夕張岳登山口7:20-(1h15m)-冷水沢990m付近8:35/45-(0h50m)-石原平9:35/50-(0h35m)-憩ノ沢10:25/40-(1h45m)-夕張岳12:25-(0h05m)-夕張岳神社12:30/55-(1h25m)-展望台14:20/40-(0h55m)-馬ノ背930m15:35/45 -(0h30m)-夕張岳登山口16:15
花の百名山として知られる夕張岳は蛇紋岩と言われる特殊な土壌からユウバリソウやユウバリコザクラなどの固有種が多い山です。
まだ明けやらない桂沢湖の湖畔を回り夕張岳の登山口であるペンケモユウパロ林道を目指します。桂沢湖と夕張を結ぶ国道452号線は道が付け直されているようで、ペンケモユウパロ林道の入り口は判りにくくなっていました。
ここには夕張川の洪水対策と灌漑などの目的で新たに計画されているシューパロダムの工事が行われているところです。従来の大夕張ダムを飲み込む形で建設されるダムによりシューパロ湖の湖面は40mほど高くなるとか。付け直されていた国道452号線もこのための工事と言います。
ダートな林道は夕張岳の登山口を目指して登って行きます。すでに多くの車が入っているようで雨に濡れたタイヤの跡も残っていました。たどり着いたゲート前の駐車スペースには20台ほどの車が停まっています。やはり人気の山ということもあり道外ナンバーに車も何台か停まっていました。
ゲートから林道を登って行くと冷水沢コースの分岐点です。ここからは雑木林の中を緩やかに登り始めます。あまり狩り払いも行われていないようで登山道にはクマザサが覆いかぶさっていました。やがて登山道も傾斜を増してくると梢の先に前岳の岩峰が見え隠れしてきます。
さらに登ると冷水の沢です。小さな流れにはパイプも設けられていましたが北海道の沢水はエキノコックスが気になるところです。エキノコックスはキツネやノネズミ、犬などに寄生する寄生虫で今では北海道のほぼ全域に感染区域が広がっていると言います。やはり北海道の沢水は飲まないほうが良いようです。
冷水の沢からしばらく登ると前岳の沢、さらに登ると馬ノ背コースからの道を合わせる分岐点です。ここからは前岳の斜面を巻くように急な登りが始まります。固定ロープも張られた急な登りに息を切らせながら高度を上げて行くと石原平(せきげんだいら)と呼ばれる展望台にたどり着きました。ここはシラネアオイの群生地、すでに花の時期は終わり花柄には糸巻きのような実が付いていました。
ここからも急な登りが続いています。大きな岩を越えながら前岳の斜面をトラバースする道には固定ロープも張られています。視界が開けた展望台は岩場の上にある小さな広場です。目の前には滝ノ沢岳の岩峰、右手には霞んだ芦別岳も見え隠れしていました。
展望台からは憩ノ沢を目指して緩やかな登りが続いています。登山道にはクマザサが覆いかぶさりなかなか歩きにくいところです。たどり着いた憩ノ沢はウサギギクやイブキトラノオなどの花の咲く沢です。朝早くに登ったのかすでに山頂から下ってくるパーティも数組いました。
ここからは緩やかにクマザサの中を登って行きます。湿原が近いのか登山道には木道も敷かれています。たどり着いた湿原は前沢湿原と言われるところです。すでにヒオウギアヤメなどは時期を過ぎているようで湿原にはミヤマリンドウなど秋に咲く花が目立ち始めています。
目の前の岩は男岩、ウサギギクやヤマハハコなどの花を眺めながら稜線を巻くように登って行くと大きなガマ岩が目の前にそびえています。
右手が開けた砂礫の斜面は蛇紋岩の崩壊地帯で初夏にはユウバリコザクラやシソバキスミレなどの咲くところと言います。木道の脇に目を落とすと紫色の花を付けたユウバリリンドウが咲いていました。
木道に沿って広がる湿原は遅くまで雪が残っているところでシロウマアサツキも紫色の花を付けています。風に揺れるウサギギクのお花畑を眺めながら緩やかに木道を登って行くと釣鐘岩の下にたどり着きました。
ひと登りした砂礫の稜線は吹き通しと呼ばれるところで、白いウルップソウであるユウバリソウが咲くところです。しかしすでに花の時期は終わりを迎え茶色の花柄だけが風に揺れていました。
ここから山頂まではかなりの急坂です。吹き抜けるガスの中、ハイマツの斜面に息を切らせながら山頂を目指して登って行きます。たどり着いた窪地は山頂直下に祀られた夕張岳山頂神社の社が建つところです。ここからひと登りすると1等三角点の建つ山頂にたどり着きました。
ミルク色に包まれた山頂は強い風が吹き抜けています。視界は全く得ることはできません。仕方なく山頂直下の窪地に下って昼食にしました。
山頂からは往路をたどり登山口に戻ることにします。1時を過ぎていましたが山頂に向かって登ってくる単独行の男性もいました。
途中、展望台で休憩です。山頂直下の窪地で出会ったパーティは小樽と札幌の山仲間とか、我々と同じような年代でしょうが道内の山を中心に登っているようです。聞き慣れない北海道の山にも足を伸ばしているようでした。
帰りは馬ノ背コースを下ることにします。冷水沢コースに比べ急な下りとガイドブックにも紹介されているように木の根に掴りながらの急坂です。冷水沢コースに比べ多少時間も長いようでした。
たどり着いた夕張岳ヒュッテは改修工事の最中です。営業はプレハブ作りの小屋で行っているようでしたが立ち寄らず登山口に戻りました。
夕張岳は花の百名山で知られる山です。この山に咲く固有種だけでもユウバリコザクラ、エゾノクモマグサ、シソバキスミレ、夕張の名を頭に付けたユウバリソウやユウバリリンドウなどたくさんの花が咲き競う山です。
山頂直下の吹き通しは蛇紋岩の砂礫地でユウバリソウやユキバヒゴダイなどが咲くところです。しかし今回も花の時期を過ぎていたようでユウバリソウは茶色の花柄が風に揺れているだけでした。