登って行きます。緩やかに登る尾根道には、ミツバツツジのピンクの花、オオカメノキも白い花を付けていました。
岩峰が近づいてくると巌望台です。ここからは再び急な坂道を山頂へと登って行きます。やがて登山道は岩峰の基部を回り込み木挽沢の源頭へ。ここから山頂に向かい急な坂道を登って行きます。固定ロープが張っている急な坂道をひと登りすると、狭い神威岳の山頂です。
山頂からは360度の展望が目を楽しませてくれます。目の前にそびえる頂は烏帽子岳。その左手の岩峰は定山渓天狗です。その後ろに広がる朝里岳から余市岳の峰々はまだ冬の世界から目覚めていないようです。さらにその左手には無意根山。振り返ると砥石山の向こうに藻岩山。その左手にはアンテナを山頂に載せた手稲山がそびえていました。
山頂で昼食の後、往路をたどり登山口へ戻ることにします。いつもの事ですが、北海道の山には登山道が1つしか開かれていない山が多いようです。このためどうしても登りも下りも同じ道を通るピストン登山になってしまいます。関東の山などのように登山道が幾つか整備されていると、もう少しバリエーションのある山旅が楽しめるかもしれません。
休息所の付近は、今がシラネアオイの花盛り。東京ではあまり見ることの出来ないこの花も、北海道の山ではごく自然に見ることの出来る花です。
山頂直下の急な斜面には1、2週間前まで残雪が残っていたようで、まだ湿っている登山道にはシラネアオイやエンレイソウに混じって、エゾエンゴサクが春のお花畑を作っていました。