大霧山は、堂平山、笠山とともに比企三山と言われ、秩父盆地を見下ろす好展望の山です。毎年秋に開催される外秩父七峰ハイキングのコースともなっている山として、また家族連れなどに気軽なハイキングの山として、何時もたくさんのハイカーで賑わっている山です。
池袋から東武東上線で小川町へ。駅前から発車する白石車庫行きのバスは、1時間ほどの待ち時間があります。仕方なく駅前に客待ちをしているタクシーで、登山口のある橋場に向かうことにしました。
タクシーの窓から眺める比企の山々は冬の明るい日差しを浴び、低山の優しさを感じさせてくれます。タクシーの運転手さんの話では、今日この山里一帯は、町をあげて野焼きを行なう日とか。たくさんの人が、水田の稲穂、あぜや川辺の枯れ草に火を入れています。登り立つ白い煙で山里全体がうっすらと霞んでいました。
橋場からは、栗和田の集落に向かう車道を登り始めます。無人の野菜販売所が建つ栗和田の集落の中を登っていくと、道は舗装された車道になります。目指す粥新田峠は舗装道路をしばらく登ったところにありました。
粥新田峠からは明るい雑木林の中をたどる登山道が始まります。山頂直下の急坂にひと汗をかくと、ほどなく大霧山の山頂にたどり着きました。
ベンチが二つ置いてある山頂はあまり広くないものの、明るい展望が広がっています。北側には両神山。左手には山頂に白い雪を被った八ガ岳の山々。西側に目を転ずると見慣れた武甲山。その向うに霞むのは三峰神社の尾根とその上に連なる雲取山などの奥多摩の山々。まさに秩父の山並みを一望にすることのできる山頂です。今日は温かなためでしょうか、秩父盆地は春を思わせる霞に煙っていました。
山頂からは旧定峰峠に向かうことにします。山頂直下の急な坂を下ると左手には有歯鉄線に沿って放牧地が広がっていました。正面には天文台のドームをその頭に乗せた堂平山と笠山が眺められます。心地よい尾根道をしばらく進んだところが檜平。ここから道は左に折れ暗い林の中を下って行きます。色とりどりの派手なユニフォームに身を固め、マウンテンバイクに乗った若者が10人ほど喘ぎ喘ぎ登ってきました。クロスカントリーと言うのでしょうか、近頃は静かなブームになっているようです。
坂道を下った狭い鞍部が旧定峰峠。今日はここから秩父に下ることにしました。暗い杉林の中をしばらく下ると、道は舗装された県道にとびだしました。舗装道路をしばらく下ると定峰の集落、さらに県道を下ると秩父札所めぐり一番寺である四萬部寺にたどり着きました。奉納旗が棚引く境内には水子供養でしょうか、十二支に因む仏像が祭られていました。