湯の沢峠-(0h35m)-白谷丸下-(0h20m)-白谷丸-(0h20m)-黒岳-(0h30m)-川胡桃沢ノ頭-(0h40m)-牛奥ノ雁ガ腹摺山 -(0h35m)-川胡桃沢ノ頭-(0h30m)-黒岳-(0h15m)-白谷丸-(0h30m)-湯ノ沢峠(16:05)
大菩薩嶺から南に続く稜線は小金沢連嶺と呼ばれ富士山を眺めながらの稜線歩きを楽しめる明るい山域です。2000mを僅かに切れる稜線は大菩薩峠からの縦走路として、避難小屋などを利用しながら歩くハイカーも多いようで、ガイドブックなどにも紹介されています。
その中間に位置する雁ガ腹摺山は雁の群れが山肌に腹を摺るように飛んでいくことから名付けられたと言う山で、この山域には旧500円札の裏面を飾った雁ガ腹摺山、国道20号線の笹子トンネルが真下を通る笹子雁ガ腹摺山、それと今回登る牛奥ノ雁ガ腹摺山の3つがあります。なかなか紛らわしいものがありそうです。何れも富士山の展望に恵まれた頂として知られいます。
たどり着いた湯ノ沢峠の駐車場から笹に覆われた道を進むと湯ノ沢峠です。ここは牛奥ノ雁ガ腹摺山から続く縦走路上の峠で右手の道は大蔵高丸を越えて滝子山へと続いています。ここから道を左に、背丈を越える熊笹に覆われた急坂を登って行きます。
しばらく登ると視界が開け、振り返ると緩やかに続く大蔵高丸からの縦走路、左手に目を移すと木立の先に白い雪を抱く南アルプスのスカイラインが続いていました。
カヤトの斜面が広がる白谷丸の直下には広い展望を楽しむことのできる広場があります。正面に見えるはずの富士山は巻上がる雲の中にその姿を隠しているものの、目の前には三ツ峠山から黒岳へと続く御坂山塊の山々。左手には御正体山から菰釣山、大室山など道士から丹沢にかけての山々がシルエットとなって続いています。昨年、今倉山の直下で眺め大菩薩嶺から続く稜線の先にひときわ目立つ禿げた斜面は今立っているこの場所だったようです。
白谷丸の山頂からはコメツガの林の中を黒岳へと向かいます。付近一帯は黒木の森と呼ばれるところで、枯葉に覆われた登山道にはコバイケイソウの芽ぶきも始まっています。黒木は松やトウヒ、ツガなどといった常緑針葉樹の総称で黒岳から雁ガ腹摺山へ稜線はコメツガなど黒木の林に覆われているようです。
小さく登り返したコメツガの林の中の頂が黒岳の山頂です。小さく開けた頂には山頂標識と1等三角点が建っていました。
黒岳の山頂でひと息を入れたのち雁ガ腹摺り山へと向かいます。コメツガの林の中に続く登山道は苔むした露岩の間を越えながら緩やかに下って行きます。道端に目を落とすと枯葉の下からミツバオウレンの白い花が顔を出していました。
広く開けた笹原は川胡桃沢ノ頭と呼ばれるところで、木立の先からは御坂山塊の山々、その上に富士山が雲に頭を隠しながらそびえています。
ここからは賽ノ河原の鞍部に向かい笹の斜面を下って行きます。笹に覆われた登山道に目を落とすと倒れかけた宮標石が建っていました。この登山道は御料地の境界であったのでしょうか。
広く開けたカヤトの鞍部からは雁ガ腹摺山へ登りが始まります。小さなジグザグを繰り返しながらひと汗を流すと広く開けた牛奥ノ雁ガ腹摺山の山頂にたどり着きました。南面が広く開けた山頂には山頂標識と宮標石が建っています。目の前には三ツ峠から黒岳へと続く御坂山塊の山並み。しばらくすると雲の上に富士山の頂が頭を見せてくれます。その山頂はまだまだ真っ白な雪に包まれていました。
雁ガ腹摺山の山頂で昼食をとった後、往路をたどり湯ノ沢峠へ戻ることにします。黒岳の山頂でひと息を入れたのち、たどり着いた白谷丸の山頂からは大きな富士山が我々を見送るようにその姿を見せていました。
この縦走路は大菩薩嶺からのテント縦走や避難小屋縦走を楽しむハイカーが多いコースのようです。雁ガ腹摺山の山頂で見かけた一行は小学生くらいの子供を連れた家族連れ、大きなザックを背負った大学生のグループや夫婦連れのハイカーも見かけました。アップダウンの比較的少ないコースは途中の湯ノ沢峠に避難小屋などもあり、初夏や晩秋の比較的簡単な縦走登山に向いているようです。湯ノ沢峠の駐車場にはテントを張っているパーティや避難小屋で泊まろうとしているパーティも数組いました。我々も機会があれば大菩薩峠からこのコースを縦走してみたいものです。