浅間山荘-(1h05m)-二ノ鳥居-(1h05m)-火山館-(0h55m)-2250m付近-(0h45m)-前掛山-(0h15m)-シェルター-(1h05m)-火山館-(0h40m)-二ノ鳥居-(0h45m)-浅間山荘
浅間山は今も煙を吐く火の山です。天明3年(1783年)の大噴火では溶岩流や火砕流が発生し近隣の村に多大の被害が発生しました。鬼押し出しはその時流出した溶岩流です。
最近では2009年2月にも小噴火が発生し僅かながら火山灰が降ったと報道されていました。昨年の4月には噴火警戒レベルも1に引き下げられ、火口から500mの前掛山まで登ることができるようになっていました。
登山口の浅間山荘は天狗ノ湯と呼ばれる赤い温泉が人気の山荘で、キャンプや乗馬などができるところです。
山荘前の駐車場はすでに満車、一段下がった牧場の駐車場もたくさんの車で一杯です。かなりたくさんの人が山頂を目指しているようです。駐車場の脇には火山観測のためのGPS観測装置があります。まだこの山の地下には火山の息吹が息づいているのでしょうか。
登山道は浅間神社の信仰の匂いが残っているところで、登山口には木の鳥居が建っています。その脇には火山活動の状態を示す案内板もあります。
登山道は緩やかに若葉に包まれた雑木林の中を登って行きます。しばらくすると目の前にカモシカが姿を見せてくれます。人を警戒していないのかなかなか逃げようとしません。丹沢や奥多摩でシカを見かけるのは珍しくありませんが、カモシカも時々見かけるようになってきたようです。
柔らかい若葉のシャワーを浴びながら沢沿いの道を登ると一ノ鳥居です。右手は不動滝をたどるコース、我々は小さな橋を渡り左手のコースを登ることにしました。
やがて登山道は不動滝からの道を右から合わせ二ノ鳥居にたどり着きました。この登山コースの歩程は約6時間、すでに山頂から下ってくる人も何人か。この時間にここまで下ってくるにはかなり早くに出発したのでしょう。
沢沿いに続く登山道はガスに見え隠れする牙山(きっぱやま)の岩峰を眺めながら登って行きます。道端にはたくさんの薪が積まれていました。「火山館のストーブ用の薪です。一本でも持ち上げていただければ感謝です・・」数本ずつリックに積みましたがあまり持ち上げられないものです。
ガスの中に牙山の頂が見え隠れするようになると、登山道は斜面を巻きながら沢に向かって小さく下って行くようになります。
赤茶けた沢は火山ガスが噴出しているところがあるようで、硫黄の匂いが鼻を突きます。やがて浅くなった沢を回り込みように登って行くとログハウス造りの火山館にたどり着きました。広場にはベンチやテーブルも置かれたくさんのハイカーが休憩や食事を楽しんでいました。
火山館の脇には浅間神社の古い社が祀られています。小さく登った登山道は広い火高原の中を登って行きます。カラマツ林にはJバンドへの分岐点。左手の道をたどると黒斑山に向かうことができるようです。この地点が火口から1.5kmの地点です。
ミネズオウやコケモモなど砂礫地に咲く高山植物が目立つようになると登山道は前掛山の山腹を登って行くようになります。振り返ると巻き上げる雲の中から外輪山の岩峰が顔を出しています。黒班山は雲の中に隠れていますがそれから続く岩峰は蛇骨岳、賽ノ河原から蛇骨岳の頂をめぐる人の影も見えていました。
砂礫の稜線を回り込むように登ると火山シェルターの建つ稜線にたどり着きました。かまぼこ型のシェルターは噴火のときの退避用にと建てられているものです。鉄製のドームにコンクリートで岩が貼り付けられていますが、火山ガスの影響なのか岩は剥がれ落ちていました。
ここからは外輪山の稜線沿いに前掛山の山頂に向かいました。左手に浅間山の山頂を眺めながら稜線を登って行くと山頂標識の建てられた前掛山の山頂です。目の前には浅間山の中央火口丘、その中からは白い噴煙が登っていました。
山頂からは往路をたどり浅間山荘に下ることにします。途中、火山館のベンチで小休止、すでに人気もない火山館でオリジナルと言う登山バッチをGet、小屋番の叔父さんの話によるとこのバッチは今日から販売を始めたばかりと言います。
火山館からは長い下りが待っています。すでに下る人は我々だけで、浅間山荘の駐車場にたどり着いたとこは我々の車だけが残っていました。
若葉色の雑木林の中を登って行く登山道にはミツバツツジやヤマツツジ、レンゲツツジなどの花を見付けることができます。枝先を白く飾るのはズミの花でしょうか。
火山館近くの草原にはハクサンイチゲやイワカガミ、キバナノコマノツメの黄色い花を見付けることができます。沢沿いの斜面にはイワカガミが真っ赤に群生していました。
前掛山へ向かう登山道にはミネズオウやコメバツガザクラなど砂礫地に育つ高山植物が咲いていました。
登山口の浅間山荘から前掛山までは標高差で1100m、ツツジなどの灌木からミネズオウのような高山の花まで、高度分布に従い多くの花を見ることができる山ということができます。