浅間山から続く長い稜線の上には古い火山が幾つか頭を持ち上げています。地蔵峠の西にそびえる湯ノ丸山もそのような山のひとつで、烏帽子岳とともに数万年前まで噴火をしていた火山と言います。また、60万本と言われる湯ノ丸山のレンゲツツジの大群落は、国の特別天然記念物にも指定され、毎年6月下旬には山肌を鮮やかな朱色の絨毯のように染め上げ、たくさんのハイカーで賑わうと言います。
地蔵峠のロッジ脇に車を停め、湯ノ丸山の山頂を目指すことにします。冬はスキー場になるゲレンデに不明瞭な登山道が延びています。付近一帯は天然記念物に指定されているレンゲツツジの群生地で、6月になると付近一帯をオレンジ色の絨毯が覆うところ。しかし今はオヤマノリンドウが紫色の花を付けているだけです。まっすぐに登って行く登山道は思いのほかきつく、すぐに息も上がってしまいます。振り返ると水ノ登山、篭ノ登山が大きな裾野を広げていました。
つつじ平という稜線にたどり着くと、灌木林の中をたどる心地好い登りとなります。レンゲツツジやドウタンツツジの紅葉もなかなか奇麗なものです。しばらくすると登山道は山頂へと続く急な登りになります。岩屑に覆われた急坂をひと登りすると、なだらかな湯ノ丸山の山頂にたどり着きました。残念ながら菅平の方向から霧が舞い上がり、山頂は真っ白な霧の中です。
山頂で昼食の最中、立ち込めていた霧が晴れ、正面に烏帽子岳がその姿を現してくれます。遥か遠くには小諸の町並みと光る千曲川が霞んでいました。
湯ノ丸山からは烏帽子岳の山頂を目指すことにします。登山道は石屑に覆われた急坂を按部に下って行きます。たどり着いた鞍部からは烏帽子岳の山腹を巻くように稜線へ。露岩の稜線をしばらく北へ進むと目指す烏帽子岳の山頂です。晴れていると北アルプスや八ヶ岳の展望が楽しめるという山頂も、今日はわずかに湯ノ丸山が望めるだけです。
山頂からは車を停めておいた地蔵峠に戻ることにします。稜線をからはひとまず湯ノ丸山との按部に下って行きます。ここからは赤や黄色に色付いた雑木林の中を緩やかに下って行く心地良い登山道です。
モミジは染料をもみ出すことからモミジと言われ、カエデは蛙手が訛ったものとか。イロハモミジ、イタヤカエデも何れもカエデ科の木ですが、切れ込みの多いものをモミジ、少ないものをカエデと言うとか。
心地好い紅葉の山道を下って行くと、やがて広いキャンプ場にたどり着きました。シーズン中は子供達の歓声で賑わっていたキャンプ場も今は静まり返り人影もありません。車を停めた地蔵峠はここからは林道をしばらく下った所です。