札幌から国道230号線を定山渓に向かい走って行くと右手に見える小高い山。恐竜のようにゴツゴツとした岩峰を頭に載せた山が八剣山です。標高500メートルに満たない小さな山ですが、その特徴のある山容と、山頂からの抜群の展望は北国のハイカーを魅了した山です。
札幌市内は長かった雪の名残も消え、そろそろ春の芽吹きに彩られる季節を迎えています。しかし山はまだ冬の世界。この時期、北海道では春の息吹を楽しむことのできる山は数少ないものです。
昨年開通した八剣山トンネルの脇から雑木林の中を進むと南登山口です。小さな駐車場にはすでに数台の車が停まっていました。
登山道は豊平川に土削られた斜面を登って行きます。急な坂道をひと登りすると目の前に見上げるような岩峰がその姿を見せてくれます。登山道はその基部を巻くように右手の稜線に向かい登って行きます。やがて視界が開け始めると登山道は細い岩稜の上を山頂へ。右手は谷に向かって切れ落ちているところもあり、なかなか気の抜けない尾根道です。やがて岩稜を北側に回り込むようにして岩場の上に出ると山頂の一角です。左手が垂直に切れ落ちた岩峰は高度感もあり、思わず足もすくみそうです。
山頂からはまだ冬の化粧に包まれた定山渓の山々を一望することができます。右手には真っ白な余市岳や無意根山、左手には札幌岳から空沼岳の長い稜線。まだまだ山は冬の世界から目覚めていないようです。
山頂での展望を楽しんだ後、西登山口へ下ることにします。北西斜面に付けられた登山道は所々に残雪が残っています。それほど急な坂道ではないものの、固定ロープを張っているところもありました。
たどり着いた西登山口は果樹園の中。のどかな田園風景の中を南登山口へ戻ることにします。途中、八剣山トンネルの手前からは、明るい春の日を浴びた八剣山の岩峰を手にとるように眺めることができました。先ほど展望を楽しんだ山頂は右手の岩峰の上です。
明るい雑木林の中には、エゾエンゴサクが明るい春の光を浴びながら芽吹きの季節を迎えていました。この斜面も、もう春が目の前にやってきているようです。