諏訪湖の近くには高ボッチ山という珍しい名前の山があります。ダイタラボッチという巨人が腰掛けた山という言い伝えが残っている山です。ダイタラボッチの伝説は関東や中部地方に多く残っている巨人伝説で、富士山を作ったとか榛名富士を作ったなどという言い伝えが残っています。2年程前の正月に登った千葉の高宕山でも、台田久保という巨人の伝説が伝えられていましたが、これもダイタラボッチ伝説の一つのようです。
松本から崖ノ湯の狭い山道を登って行くことにします。急なカーブを繰り返していくとやがて高ボッチ山直下の駐車場にたどり着きました。天気は良いものの、ここから高ボッチ山越しに見えると言う諏訪湖は薄い靄に霞み、展望は期待できそうもありません。
小さな高ボッチ山荘の後ろに頭をもたげるコブはみはらしコースの一角。壊れかけた木の階段を登って行くと小さな東屋が建っていました。ここで出会った初老の夫婦連れは地元の人か。話しによれば5月ごろにはここから諏訪湖の上に富士山が見えるとか。晴れていれば北アルプスの展望も素晴らしい所と言います。
東屋からは林道をたどりアルプス展望台に向かうことにします。たどり着いた広い駐車場には数台の車が停まっていました。ここはその名の通り北アルプスの展望が開けるところ。しかし今日は薄い霞みに包まれ何も見えません。駐車場の片隅に車を停め高ボッチ山の山頂へ。なだらかな草原の中には遊歩道のような道が続いています。たどり着いた山頂からは正面に霞んだ諏訪湖、左手には意外と大きな鉢伏山がそびえていました。
山頂で展望を楽しんだ後、草原の中の散策路を下って行きます。しばらく下ったところに展望台がありました。目の前には車山高原が霞んでいますが、霞の中では車山さえも見分けが付きません。この先には8月に草競馬が行われるという駐車場があると言いますが、今はひっそりとして人影もありません。ここからは砂利道の車道をたどり駐車場へ戻ることにします。
高ボッチ山への道端には夏の高原を彩る花が幾つか。ウツボグサ、イブキトラオノ、ヒオウギアヤメ、エゾカワラナデシコなど。レンゲツツジの時期には草原を赤く染めると言うこの山も、今の時期にはあまり花の数も多くないようです。駐車場の脇には高山植物を紹介している小さなお花畑がありました。花の時期は終わっていたようですが、バアソブやクルマバナ、ツルリンドウなど、この高原にはあまり見かけない花も多いようです。