丹沢と奥多摩の間に連なる道志の山の中にあって、かねてから気になっていた山に菜畑山があります。ガイドブックなどにも紅葉の時期の山として紹介されている小さな頂で、菜畑山と書いて「なばたけうら」と読ませる珍しい山の名が気になっていました。奥多摩周辺にはこの他にも日向沢ノ峰(ひなたうらのあたま)のようの峰を「うら」と読ませるところもあるようです。
道志川に沿って山中湖へと向かう国道413号線を西に走ると道志村です。目指す菜畑山の登山口は道志郵便局先の曙橋から狭い林道を登って行くことになります。暗いスギ林の中の道は車の行き来もままならない狭い道で、あまり車も入っていないのか厚く落ち葉も積もっています。この先駐車スペースがあるかどうか不安もあったため、カーブの途中にあった駐車スペースに車を停め登山口を目指すことにしました。
林道は暗いスギ林の中を緩やかに登って行きます。送電線の下を過ぎると程なく林道の終点にたどり着きました。小さな駐車スペースには地元ナンバーの車が2台停まっています。右手から大久保から登ってくる登山道を合わせるところで、テレビの中継塔が建っていました。
ここからは暗いスギ林の中の急坂が始まります。スギに交じって赤松の木も多いようで、道の上には松葉の落ち葉が厚く積もっています。やがて冬枯れの雑木林の中を登って行くようになると、真っすぐに稜線を目指す急坂が始まります。所々にはイノシシの仕業か土が深く掘り起こされていました。
急な登りに息を切らせながらたどり着いた稜線は山梨百名山の標柱と三角点が建つ菜畑山の山頂です。目の前には大室山から菰釣山へと続く丹沢の稜線、さらに右に目を向けると御正体山の上に富士山がそびえていました。
菜畑山からは今倉山へと向かうことにします。すでに葉を落とした梢の先から奥多摩から奥秩父へと続く稜線が見え隠れしていますが、あまり展望のよいところ間ありません。小さなこぶを拾いながらたどり着いたところが水喰ノ頭と言われるところです。真新しい道標は建っているだけで、展望のない縦走路の中のコブといったところです。
ここからは急な坂道を下ることになります。登山道にが落ち葉が厚く積もり、急な下りでは結構滑りそうです。たどり着いた鞍部からは明るい雑木林の中を登り返すことになります。梢の先に今倉山の三角形の頂が見え隠れしていました。
登山道は小さなこぶを回り込むように山頂を目指して登って行きます。喘ぎながら山頂直下の急坂を登っていると、山頂から初老の単独行に人が降りてきました。今倉山の先に展望の言い赤岩と言うところがあるとか、また旧500円札で知られた雁腹摺山は木が成長して展望は期待できなくなったなどこの付近の山には詳しいようです。この付近での富士山の展望は白谷丸がお勧めとか。近くまでは車でも行けると言っていました。
たどり着いた山頂は展望のないひっそりとしたところで、山梨百名山の標柱と三角点がありました。ここから稜線上の道をたどると、先ほど話にあった赤岩、その先には二十六夜山。左に折れると道坂トンネルへと下る道です。数年前、秋山二十六夜山という頂は登ったことがありますがこの山域にも二十六夜山があるようです。何時か、この頂も踏んでみたいものです。
今倉山からは往路を停めた林道に戻ることにします。厚く落ち葉の降り積もった坂道は滑りやすく、思わず足にも力が入ってしまいそうです。
水喰ノ頭への急な登りに汗を流したのち、たどり着いた菜畑山の山頂で展望を楽しみながら最後の小休止です。風に揺れるススキの先に逆光を浴びた富士山がそびえていました。